再エネに関する初歩的質問への答え

 再エネ、特にソーラーに関するごく初歩的な質問が寄せられました。再エネと戦うには、それなりの知識と理解が必要です。そこで以下に山本の簡単な回答をつけました(原文を書き改めました)。これがみなさんの理解を深めることにつながればと思います。山本節子

Q:国の奨励により発電事業が拡大しているが、そのメリットとデメリットは?

A:再エネにメリットがあるなんてウソです。はっきり言ってデメリットばかりです。なぜなら再エネ事業はきわめて実入りのいいビジネスであり、目的を達しようが達しまいが着工すればよく、それを拡大することが世界的に推進されているからです。推進派が主張する「メリット」には、科学的裏付けなどなく、経済的・社会的利益も証明されていません。この点については、推進派に「証拠を挙げてメリットを具体的に説明せよ」と、論争を挑んでみるとはっきりするでしょう。

Q:自然に優しい”イメージが先行しているが、実態はどうなのか?

A:政府は再エネ事業に、あらゆる開発規制を免除し、許可を下ろして着工させているため(違法、前回のアドバイス1を見てね)、当然、すさまじい自然破壊が起きています。各地から報告されている山崩れ、洪水、山林破壊、河川や湧き水などの水質汚染、汚濁、地下水枯渇、野生生物の殺戮(特に大型鳥類)などが、その「実態」です。その次の段階では深刻な廃棄物汚染、恒常的なハザード地域への指定が考えられ、それが地域崩壊につながるケースもあるでしょう。だからこそ、推進派はそんな実態を隠すため、「自然に優しい」とウソをつくのです。

Q:再エネ発電の供給によって、日本のエネルギー問題が良い方向に進んでいるのか?

A:良い方向どころか、再エネはすでに停電や電気料金値上げをもたらしています。なぜなら再エネは間欠的にしか発電できず、「安定電源」にはならないからです。風発には適度な風が必要だし、ソーラーは晴天の昼間、しかも適度な温度域でないと発電できません。逆に条件に会えば捨て去るくらいのエネルギーを生み出すため、余った電力は税金で買い取る仕組みができており、これが電力料金の値上げをもたらします。また、常に電力需要にこたえられるようにするため、必ずベースロード電源(主に火力)のバックアップが必要です。これもコストをあげる要因です。

Q:私達の生活の面から見て、電気代が安くなるなどの恩恵があるのか?

A:逆に電気代は上がり続け、すでに私たちの生活を脅かしています(例:9月からまた値上がり 電気料金高騰で蓄電池に注目【WBS】、電気料金高騰 大手10社すべてが設定上限に到)メディアは、値上げの理由を「ロシアのウクライナ侵攻によって天然ガスの価格があがったため」などと報道していますが、電力料高騰と電力供給の枯渇は、ウクライナ侵攻前から大問題になっていました。再エネ施設建設、バックアップの確保(余計に電力が要る)、電力系統につなぐための施設整備などの費用がかさみ、政府はそのつけを市民に回しているのです。欧米、特にドイツ、イギリスでは何倍にもなった電気料金を支払えず、電気を止められてしまう「エネルギー難民」が発生しており、この冬に凍死を防ぐため、「集中暖房センター」を作る案まで出ています(ドイツでは石炭火力の閉鎖を中止、閉鎖予定だった原発も再稼働させています)。

Q:山を切り崩して開発した土地で災害など出ているが、それらを鑑みても太陽光発電はプラスを産み出すものであるのか?

A:本来なら、自然のままの山林や緑地こそ、「温暖化」を防ぐためのもっとも望ましい土地です。なぜなら豊かな山林や緑地はCO2を吸収するからです。しかし、「再エネ」事業にとって、自然の山や森、湿地や農地などはすべて邪魔者です。そこで彼らは、完全に地表をはぎ取って、かちんかちんに固め、巨大な人工物を建築することで、市民の自然環境を享受する権利を奪い、代わりに高額な電気料金の支払いを求めているのです。つまり、市民にとってのマイナス(デメリット)は、すべて事業者にとってのプラス(メリット)。市民が、物言わず、反対もせず、おとなしく電力料金を払っている限り、このアンバランスは続きます。

Q:太陽光発電事業に携わる会社は、一般家庭に「屋根に付けてはどうか」「山林の土地を太陽光発電に使わないか」などアプローチしているが、長い目で見たとき、それが本当に良いことなのか?

A:企業の目的は決して「社会のため」ではなく、「利益追求」です。従って、どんな場所であろうと、だませる相手なら、自治体であろうが、企業であろうが、個人であろうが、美辞麗句で再エネを売り込みます。再エネ事業主の頭の中には長期的な社会への影響などまったくなく、短期的な利益を上げることさえできれば、それでいいのです。そして、いったん風向きが変われば、彼らはさっと足を洗い、何事もなかったかのように別のビジネスにとりかかるものです。

Q:政府や政治家は実態を把握した上で、この事業を推進しているのか?

A:公務員や政治家は心も知識も常識もないロボットだと認識しておきましょう。彼らは、たとえ「実態」を把握していても、業務だと言われれば何も考えず許可を出し、再エネを拡大するのみです。公務員に問題を気づかせ、誤りを認めさせ、方針を変えさせることができるのは普通の市民だけです。そのためには強い意志と行動が必要です。

Q:最終的にこの事業の推進が、日本の国を繁栄させ、国民を豊かにすることにつながるのか?

A:再エネの目的は「エネルギーコントロール」と、それを通じた「市民コントロール」であり、その事業は、破滅的ビジネスといっていいでしょう。多くの市民は「温暖化は事実だから、再エネには反対できない」と考えているかもしれませんが、温暖化そのものは事実としても(異論も多い)、「人為的CO2原因説」は全くのウソです。これについては多くの本も出ているし、ネット情報も多いので検索してみてください。ウソや詐欺、作為にもとづく事業は、決して市民の福祉の向上をもたらしません。現に、再エネ(コロナも)は既存の社会システムを破壊し、人々を貧しくし、孤立化させ、連帯感を奪い、社会を不安定にしているのです。

 日本の再エネはすさまじい速度で拡大しています。エネ庁によると、「日本の再エネ電力比率は2019年度で、18%です。再エネ発電設備容量は世界第6位で、太陽光発電は世界第3位です」https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2021/007/  平地の少ない日本の国土には、これ、以上再エネを受け入れるゆとりはありません。この再エネの狂気を止められるのは、地域の自治体そこに住む人々だけです。どうぞ知識を共有し、行動を起こしてください。2022.9.6

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/