「幹細胞」論文取り下げニュース、続き

  愛知学院大,「幹細胞」論文不正で取り下げ (11/25) の記事、幹細胞を肝細胞と誤記していたので、遡って訂正しました。ご指摘いただき、ありがとうございます。

 で、再度、これを伝えた日経新聞の記事(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66525100R21C20A1CE0000)を読み直したところ、えっと思いました。記事には「何についての論文か」について何も書かれていなかったのです。もちろん記者はちゃんと書いたはずですが、意図的にカットされたのでしょうね。

 山本もどこか違和感がある記事だとは思いましたが、思い当たらず。文科省のサイトで課題名(研究課題名:3種類の幹細胞を用いた象牙質・歯髄複合体再生治療法の開発)を確認したところで、忘れちゃいました。

 で、改めて他のサイトをいくつかチェックしたところ、日経の孫引きはみな同文。唯一「幹細胞」と明記していたのは中日新聞の記事↓だけでした。

論文20編の不正認定 愛院大追加調査、歯学部元講師ら関与

2020年11月21日 05時00分 (11月21日 05時01分更新) 会員限定 愛知学院大(愛知県日進市)は二十日、尾関伸明・元歯学部講師や茂木真希雄・薬学部准教授らが二〇一三〜一七年に発表した研究論文二十編で捏造などの不正行為を確認したと大学のホームページで公表した。同大は一八年三月、この二人が関わった人工多能性幹細胞(iPS細胞)に関する論文一編(一三年発表)で、データの捏造などがあったと公表。その後、学内で追加調査をしたところ、二十編の論文で存在しないデータから図表を作成する捏造などの不正行為が見つかったという。同大によると、尾関元講師が図表の作成などを担当し、茂木准教授は指導的立場にあった。他に十一人の教員らが関わっており、学内で処分を検討している。引田弘道学長名で「誠に遺憾であり、深くおわび申し上げる。今後は研究機関としての信頼回復に向け、学内での研究倫理の徹底を図り、再発防止に努める」とのコメントを出した。
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 ・・・「幹細胞」の文字を消したのは日経の産業界への忖度でしょう。これほどメディアは劣化しています。

 なお、昨日も幹細胞論文の「追加」取り下げがニュースになっていました。中国の論文のようですが、まだ中身は読んでいません。Stem cell researchers lose two more papers, making three(https://retractionwatch.com/2020/11/30/stem-cell-researchers-lose-two-more-papers-making-three/)

 他にもPCRテストについての論文取り下げもあり、一般人にはわからないことばかり。誰か詳しい人がいたら聞きたい。

2020.12.1

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/