鳥取東部ごみ処理施設、だまされて、建設へ

 不在の間に、ごみ関連のニュースがもう一つ入っていました。この件についてはこれまでも 「行政にすり寄った鳥取地裁のひどい判決 (2015/03/28),鳥取地裁のひどい判決、続き (2015/04/18) で書きましたが、住民の不勉強と、下手な裁判に持ち込んだのが失敗の元。おそらく、最後は「金目」で押し切られてしまったのでしょう。記事中、強調山本。

 

県東部ごみ焼却場 国英地区14集落と基本協定 東部行政管理組合 /鳥取

 

県東部ごみ焼却場 建設巡り新たに質問状 鳥取・郷原集落/鳥取

 鳥取市河原町国英地区で東部広域行政管理組合(管理者、深沢義彦市長)が計画するごみ焼却施設建設を巡り、地元の郷原集落は7日、八頭環境施設組合(同)に出した公開質問状の回答を公表し、問題があるとして新たな公開質問状を送った。同管理組合から岩美町を除いた4市町で構成する同施設組合は郷原集落などと2001年、可燃物処理施設「クリーンセンターやず」(09年6月末に廃止) の次期施設を同センター周辺に設置しないとする協定を締結したが、同集落が起こした訴訟で協定は同管理組合を拘束しないとの判決が確定している。協定の意味などを尋ねた最初の質問状に同施設組合は「建設予定地は、協定を踏まえて選定されており、意味の無い条項であったとは考えておりません」と回 答。集落側は「訴訟でも全く出てこなかった新たな事実」と指摘し、具体的な事実関係や資料を明らかにするよう再度質問状を出した。21日までの回答を求め ている。一方、同管理組合側も取材に「協定には拘束されない別々の組織ではあるが、同じ鳥取市長が管理者であることもあり、協定は尊重した」と述べた。【高嶋将之】

 

 ひっくり返せたのにね。過去記事でも書きましたが、裁判の焦点となった官民協定は、一般の契約よりも強い拘束性があり、それを一方的に破棄することは公序良俗に反して違法です(この場合は自治法、憲法違反)。たとえば、富山県のイタイイタイ病被害者は、カドミウム汚染源の三井鉱山と結んだ公害防止協定をもとに、以来45年も施設に立ち入り調査を続けており、協定の効果は絶対なのです。従って公害防止協定を軽視したり、否定する輩は、完全な無知か、行政寄り人材と判断した方がいい。

 それに行政機関や政治方針は「継続性」が求められており、「別々の組織」で通るはずはないんですが・・・ここまでくるとやはり市民側の勉強不足だったのでしょう。それにしても、現地には共有地があり、それさえ手放さなければ計画は阻止できたはずだったのですが・・・またひとつ公害施設を許してしまったなんて、ほんとに残念無念。2016.8.7

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/