安岡洋上風力発電事業に「待った」??

久しぶりに風車のニュースです。山口県下関市に持ち上がっている、日本最大規模の洋上風力発電事業は、これまでにも地元住民の大反対があって広く報道されていましたが、もう環境影響評価の手続きに入っていたのですね。これについて、市長が環境審議会へ諮問したのですが…

 

下関市環境審議会が答申 | NNNニュース

[ 3/22 21:01 山口放送] www.jrt.co.jp/nnn/news8708866.html

 下関市の安岡沖に計画されている風力発電事業について、市の環境審議会は「計画は、地域に受け入れられる社会的環境が整っているとは言えない」などとする答申書を市長に手渡した。22日、下関市環境審議会の鷲尾圭司会長らが市役所を訪れ、中尾市長に答申書を手渡した。審議会は4回に渡り、事業者の前田建設工業が環境への影響についてまとめた準備書について意見を交わしてきた。答申では「低周波振動の問題は、最も近い発電設備・風車が陸地から1.5kmの位置に設置されることが地域住民の不安に繋がっている」とした上で、「建設計画は、地域に受け入れられる社会的環境が整っているとは言えない」などとしている。審議会の鷲尾会長は「北九州市のように港湾区域における計画の場合、工業地帯・港湾地帯ということで市民にも理解されていると捉えられるが、ここは一般海域であり、工業的な利用について認知・地域合意が形成されていないという問題もあると思う」と話していた。市長は4月7日までに、この計画に対する意見を知事に伝えることになっている。

 環境審の答申はここ→答申(写し)(2MB)(PDF文書)

 事業を全面に渡って批判的に論評しており、なかなかまじめで出来のいい内容です。だからといって、「事業を中止せよ」とまで踏み込んでいないのは残念ですが(そこまで諮問を受けていない)、審議会はほとんどが「OK機関」であることを考えれば、画期的なんじゃないか。特に、建設地域を「一般海域」として認識しているところが重要です。都市計画でいえば、工業地帯ではなく、住宅地域に公害施設を作るな、という感覚…ちなみに、風車はそういった土地利用のゾーニングを完全無視して建設されている(国立公園内であろうが、森林保護地域であろうが)、恐るべき無法事業なんですけどね。

 今後、市長が知事へ出す意見書は、基本的にはこの答申を「尊重」しなければなりません。そうなると、実質的に「待った」をかける可能性がある。前田建設はそれをさせまいと、色んな手を打つでしょう。この審議会答申は、事業を先に進めるか、それとも立ち止まって考えるか、を決める重要な契機、市民はさらに、問題に「積極関与」しないとね。だって、安岡の海は住民のものであり、前田建設のものじゃないんだから。2017.3.23

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/