神奈川県の議会あて「おしらせ」ー漁網交渉

  先月26日、芦名処分場にがれき(漁網)を入れるための夜の水面下交渉に先立って、県は下のような「お知らせ」を議員に出していました。現地の一部役員に話をする前に、選挙で選ばれた代表に、先に話を通しておかなければまずい、と思ったのでょう。知事の名前ではなく、環境農政局長名でというところに苦労がしのばれます。
 ところで、私が気になったのは、この文章のマーカー部分です。  

拝啓
 盛夏の候、ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。
本県の環境農政行政の推進につきましては、日ごろから格別の御指導、御高配を賜り厚くお礼申し上げます。さて、東日本大震災により生じた災害廃棄物の受入につきましては、平成2312月の県議会本会議で知事が受入について表明して以来、これまで、受入策の検討などを行ってきたところですが、この度、岩手県内の漁網を受け入れ、かながわ環境整備センターに直接埋立てたいとの考えに至りました
そこで、本日、地元の大楠連合町内会の役員の皆様に対し、別添の資料により、知事が御提案させていただく運びとなりましたので、お知らせいたします。今後とも本県の環境農政行政の推進について一層の御指導、お力添えをいただきますようお願い申し上げます。敬具  
  平成24年7月26

 神奈川県議会議員各位
                                                         環境農政局長 中島正信 
 「~との考えに至りました」? 公共事業に求められている必然性だの正当性ではなく、こういう個人的な「考え」をベースにするなんて、おかしくない? こうやって、誰かの「考え」にもとづいて公共事業が執行できるなら、県政って完全に私物化されているということにならない? 
 揚げ足取りではありません。これは、こう表現することによって、その間行われた地元とのやりとり、環境省や企業との情報交換などを隠しておこうとの魂胆があるのです。普通なら、「・・・この間、関係者と情報交換をふまえ」くらい書くでしょうが、そうすると、市民がすぐ公開請求するので、それを避けたかったのでしょう。でも「提案させていただく運びとなった」とあるからには、やはり、打ち合わせをし重ねてきたのはまちがいない。黒岩のおっさん、県政を私物化しないでね、私たちといつ会うの?2012.8.11

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/