米子産廃、脅し記事にご用心

 米子産廃の件、ちょっと目を離していたら妙な展開になろうとしていました。油断もすきもあったもんじゃない・・・

 

事業者と住民乖離 淀江産廃場計画 条例手続き終結も 県審議会

平成30613日、日本海新聞

 鳥取県廃棄物審議会(会長・田中勝鳥取環境大客員教授)が12日、倉吉市で開かれ、米子市淀江町小波で予定されている産業廃棄物管理型最終処分場計画に関する関係住民と事業者間の意見調整の状況について協議。「事業者は前向きに対応しているが、事業者の見解と住民意見には乖離が見られる」とし、住民の意見を得るのは困難とする意見をまとめた。県は意見調整を続けるが、協議不調のまま県の条例手続きが終結する可能性も出てきた。

 県条例では、関係住民の理解を得ることが困難な場合、意見調整を終結できる。仮に合意形成を目的とした条例の手続きが終結すれば、事業者の県環境管理事業センターは廃棄物処理法に基づく許可申請手続きに入り、県が設置の許認可を判断する局面に移る

審議会では、591322日に行った関係住民5人と同センターの意見調整会議について報告。委員からは「住民の不安はもっともだが、(意見調整を)続けても平行線が続く」「納得した部分もあろうが賛成には至っていない」等の意見が相次ぎ、田中会長は意見調整終結の条件として掲げた県条例の条文に合致状況との見解を示した。一方、県は意見調整の申し出があった2自治会と他の関係住民3人について、日程調整を続けているものの、文書でのやり取りが続き意見調整会議のめどが立っていないと報告した。県は今後調整状況を踏まえ、同審議会に改めて意見を聞いたうえで手続きを終結するかどうかを判断する。(北尾雄一)

 なんと悪質な記事でしょう。特に中段のマーカー部分。「県は一方的に手続きを終結できる、そしたら次は施設の許可申請の手続きだ」だって? そうやって市民を脅かし、あきらめさせよるつもりのようですが、んなわけないでしょう。

 記事は触れていませんが、この計画でもっとも重要なことは、事業予定地の半分が米子市の市有地であり、市民はその土地を産廃処分場にすることにずっと反対していること、そして米子市はその土地利用について、業者と相談したことさえないとくりかえし発言していることです。

 当然ながら、事業者である県、施工する環境プラント、三セクは、それぞれ土地取得について市と協議し、それこそ「合意」を得ない限り、廃棄物処理法の手続きになど入れません(三社は利害関係が違うので、一本化するのはルール違反。行政組織≠産廃業者だからね)。市の方も、市民意見を無視して勝手に市有財産を処理することは許されず、米子市の関連条例の手続きはもちろん、住民の意見を聞くための公聴会や、事業の合法性、正当性を確認するための説明会なども必要とされます。もし、このような手続きが一切なされず、この記事のように、いきなり廃棄物処理法の手続きとなったら、それこそ、関係者が水面下で話をつけていたという意味であり、詐欺、汚職が疑われます(すでにそれを疑う状況証拠は山のようにあるけどね~)。

 思い出してほしいのは、問題の根本は、この事業のために県がわざわざ作った条例(鳥取県産業廃棄物処理施設設置促進条例)にあること。「事業者の責務」とされている「産業廃棄物の処理」事業を県が肩代わりするという、納税者をバカにした条例ですが、これは廃棄物処理法に明らかに違反。そして、こんな違法条例を喜んで通してしまった県議会議員は、その存在意義さえ疑われます(議会によっては、「ない」方がまだいい場合も)。県は、他の地域もやっているからといいたいのでしょうが、そんな言い訳は通りません。

 地域の人々は市有地について、県の違法行為について、もっともっと騒いでいい。この計画は明らかな住民だましであり、住民は問題の根底まで掘り下げて事実を明きらかにする権利があります。2018.6.25

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/