新潟、水銀問題

  旅行先の南国で、クーラーの強烈な冷気を浴び(外は猛暑)、風邪を引いてダウンしてしまいました。この間、PCの前に座ることさえつらく、ブログアップもストップしてしまいました。現在、回復モードに。ということで、おくればせながら、このブログの読者のみなさま、今年もよろしく。社会を少しでも安全な場所にできるよう、共に努力しましょう。
 なお、先回りしてお知らせします。2月初め、姫路・夢前町(巨大産廃処分場建設の問題が出ている)で「住民運動のすすめ」というテーマで話をします。いつもと違った切り口ですが、今の日本は、このままではとんでもないゾンビ王国となるのは時間の問題。住民が元気を取り戻して機能不全の組織を主導しない限り、子供たちの未来はとてもあやうくなっています。
 と、以上は前置き。今日は、昨年積み残したニュースをお伝えします。すでに「ニュース」ではないのですが、行政のやり方がよくわかるので、念のため。

水銀:埋めた飛灰から基準値超す――新潟・2処分場/新潟
毎日新聞 2012年12月14日 地方版 
 新潟市亀田清掃センター(同市江南区)は13日、同センターで焼却処理後、市内2カ所の埋め立て処分場に埋められた飛灰から、埋め立て基準(1リットル当たり0.005ミリグラム)を超えた水銀を検出したと発表した。今年10月31日と11月1日の検査で、亀田第3埋立処分地では基準値の最大2倍、北区の太夫浜埋立処分地は同3.4倍に上った。周辺の放流水や地下水の水質検査で異常は見つからなかったという。同センターは「燃えるごみではない水銀が、燃えるごみとして廃棄されたため」と説明。処分場では地中で二重の遮水シートで飛灰を保護しているため「溶け出す危険性はないが、今後、飛灰を掘り起こし、適正に処理したい」と話している。同6月、埋め立て前に飛灰を検査したが、結果が出る前に埋め立てていた。【山本愛】
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20121214ddlk15040024000c.html
 事件を概観すると、新潟市は2012年5-7月にかけて焼却飛灰の水銀が基準値を超えていたことを確認しながら、それを公表せず、施設を停止することも、排水を止めることもなく、汚染焼却灰を、亀田と太夫浜の処分場にひそかに埋め立ててしまっていたというもの。これが、「新潟水俣病」を生んだ自治体がやることだから、恐ろしい。今も記憶に新しい、新潟市民の「がれき拒否」抵抗運動には、この行政の不正行為があります。
 でも、新潟市は、問題が明るみにでた12月5日以後も、市民に何の説明も行わず、それどころか、篠田市長はわざわざ大槌町に出向いて「(大槌)町のみなさんに申し訳ない」と謝罪したそうな・・・謝罪すべき相手は新潟市民でしょうが(なお大槌町は「引き続き協力して欲しいと求めた」とか。この無神経、無責任。これが岩手の特徴か?)http://www.yomiuri.co.jp/feature/eq2011/information/20121207-OYT8T00637.htm
 その後、新潟市は12月24日に国立環境研究所の研究員を招いて「勉強会」を開催。ところがこれに参加できた市民は、市が招待したたった16名だけというから異常です。本来、出てはいけない水銀が排出された理由が、市民が出す「一般ごみ」にあるのなら、全市民を対象にした勉強会を、数年かけて行わなければなりませんが、新潟市は、まさかこれでおしまいにするわけじゃないでしょうね。御用学者は言わなかったでしょうが、水銀をとりまく世界の状況はとても厳しくなっていて、今回のケースは、施設の即時停止が求められる案件です(東京だってずいぶん止まっていたしね)。灰も勝手な処理はできません。
 それにしても、「地方」の怖さ。金と地位に狂った人間を首長に選ぶという悪習慣をやめないと、泣くのは一般市民なんですけどね。2013.1.10

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/