私は5月10日と11日、立山町の二つの区で行われた説明会に参加しました。
まず10日、高野区の説明会。公民館入り口には「町政懇談会会場」「入館は町民に限ります」の大きな看板が。ん?いったいこれは何にもとづくものだろう、と思いつつ、中へ入ると、たたみ敷きの大きな部屋の片方に、立山町関係者、県職員、そして3人の区長らが並んでいました(ちなみに、私は一応、町民の資格があります)。
立山町長の説明の後、県庁の二人が何枚もの資料を使って長々と説明。私だってうんざりしかけたころ、会場から「まだ、やるのか?」、「ベクレルとかシーベルトなんて、聞いたって、何もわからん」の声が。これで説明が少しショートカットされ、ようやく質疑応答に入りました。でも質疑にあてられたのはわずか20分ほど。7時から8時半までの会の後半20分は、本来の町政懇談会の議題にあてられることを知ったのは、質問を打ち切られる寸前でした。
質疑はもう・・・・・基本的に賛成ばかり。「何もわからん」のに賛成できるというのは、まさに保守的な地域のなせるわざ。中には、「入り口で反対のビラをもらった。なんで反対しちょるのか、ワシは聞きたい。ここで言うてもろうたらええ」という意見があり、「そうだ、聞こう」との声もあがったのですが、司会(立山町職員)はこれに断固抵抗し、私が挙手してもあてられることはなく、会はいいかげんなしゃんしゃんで終わりました。何しろ、参加者は最後に出席者に拍手を送るんだから、これって、いったいどういう世界?
行政は町民をだまくらかして、環境的に敏感な場所で放射能廃棄物を燃やそうとしているのに。立山クリーンセンター(焼却炉)は立山町と富山市の取水口のすぐそばなのに。焼却排ガスを止めることは誰にもできないのに。将来、問題がおきれば、最終的に責任を取るのは、国ではなく、自治体なのに。(法令上、そうなっている)。
後になって、参加者の中にはがれき受け入れに反対する人もいたことを知りました。でも、口をつぐんでいては、「反対はなかった」との報告が通ってしまいます。それが積み重なると、「どの説明会でも反対はゼロだった」となるでしょう。もちろん推進側は、そんな反対が出ないように、と地域に根回し工作しているもんなんですが。
富山県人は、問題に正面から向き合ってきちんと反対を打ち出してほしい。問題を知れば知るほど、反対するしかないと思わせるのが、瓦礫広域処理です。2012.5.15
立山町のおそろしい「がれき説明会」
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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