焼却炉、新も旧もコンセプトは同じ

 前記事に対して、「海外の焼却炉付近で疫病等が高いというのは、古い技術の炉が多かったからではないか」というようなコメントがありました。まるで、「新しい焼却炉なら大丈夫ですね?」と言っているみたいに聞こえますが、焼却炉メーカー、あるいは行政関係者のコメントでしょうか。
 残念ながら、最新だろうが旧式だろうが、焼却炉のコンセプトはまったく同じ。ごみを燃やし、出てきたガスは薄めて環境中にばらまき、有害物質が濃縮した灰(特に飛灰)はセメントなどで固めて埋めるか、再利用するというものです。それに、たとえ最新の技術でも;

 ・排ガス中の微小粒子はバグフィルターなど簡単に通り抜けてしまう(PM2.5などは電子顕微鏡で見ないとわからないくらい小さいことにご注意。今は、ナノPMが問題化している)。
 ・それに元素はいくら加熱しても、分解も消去もできない。
 ・それ以前に、焼却炉の中でいったいどんな物質が新たに生じているのか、誰もわからない。

 つまり、究極の「未知の危険」を秘めた技術、それが焼却炉です。なのに、公務員はこういう↓おめでたいことを平気で言う。
 「(新ごみ焼却炉に)反対されている方の中には、最新のごみ焼却施設について、十分な認識をお持ちでない方があるのではないかと考えています」
https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1284625089288/activesqr/common/other/4d50c585002.pdf

 将を射るなら馬を射よ、ってことですかね。・・・焼却炉による健康被害が日本で問題にならないのは「焼却炉と健康被害」の研究・調査には決して補助金が出ないので、この問題に取り組む学者もいないし、表面化できないからです。でも、十年前は、大気汚染による健康被害をちゃんと伝える情報もありました。以後は消えてしまったけれど。

 アレルギー体質の若者が急増、20代前半で9割 (2003年1月)
 花粉症やぜんそくなどのアレルギー疾患になりやすい体質の若者が急増し、20代前半では9割近くが「アレルギー予備軍」である ことが、国立成育医療センター研究所や東京慈恵会医科大などの調査 で分かった。各国の調査では最高でも6割程度で、今回の結果は突出している。(中略)デンマークやスウ ェーデンなど欧州諸国での同種調査では30%前後という。(中略)
 アレルギー体質が決まるといわれる 乳幼児期を大都市(人口100万人以上)で過ごした人は92%が陽性で、中小都市出身者(約80%)より多かった。

 焼却炉は環境問題ではなく、環境をネタにした政治・経済問題です(再生エネも同じ)。だからメーカーは、「ごみ発電」という、もっと破壊的な装置をつけて、新型焼却炉を売り込んでいる。資源貧国の日本がごみを全量焼却するなんて、あってはならない選択肢なのですが。2015.6.24

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/