がれき焼却を阻止するには

  昨日、読者から「(がれき焼却灰埋立は)芦名が拒否したから、南本牧なの?」という質問がありました。
 あほな。
 逆。神奈川県のキングメーカー・横浜港運協会が「南本牧受け入れ」に賛成を表明したのは2月2日で、芦名の拒否宣言(2月6日)の前。芦名の拒否で、南本牧になったという単純な話ではありません。そこには、芦名受け入れ→→安心、安全→→南本牧もOK→→その他の市町村も後に続け、というシナリオがあるに決まってるじゃありませんか。
 芦名が最初に来たのは、説得しやすい条件があったからに過ぎません。同地の「良識派」が動いてくれたのは、本当に幸いでした(早く正式に文書を出してね)。地元のボスが町内会を仕切っている、情報を住民に伝えず勝手に行政と交渉する、住民が意見を言えない――こんな地域は、汚染事業のいいターゲットなのです。これは思い当たるかたも多いのでは。
 廃棄物処理法はその二条で「放射能に汚染されたものを除く」と規定しており、どれだけ放射線量が低くても、通常の処理はできません。つまり、すべてのごみが放射能に汚染されている現在、ごみ焼却そのものが違法状態になっているわけ。だから、海外からがれき焼却に厳しい批判があがっているのです。日本は、ごみのほぼ全量を燃やしている異常な焼却国家。でも、そこに触れると、ごみ処理がストップしてしまうので、現政権はとりあえずがれき広域処理を先行させ、後で法改正するつもりなのでしょう。
 従って、がれき焼却、焼却灰埋立を阻止するには、「根拠法」の追究は有効です。どの法律の何条に、こういう無法なことができると書いてあるのか、きちんと答えろと、それがなければ「やってはいけない=違法」のだと。一方で、ごみ減量、焼却禁止の努力もしないと。
 政府が、既存の法律の枠内でできることとできないこと、あるいはその「解釈」及び、緊急措置の方針などを打ち出し、問題点を正直に、正確に市民に伝え、理解を得るというなら話もわかります。原発を許してしまった国民だから、ある程度は覚悟もするでしょう。なのに、市民の無知につけこんで、「東北復興に協力しない者=非国民」てな論を広げて汚染を拡散するのは、あまりにも卑劣。汚染を拡散させないことこそ「日本人の責任」なのだっ!2012.2.8

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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