環境学会、がれき広域化の議論封じる

  「環境学会」なんて名乗りながら、「がれき広域処理を中止せよ」との声明ひとつ出せないなんて、看板に偽りあり。いいかげんにしてほしい。 

震災がれき:日本環境学会、中止声明案の議題化見送り
毎日新聞 20120609日 1926
 研究者や市民運動家らで構成する日本環境学会(会長=和田武・立命館大産業社会学部元教授)は9日、大分県別府市での総会で、震災がれきの広域処理を中止するよう求める声明案の議題化を見送った。学会側は「事前に提案の連絡を受けていない」と説明したが、提案準備を進めていたグループは「納得いかない」と反発している。声明案は、放射性物質などの拡散につながる震災がれきの広域処理をやめ、地元で最大限封じ込めるよう、国に方針転換を求めている。環境学会の前会長、畑明郎・元大阪市立大大学院教授のグループがまとめた。畑前会長は「事前にメールで会員に知らせている。議論さえしないのはおかしい」と憤慨した。環境省は東日本大震災後、がれき1キロ当たりの放射性セシウム8000ベクレル以下なら処理は問題ないとして、各都道府県や政令市に受け入れを要請。九州では北九州市や大分県津久見市が受け入れ準備を進めている。畑前会長らは「国際原子力機関でさえ、100ベクレル超は低レベル放射性物質として特別管理を義務付けている」とし、環境省の対応を批判している。【祝部幹雄】
http://mainichi.jp/select/news/20120610k0000m010031000c.html
 実は私も以前、この学会にごく短期間在籍していましたが、一年ほど前に抜けました。もともと学会運営に疑問があったのに加え、311後、政府が打ち出した放射能年間許容限度量の20mSv引き上げを認めようとするなど、許せないことが多かったから。今でも当時のことを思い出すと、むかつく。
 学者・研究者は、政府から研究費をもらわないと研究が続けられません。とはいえ、フクシマは、社会全体をゆさぶる衝撃的事件です。環境学会に属す学者なら、フクシマの現状と経過をきちんととらえ、よりよい未来のための提言=がれき広域処理の停止を=を行うべきなのです。なのに、その期待に応えないどころか、議論もさせないというのでは、同角界の政治に擦り寄る姿勢は明らかで、もう存在意義を失っていると感じます。
 フクシマは、専門家・研究者・学者と呼ばれる人々に、根源的な問いをつきつけています。
「お前は何を研究してきたのか?」「それは何のためか?」「今、そしてこれから、社会のために何ができるか?」など。自然科学は、特に政治と産業に結びつきやすく、多数の「御用学者」を生み出しているのは良く知られていますが、果たして、環境学会所属の研究者たちは、この問いかけにどう応えるのでしょうか? 2012.6.13

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/