★産廃施設周辺住民に「原告適格」

  先月末、とても大事なニュースが入っていたのに、今日気がつきました。これ↓です。

産廃施設の周辺住民にも訴訟資格ある 最高裁が初判断

2014730日朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASG7Y56VTG7YUTIL039.html


 
産業廃棄物処分場の設置許可の取り消しを求める裁判を周辺住民が起こすことができるかが争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は29日、「環境影響調査の対象となった地域の住民は、著しい健康被害を受けるおそれがあり、裁判を起こす資格がある」とする初の判断を示した。最高裁は判決で、資格を認めず住民側を敗訴とした201110月の一審・宮崎地裁判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。5人の裁判官全員一致の意見。環境影響調査は、産廃処分場が周辺地域の環境に及ぼす影響を調べるよう法律で義務づけられたもの。その対象地域の住民に「裁判を起こす資格」があるとした判断で、処分場をめぐるほかの裁判にも影響する。訴えていたのは、宮崎県都城市の処分場の周辺住民13人。「健康被害を受けるおそれがある」として、県に設置許可を取り消すよう求めた。一審と、二審・福岡高裁は、「住民が受ける被害が明らかではない」として、裁判を起こす資格を認めず、訴えを退けた。れに対し、最高裁は、住民12人の家が環境影響調査の対象地域に含まれることから、「生活環境に影響が及ぶおそれがあるから調査対象に入っている」と指摘。裁判を起こす資格を認めたうえで、処分場の違法性をめぐる審理を地裁でやり直すように命じた。(西山貴章)

 裁判所は、本当に変わりつつあるのかも・・・この手の裁判では、まず「原告適格」が厳しく制限され、住民が訴えを起こせる機会はほぼ無きに等しかったのです(予定地近辺の住民はだいたいが買収され、沈黙することが多い)。次に、行政訴訟では司法は100%行政の味方。住民がどんなに有力な「証拠」を出しても、裁判所はこれを採用しないか無視するというのが通例でした。さらに、「ごみ処理施設」は、日本では「クリーンセンター」と詐称されていて、健康被害なぞ起きるはずはない、という、とんでもない非常識がまかりとおっていました。ヨーロッパでは処分場による健康被害をこれ以上容認できないとして、その建設を禁止する「処分場指令」を出したというのに、地裁と福岡高裁はそんな常識さえもなかったわけです…それを、なんと最高裁が常識的な判断を下した。「著しい健康被害の恐れ」を、「五人の裁判官が全一致で認めた」・・・司法の責任を問い続けた私としては、ちょっぴりウレシナキ。

 司法と行政が一体化し、それぞれの役割を放棄してきた結果、起きたのが「フクシマ」です。行政と立法機関が、この世界規模の災害に学ばず、川内でも「再稼働」を画策していますが、原発の健康被害は、処分場に勝ります(警戒区域を設けている、ということが、健康被害をもたらすという意味なのです)。原発周辺住民は、この判決に学び、活かし、司法を鍛え直さないとね。その手がかりができました!2014.8.3

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/