全米で学生運動の嵐ーパレスチナに自由を

日本では完全に死に絶えた感のある「学生運動」、しかしアメリカでは、多くの大学で、学生たちによる反イスラエルデモや抗議行動の火が燃え盛っています(実質的にはもっとすさまじいジェノサイドである「コロナ」では、学生運動は起きなかった・・・)

「AP通信の集計によると、イスラエル・ハマス戦争に対する米国の大学キャンパスの抗議活動に関連して逮捕された人の数は現在2,000人を超えている。 過去2週間に多くの大学や大学のキャンパスで学生の抗議活動が発生し、管理者と抗議者との間で合意が得られることもあったが、逮捕につながるケースの方が多かった。AP通信は4月18日以来、36大学のキャンパスで少なくとも46回逮捕が発生したと集計している。そのうちUCLAでは200人以上が逮捕された。」

 学生運動とは、大学生たちが政治や社会の在り方に反対し、その流れを止めるために、大学のキャンパスをベースに行動を起こすこと。正義感と情熱、若さと頭脳に恵まれた年代が中心となっているだけに、「学生運動」は社会を変える力があり、どの国も大学生が過敏に反応しないように気を使っています。日本ではそれがうまく行き、大学生はとても大人しく、何もしない(何も感じず、反応もしない)。

 しかし、イスラエルによるパレスチナ攻撃のすさまじさは、多くの国々の若者の正義感を強くゆさぶっており、反イスラエルデモは世界中で起きています。中でもアメリカでは多くの大学で戦争反対の抗議活動が続き、それを抑え込もうとする大学側や政府側の弾圧も強くなっています。(写真は5月2日、UCLAキャンパスのパレスチナ支援デモ隊を抑え込もうとする警官隊)

 アメリカの反イスラエル抗議が激しいのは、もともとアメリカは常時戦争国家であり、イスラエルと完全に一体化しているから。そして、米の大学の多くは軍需企業の侵入を許しているため、大学は軍産学複合体の一部としてイスラエルによる虐殺に加担しているからです。アメリカの大学は兵器産業からの寄付や寄付講座を受け入れたり、兵器の研究開発を進めている大学も多く、それまでは学生たちもその恩恵を受けていました。しかしパレスチナの現実が伝えられると、学生たちは自分たちの大学がジェノサイドの共犯であることに気づき、戦争の主体である企業に対する反発を強めているのです。Defend Democracy Press 2 May 2024によれば:

「イスラエルは大量虐殺を行っている。 米国の税金、ジョー・バイデン大統領の祝福、米国企業の武器、そして無数の米国の大学の共謀により、イスラエルは数万人のパレスチナ人を殺害した。イスラエルはパレスチナ人を拉致し、拷問し、餓死させた。 病院の敷地内の集団墓地で発見された数百人のパレスチナ人を処刑した。手術着を着た人もいた。 イスラエルの封鎖により、医師らは麻酔なしで子供の切断手術や妊婦の帝王切開を行うことを余儀なくされている。1型糖尿病患者からインスリンを奪った。イスラエル軍はパレスチナ人のジャーナリスト、教育者、医師を殺害した。ガザの大学、難民キャンプ、病院を攻撃した。 14,000人以上の子供たちが命を落とした。学生たちはこれに対して抗議している。」

★ハワード大学の活動家は、ボーイング社やロッキード・マーチン社など兵器メーカー、米国国務省に対して学のキャリアフェアへの参加を禁止するよう要求した。

★ポートランド州立大学は学生の抗議活動に応え、ボーイング社からの寄付受け入れを「一時停止」することに同意した。

★アラバマ大学の学生は、ロッキード・マーチン社のキャンパス内での採用活動を認めないよう大学に要求し、大学に数百万ドル寄付をした元ロッキード・マーティン最高経営責任者(CEO)のマリリン・ヒューソン氏とその夫にちなんで名付けられたヒューソン・ホールの名前の変更を求めてデモを行った。 ロッキード・マーチン社は「イスラエル国防軍地上部隊の強化」などイスラエルと数十億ドル規模の取引を行っており、レーダー、ロケット、火器管制・誘導システム、レーザーポインター、ポッドを供給し、訓練、航空交通管制、天気予報などの分野でも支援しているとウェブサイトに記載されている。

★フロリダ大学の学生たちは、別の戦争利得企業であるRTXコーポレーション(旧レイセオン・テクノロジーズ)との提携に抗議している。同社のCEO、グレッグ・ヘイズ氏はTVでイスラエルによるガザ攻撃が自社の収益に利益をもたらすことを認めた。

しかし、大学側は「規則」に従わない学生を停学に追い込んだり、キャンパスの出入り禁止としたり、また食糧事情の悪いニューヨーク市立大学では、学校の食堂を閉鎖したりしています(アメリカの貧困率は急速に高まっていて、「飢え」が問題化している)。警察はパレスチナ支援派を「過激派」「違法行為」として取り締まり、逮捕し、メディアは彼らに「反ユダヤ主義(ここでは人種差別者という意味)」のラベルを貼り、その行動を批判しています・・・いずれも政府方針に従わない人々を待ち受けている事態ですが、それでも学生たちはめげずに抗議行動を続けているとのこと。

 上の記事はフロリダ大学の奨学生の言葉で締めくくられています。

「僕らは奨学金を受けた第一世代で、キャンパスから追放されれば失うものが大きいが、パレスチナ人の解放を求める戦いに背を向けることはできない。可能な限り妨害し、抗議するのは自分たちの義務だ」「僕らの行動は歴史が証明してくれる。現に歴史上のほぼすべての学生社会運動が歴史によって証明された。だから僕はこの運動と共に生きてゆける。どのような結果であれ、現状を変えようと努力したことを、将来、子供たちや家族に伝える必要があるんだ。」・・・こうして人は社会的存在になるんですね。2024.5.6

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/