たばこ:600種の添加物、5000種以上の煙成分

 ひどいことに、メーカーはタバコの煙に有害物質が含まれているのを百も承知です。フィリップ・モリス社の説明によると:①(米国のサイトの日本語訳らしい。短くしてあります)。
 「紙巻たばこの煙には何千種類もの化学物質が含まれています。よく知られているニコチン、一酸化炭素(CO)に加え、今日までに5,000種類以上もの化学物質が特定されています。公衆衛生当局は、70ほどの煙成分を、肺がん、心臓病、肺気腫といった喫煙関連疾病の原因になると思われるものとして分類しています」
 
 5000種以上! そのうち病気との関係が特定されているものだけでも70種類・・・その他の有害物質は、何もわかっていません。なぜなら「今日、標準化され有効性が確認されている試験方法で測定できる煙成分は、タール、ニコチン、一酸化炭素のみ」なので。文章はさらに;
 ● タールは特定の煙成分ではなく煙中の粒子を指す用語です。この粒子は、肺がんをはじめ、喫煙関連疾病の原因となるとみなされる成分を含む多数の煙成分で構成されています。
 ● ニコチンは依存性のある物質とされています。たばこが燃焼すると煙の中に移ります。
 ● 一酸化炭素は、たばこの煙のなかに形成される気体です。喫煙者の心血管疾患(心臓病)の主原因であると特定されています。
 ● その他、何千もの煙成分が含まれていることが確認されており、そのうち45~70種類が、喫煙関連疾病の原因と分類されています。たとえば、ヒ素、ベンゼン、ベンゾピレン、鉛やカドミウムなどの重金属、シアン化水素、たばこ特異的ニトロソアミンなどです。

 鉛やカドミウムはおそらく、タバコの葉の栽培に使われた農薬由来でしょう。タバコの煙にこれほどの化学物質が含まれるのは、タバコの生産時にたくさんの化学物質を添加するからです。その数約600。日本ではなく、米のあるメーカーが公開した数です。② 
 日本ではJTが「紙巻たばこの製造工程において葉たばこに添加されている物質リスト」③を公表していますが、その数は210種にすぎず、香料が主です。結合剤や保湿剤は多少あるけれど、保存料と溶剤は――使ってないことはないから――事実上、非公開。いずれにしても、これらの大量・雑多な成分が、タバコを「くゆらす」ことによって、化学反応を起こしてたくさんの有害物質を生みだしているんですね。そう、タバコはごみ焼却炉と同じ。大気をごみ箱にしている。
 焼却炉の排ガスには大気汚染防止法が適用されますが(逃げ道は多いけど)、たばこの煙は出し放題。メーカーがなぜ毒物を平然と売り続けられるのか、行政がそれを黙認しているのか……、ま、すべての「公害」がそうだったように、そこには「政治」がひそんでいます。とにかく、JTは全材料を公表し、原料すべての安全性と環境への影響について国民に説明する義務あり。今度、ヒアリングに行こう。2010.10.22
(参考)
http://www.pmi.com/ja_jp/our_products/pages/what_is_in_cigarette_smoke.aspx
http://www.tobacco.org/Resources/599ingredients.html
http://www.jti.co.jp/cgi-bin/JTI/corporate/enterprise/tobacco/guidelines/additive/tobacco/index.cgi

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/