公共事業の多くは学者の「お墨付き」で推進されますが、彼らの非をとがめる制度がまったくないのが問題です。たとえば、女性セブン2011年2月10日号の記事には「危険な農薬はない」と唱える東大教授の言が・・・(下線筆者)。
“有機”“無農薬”をうたった野菜の危険性を東大教授が指摘
2011/02/05 01:15
「農薬は怖い。使わずに栽培したほうが安全に決まっている」という農薬についての思い込みは、大きな勘違いであると、東京大学・農学生命科学研究科教授の眞鍋昇さんはいう。
「農薬は恐ろしい毒薬…というのは、40年以上前の時代のこと。確かに当時は、農作物の病気や害虫駆除効果のみを重視し、安全性の検証がおろそかだったため、農薬を散布する農家の人たちに健康被害が出ました。それを受けて1970年ごろから、米国の環境保護庁が中心となり、特に発がん性、催奇形性について検証。日本でも1971年に農薬取締法が改正になり、多くの農薬の製造・販売・使用が中止されました」
「現在は、ひとつの農薬について約100億円もの費用をかけ、あらゆる安全性が徹底的に確認されるシステムになっており、安易に農薬が認可されることはありません。いま、日本で認可されている農薬で、人体に危険なものはあり得ないのです」(眞鍋さん)
「一般の農作物は、このような厳しい認可制の農薬によって安全が確保されているといえますが、『認可・登録されている農薬を使わない』有機や無農薬栽培の野菜は、裏を返せば、認可されていない、つまり安全性が確認されていない化合物を使っている可能性もある。実際、農作物の栽培は、雑草、害虫、病気との壮絶な闘いですから、それらの駆除剤をまったく使わず、ある程度の量を生産することは難しい。そんな意味でも、有機や無農薬栽培のものがすべて、安全であるとはいい切れないのです」(眞鍋さん)
女性誌だから好きなことが言えるとでも思ったのか・・・。調べたら、同氏は元農薬メーカー勤務、有機農業への憎しみが骨の髄までしみこんでいてもふしぎはありません。「最高学府」でさえこうした業界筋、官僚筋の教員を受け入れているのだから、「学問の独立」なんて絵空言。
長野市で主婦層招き農薬ゼミ 11月2日 農薬工業会
農薬工業会関東支部(山本稔支部長、石原バイオサイエンス・東京支店長)は11月2日、長野市内にあるJA長野県ビル「アクティーホール」で「お母さん、知って安心、家族も安心 やさしい農薬ゼミ」を開催する。この「農薬ゼミ」は、広報委員会活動の一環として行われており、今年度は優先度の高い熊本、秋田、長野の3地区に絞り開催している。新たな講師陣も加わり、装いを新たにする。講師陣に加わったのは、「農薬とは何か?」を講演する宮川恒京都大学大学院教授(元武田薬品工業)と「農薬の安全性」を解説する眞鍋昇東京大学大学院教授(元日本農薬)の2氏。新たな風に期待が高まる。
http://www.jacom.or.jp/news/2010/09/news100914-10875.php
業界擁護は朝飯前、逆に、権力にモノ申す人は消されます。反原発の科学者・小出裕章氏らが、京大にずっと冷遇されてきたことが有名になっていますが、これは氷山の一角。学者(特に科学者)と呼ばれる人には、より強固な倫理観や社会正義がそなわっていないと危険なのですが、それを「なあなあ」と許してきたのが日本の社会なのですね。だから、被爆国でありながら、小さい国土に54もの原発を抱えてしまった。どこかのNGOが「有識者・学者」の評定をやらないもんだろうか。2011.6.9