アコンカグアの雪

 南北アメリカ大陸最高峰のアコンカグア、標高約7千メートル。
・・・と聞くと、誰だって、汚染とは無縁の、清純な雪の峰を思いう
かべます。ところが、6200メートルの雪のサンプルを 分析したと
ころ、そこにもPCBが含まれていることが発見されたのだそう。
慄然とするニュースですが、PCBははすでに、ヨーロッパやカナダ、
南極の山岳部でも見つかっているそうです。
http://news.yahoo.com/s/livescience/
20091210/sc_livescience/snowathighestelevationsnolongerpure

 
 人工の有機化合物であるPCBは、ダイオキシンの一種であり、
発ガン物質として知られています。アコンカグアで見つかったのは
1リットル中0・5ナノグラムで、イタリア・アルプスなどの四分の一
ほどの低レベルだそう。でも、そんなものが、いったいどうやって、
人跡まれな高地や氷の大地にやってくるのでしょう?
 焼却炉や工場、自動車排ガスから排出された汚染物質のうち、
ごく微小な粒子(S PM)は、非常に軽いため、地上に落ちることな
く、長距離を移動し、やがて高山などにひっかかって、そこに落ち
るのです。高山が汚染物質をキャッチするトラップになっているの
ですね。
 排出源からうんと遠くまで汚染を運ぶのが、POPs(ポップス、
難分解性有機汚染物質の英語表記の頭文字)の大きな特徴で
あり、POPs条約が生まれた理由もそこにあります。記事では、
温暖化で氷河が溶け出すと、高山の汚染物質が河に流れ込み、
流域の植生や動物(人間を含む)に重大な健康被害をもたらす
可能性が高いとも指摘。
 身近な汚染や公害を阻止することが、地球という大きな環境
を守ることにつながるようです。今、コペンハーゲンで開かれて
いるCOP15会議のおかげで、CO2削減にさらに大きな注目が
集まっていますが、大気中に増えているのはCO2ばかりでは
ありません。なのに、なぜその他の汚染物質のことは話題にな
らないのでしょう。2009.12.12

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/