放射能被ばくは「公害」

 日本では人命や人権はとことん無視されます。「下手人」は野放しのまま、被ばく・被災者は被害の補償もないままほうっておかれているのが実情。一部の人たちが裁判に訴えたのですが、日本の司法は行政に従属しているから、まともな判断は下せないでしょうね。

国と東電相手に集団提訴=原発避難者ら1650人―請求額53億円以上【震災2年】
時事通信(20133111748分)
 東京電力福島第1原発事故で避難や低線量被ばくを余儀なくされたとして、東日本大震災から2年となった11日、周辺住民が国と東電を相手に、慰謝料と原状回復を求め、福島地裁、同地裁いわき支部、千葉、東京両地裁にそれぞれ集団訴訟を起こした。原告は4地裁・支部で計1650人、請求額は少なくとも53億6000万円以上になる見通し。弁護団によると、原発事故で国を相手とした集団提訴は初めて。福島地裁の提訴には、事故発生当時、福島、宮城、山形、栃木、茨城各県に居住していた800人が参加。このうち、1割が避難指示区域からの避難者。原告側は放射線量を事故前の状態に戻すことと、戻るまでの間、慰謝料として1人当たり月額5万円の支払いを求めた。
 国を被告に加えた理由について、弁護団は「原子力事業は国策として推進されてきた経緯があり、国による事業と同視できる」としている。馬奈木厳太郎弁護士は提訴後、記者会見し「訴訟を通して原告だけでなく、被災者全体の救済につながる制度の制定につなげたい」と強調した。同地裁いわき支部への提訴は、いわき市の住民822人が原告となり、放射線量を事故前のレベルに低減することと大人1人当たり月額3万円、子ども同8万円の慰謝料などを求めた。一方、福島県から千葉県に避難している住民の弁護団は、国と東電を相手に損害賠償を求め、訴状を千葉地裁に提出した。原告は8世帯20人で、1人3200万円の慰謝料や1世帯当たり3600万円前後の住宅損害など、総額10億円余りを請求している。東京への自主避難者8人も同日午後、国と東電に1人当たり1200万円の慰謝料などを求め、東京地裁に提
訴した。

「世界中に迷惑をかけた(直視、反省)、二度と事故は起こさない(脱原発)。放射能被災者および被爆者にはどんな償いもする(被害者補償)」という代わりに、「放射能はただちに影響はない(被ばくの否定)、絆で苦境を乗り切ろう(がれき拡散、焼却処理、各県ひとつの核処分場)、被災地復興が最重要(エートス)」、が日本政府の態度。巨額の復興予算は被害者救済にではなく、各地の公害施設建設に向けているという恐ろしさ。

復興予算:がれき受け入れ除外でも交付金 7市町と3団体
20130224
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 東日本大震災で発生した災害廃棄物(がれき)の広域処理を巡り、がれきを受け入れない秋田県潟上市など7市町と3団体に、国が復興予算約176億円を交付することが分かった。7市町などは当初、受け入れを検討したが、がれきの全体量が判明後、環境省が必要がないと判断し、受け入れ先から除外した。予算は各地の廃棄物処理施設の整備などに充てられる。
 環境省は、放射性物質に対する不安などで進まない震災がれきの広域処理を促すため、11年度3次補正と12年度予算で復興財源枠の予算を計上。12年3月には、がれきを受け入れる施設整備などに復興予算を充てると通達した。同省は「がれきの総量が分からない中で協力を求めた。返還は求めない」としている。対象の自治体・団体と金額は、<北海道>中・北空知廃棄物処理広域連合=28億2000万円<秋田>鹿角広域行政組合=2億円、潟上市=2億8000万円<群馬>伊勢崎市=2億7000万円、玉村町=11億3000万円、高崎市=6000万円、甘楽西部環境衛生施設組合=3億8000万円<埼玉>川口市=36億3000万円<京都>綾部市=2億9000万円<大阪>堺市=86億円【山下貴史】
http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20130224k0000e010099000c

 「被災者を救え」という声を絶対聞き入れようとしない政府。これは
私たちがそういう国づくりをしてきたからです。その体制作りの核になった自民党が再び政権党になっては、事態はさらに悪化するのはまちがいありません。震災から二年、多くの人はフクシマを忘れかけ、犠牲者は沈黙と負担を強いられている・・・これは日本が経験してきた「公害」と同じ構造。公害問題が解決していないように、フクシマの放射能汚染は、新たな公害問題として日本人全体に襲い掛かってくるでしょう。2013.3.14

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/