「コロナ」監獄国家

 前記事で「反コロナ活動家」の医師の逮捕をお伝えしましたが、活動家ではない、ごく普通の市民、高齢者を、「コロナ規制違反」で逮捕・監禁・拘留している国があります。

 それはオーストラリア。

 10月4日、子どもをメルボルンの海岸に連れて行った母親が、取り調べに応じなかったという理由でヴィクトリア州警察に逮捕されました。女性が衆人環視の元で地面に押さえつけられ、手錠をかけられる様子はすぐネットに流れ、多くの人々の怒りを呼んでいます。(動画はここ→kids for a swim' arrested over virus rule breach

 警察は、この女性が「5キロ規制」を1キロ超えて外出したとして違反通知を出し、当時、海岸にいた他の人々にも罰金を科しています。ただし、この人々のコロナ規制違反については調査中とのこと。また、「我々は規制に従わない人々に対して行動を起こす。ヴィクトリア州警察は引き続き公共スペースを積極的にパトロールし、警察長官の指示に対し、露骨に違反した人々には躊躇せず罰金を科す」とi述べています。

 これは、おそらく、「コロナ規制」を無視する動きが広まっているのに対する「みせしめ」でしょう。というのは、メルボルン市では、10月2日にも大勢の人々がマスクなしで海岸に集まったことが「事件」として報道されているからです。

Hundreds of Melburnians have flocked to the city’s beaches ahead of the city’s warmest weekend in seven months. 

 Unmasked Melburnians crowd at St Kilda and Port Melbourne …

 でも、海岸に繰りだした人々は、長く続いた寒さの後、暖かい週末に喜んで海岸に出かけただけ。「反コロナ」でも「反マスク」も関係ないのは、上の写真を見ただけでわかります(マスクをしている人もいる)。でも、メルボルン市は市民のこの行動を許しがたいと考えたようで、すぐに「社会的距離やマスク着用を守らないと海岸を閉鎖する」という脅しの声名を出しています。

 …それ以前に、同市のコロナ規制はすさまじく、上の記事によれば「大都市住民が戸外で活動できるのは最大一日2時間まで、そして、活動範囲は5キロ圏内まで。集会は最大2世帯、5人までで、社会的距離を取らなければならない。また、食事の時以外はマスクを着けていなければならない。違反すると200ドルの罰金…」という具合。

 これはまさに「監獄のルール」です。そして、この規制にもとづいて、公園を散歩していた妊婦や、ベンチに座っていた老夫婦らが逮捕されるなどの事件がおきています。・・・でも、これこそ、オーストラリアの「素顔」。

 歴史の先生は決して教えませんが、オーストラリアの建国の歴史は、血塗られた人道に反する罪に満ちたものでした。特に(英の)植民地時代のオーストラリアは、先住民のアボリジニに対し、組織的な「邪魔者のせん滅」政策を実行したのです。

 「…1803年にはタスマニアへの植民が始まる。入植当時3,000〜7,000人の人口であったが、1830年までには約300人にまで減少した。虐殺の手段は、同じくスポーツハンティングや毒殺、組織的なアボリジニー襲撃隊も編成されたという[21]。数千の集団を離島に置き去りにして餓死させたり、水場に毒を流したりするといったことなども行われた[22]。また、1828年には開拓地に入り込むアボリジニを、イギリス人兵士が自由に捕獲・殺害する権利を与える法律が施行された。捕らえられたアボリジニたちは、ブルニー島キャンプに収容され、食糧事情が悪かったことや病気が流行したことから、多くの死者が出た。これによりアボリジニ人口は90%以上減少し、ヴィクトリアとニューサウスウェールズのアボリジナルの人口は、10分の1以下になった[16]。さらに1876年には、タスマニア・アボリジナル最後の生存者である女性のトルガニニが死亡して、多い時期で約3万7千人ほどいた純血のタスマニアン・アボリジニが絶滅した[23]…」(Wiki)

 その後の「アボリジニ保護政策」も、実質的には「同化政策」でした。そして、それをタスマニア島だけでなくオーストラリア全土で展開した結果、「先住民族」の息の根が止められてしまったのです。・・・これはオーストラリア特有の事情ではなく、「帝国主義勢力」による弱小国の侵攻、占領・植民化に伴う、避けがたい戦争犯罪です。その侵攻の結果、侵略した土地に居残るのに成功した国は、都合の悪い歴史は修正・抹殺しますが、居残れず、追い出された戦敗国は歴史を否定することになるわけ。現在の、日本による中国・満州支配や韓国の植民地化の「否定」はその悪例です。

 つまり、オーストラリア政府には、もともと流刑地だったことから来る「監獄国家」の思想があり、それがコロナ戦争における厳しい「違反者摘発」につながっている。それだけでなく、オーストラリアは「コロナ亡命者」の帰還を拒んでいる、数少ない国のひとつでもあります。非常事態宣言が出された時に海外にいたり、海外でコロナ陽性となった人は、帰国が拒否されるケースが多いようで、申請をくりかえしても通らないため、何か月も海外にとどまっている人も多いとのこと。…これは多くの先進国の「憲法」で保障されている「移動の自由」に反するはずで、オーストラリアの「警察国家」「監獄国家」の性格をよく表しています。

 山本はよく「アメリカやオーストラリアに子どもを留学させたい」とか「移住したい」という相談を受けますが、そういうこと聞く前に、その国の成り立ちや社会的義務づけを自分で調べてみたら? 腐敗して、めちゃくちゃな国だけど、日本ではまだ、マスクもワクチンも義務付けではない、という事実はとても重いものがあります。2020.10.8

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/