ワクチン強制と市民の反撃

 アメリカ・ニューヨーク州の「ワクチン強制」の話題は何回かとりあげてきましたが、市民はやられっぱなしというわけではありません。去る7月11日には、宗教的理由でワクチンを拒否している人々が原告となり、ニューヨーク州を訴えています。

  ニューヨーク州は2019年6月13日、同市の「はしかの大流行」は、ワクチンを回避する人々のせいであるとして、宗教的理由によるワクチン免除を取り消していますが、これに反発する55家族が原告となり、州最高裁に、ワクチン強制の準備的差し止め命令を求めたのです。

 このような「強制」を拒んだ結果、何がおきているかというと、これらの原告の子どもたちはもはや学校にも保育所にも受け入れてもらえず、公教育を受ける権利を完全に奪われてしまったということです。納得できないのは、連邦法と州法が「宗教的理由によるワクチン免除」を認めているのに、NY州はそれらの事実を無視し、一度も公聴会を開くこともなく、免除規定をカットしてしまったこと。これは州法、連邦法に違反しているというのが原告の訴え。

 公教育を受けるには宗教的信念を曲げなければならないとしたら、これは、思想の自由や教育を受ける権利、行政の公平公正の原則をまったく無視しており、特定の団体に対する利益供与を目指した制度としかいえません。

 原告たちの「宗教」は、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教などとさまざまだということですが、これは、特定の宗教に対する攻撃でもあり、ひいては「思想の自由」を拒否する流れにつながるでしょう。ワクチン強制は、単に「ワクチン」や、「ワクチン被害」だけの話ではなく(これも大変な問題ですが)、地上で最も大きな権力を持つ組織(行政組織)が、人の思想や内心の自由に土足で踏み込むことを許す、「思想統制」に直結する危険な動きなのです。。

 この訴訟の代理人であるロバート・ケネディ・Jr.はおおむね以下のように述べています。

「宗教の自由は基本的な権利だ。州が市民からその重要な権利を奪うのは憲法違反だ。州が、法律作成に必要な事実確認をすることもなく、一方で宗教的理由によるワクチン拒否に激しい敵意を示して、この厳しい法律を施行するのは、はっきりいって非アメリカだ」

(参考:ChildrensHealthDefense.org)2019.7.15  

・・・今、チェックしたら、裁判所はこの訴えを拒否した模様。これから兵庫県に行きます。続きは帰ってから。

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/