広州で焼却炉反対デモ隊と警察が衝突

 惨院選の結果は、「選挙システム」はもはやうまく働かない、という感を強めただけです。とりあえず投票はしましたが…ま、感想は→mirushakai.jugem.jp/をごらん下さい。
 ところで、世界の原発・焼却炉メーカーが虎視眈々と狙っている中国では、新たな焼却炉計画が目白押しで、強い住民の反対が起きています。中国人は日本と違って「焼却炉=安全」とは考えていないし、日本のように「羊」ばかりじゃないからね。

ごみ焼却場反対デモで負傷者=警官隊と衝突-中国・広州


2013/07/19-22:18
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013071900954


【香港時事】中国広東省の省都・広州市の花都区政府前で19日、ごみ焼却場建設計画に反対する住民1000人以上がデモを行った。香港のラジオが伝えた。デモ隊の一部は警官隊と衝突し、多数の負傷者が出た。花都区では15日、郊外の町役場前で約1万人のデモがあったが、この時は混乱は起きなかった。町当局が話し合いに応じなかったため、住民が上部機関の区政府に押し掛けたとみられる。デモ隊の一部が警察のバリケードを突破して区政府に乱入しようとしたり、警官隊にペットボトルなどを投げ付けたりしたことから、警察側が区政府前に集まったデモ隊を強制排除したという。

 これに先立つ7月13日には小規模のデモがあり、その二日後の15日には、一万人が参加したデモがありました。この大規模デモは外電も大きくとりあげていました。↓の記事によると、http://www.scmp.com/news/china/article/1283465/10000-join-protest-against-incineration-guangzhou、焼却炉が建設されるのは皮革工場が集まった「花都国際皮革皮具城」であり、人口密集地。皮革製品の生産には、カドミウムやクロムなど大量の重金属や薬剤が使われるため環境汚染が深刻なことは知られています。住民が最も懸念しているのも「さらなる汚染」でした。

 (写真は17日の一万人デモ)

 33歳の男性のコメント。「とても腹が立つ。焼却炉は自宅からたった500メートルなんだ。ウチには子どもが二人いるが、彼らに病気になって欲しくない」「世界中のハンドバッグの半分は、ここで作られているんだよ。獅林(地名)はもう十分汚染されている、これ以上、焼却炉なんて受け入れられない!」。かくて、3時の出発時点で3千人だった参加者は、行進が始まると通行人も次々に飛び入りし、最後は1万人に達したのです。この日は、デモ隊は平和的に解散し、約千人の警察官も、女性や老人を見守り、秩序を保ったのですが、獅林村はその後、話し合いに応じなかったため、19日のデモに至ったよう。

 警察は、感情的になった一部の市民を連行するなどし、双方に軽症は出たようですが、「多数の負傷者」について明記してある記事は見当たらず。警察は大型バスを用意して、群集に解散を促しています(今、中国国内で反政府運動が起きるのを誰より期待しているのがアメリカと日本だから、中国政府もそりゃ敏感なはず)。

 で、この計画について、行政がどう言っているかというと;「公衆も個人もこの計画に参加する権利がある。特にアセス調査の第一次公示(アセスのコメントのことか?)そして、社会リスク評価の手続きの第一次公示(こういうのもあるらしい)に参加できる。それに、大部分の村民が同意しなければ決して建設を強行しない。土地収用の場合、補償協議書の締結が必要だし、土地の権利を持っている組織と村民の同意がいる…」んだそうです。

 鮫川村のことを考えると泣けてきますね。環境省は、「仮置き場を作る」と地権者をだまくらかして同意のハンを押させ、反対者のハンコは捏造し、ダイオキシン特措法に違反してこっそりと着工してしまったのです。しかも完成したのは、世界初の実験施設、「指定廃棄物焼却炉」、アセスもやらないし、まともな住民説明会もない。これほどひどい違法事業を押し付けられているのに、鮫川村も周辺市町村も環境省に黙って従うのみ…「怒れる市民」がいないと、日本の環境は守れません。2013.7.23

(その他の参考)
http://www.macaodaily.com/html/2013-07/16/content_820400.htm
http://epaper.nfdaily.cn/html/2013-07/23/content_7209284.htm
http://tieba.baidu.com/p/2475908400

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/