地方へ向かう汚染焼却灰

 今、首都圏の焼却炉からは日々、大量の放射能汚染焼却灰を生み出されていますが、多くの市町村はその灰の捨て場がないため、遠くの県の人口の少ない民間処分場にその処理を委託しているのです。市川市の灰が向かったのは小坂町の民間処分場「グリーンフィル小坂」。 
秋田・小坂町 1年4カ月ぶり焼却灰受け入れ再開 渦巻く不安の声/千葉
毎日新聞 11月23日(金)12時12分配信
 首都圏からの一般廃棄物焼却灰の受け入れについて、秋田県小坂町と合意した処理業者のDOWAエコシステム(本社・東京)は22日、同町内の同社系列の最終処分場への搬入を再開した。小坂町は、東京電力福島第1原発事故の影響で、国の埋め立て基準を上回った放射性セシウムを含む松戸市の灰の搬入が表面化した昨年7月以降、受け入れを中断しており、再開は1年4カ月ぶり。町民の間には不安を訴える声も根強く、複雑な感情が渦巻く再開となった。
 この日、搬入されたのは、市川市の焼却灰36トン余。同社によると、灰は22日午前8時前に最終処分場に到着。町や県関係者らが見守る中、車両ごとに放射性物質濃度の数値が管理計画で定めた搬入基準(1キロ当たり4000ベクレル以下)をクリアしていることを確認、車両の線量をチェックした上で場内に埋め立てられた。細越満町長は「住民の安全確保に向け、事業者と共に取り組む」と強調した。一方、受け入れ再開に中止や再考を求めてきた市民団体メンバーらは、場内への立ち入りは認められず、作業を遠巻きに見守った。同町には年度内に市川市などから計2800トンの焼却灰が搬入される。【田村彦志】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121123-00000114-mailo-l12
 これに対し、小坂市の住民も、排出先の流山市や市川市、環境省などを訪問して「再考」を求めていますが、ノレンに腕押しだったもよう。いやはや、行政機関が環境汚染や、その広域拡散を推進している国っていうのは恐ろしいものです。
秋田・小坂町、焼却灰問題 市民団体、搬出再考求める 流山・市川市など訪れ/千葉
毎日新聞 11月14日(水)12時35分配信
 秋田県小坂町の最終処分場に対する焼却灰の搬入再開を15日に控え、再開に反対する秋田県の市民団体「米代川の清流と命を守る流域連絡会」(栗山京三代表)が13日、流山、市川両市と環境省を訪れ、搬出再考などを求める要望書を提出した。周辺より放射線量が比較的高い流山市は、すぐに搬出を開始しない方針を明らかにしたが、流山市に比べ、線量が低い市川市は搬出を再開するという。同会によると、東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染された焼却灰について「国は安全性の科学的根拠を示していない」として、搬出の再考を両市に求めたほか、環境省に対しては、同町に埋め立て処理されてしまった汚染焼却灰などの実態解明と適正な処理を求めた。この日、流山市役所を訪問した一行は栗山代表が要望書を読み上げ、同市の飯泉貞雄環境部長に手渡した。栗山代表は「(小坂町の)処分場の放流水からセシウムが検出された。放流先の米代川上流部は飲料水や農業用水の水源。受け入れ再開は不安を抱えている住民の気持ちを無視したもの」と訴えた。これに対し飯泉部長は「当面の搬出先は確保されており、小坂町への搬出予定は今のところない」と説明。焼却灰以外の不燃物の搬出にとどめる方針を示した。
 小坂町では、昨年7月、現在は国による処理が義務づけられている1キロ当たり8000ベクレル超の放射性セシウムを含む焼却灰の搬入が明らかになり、両市や松戸市などからの受け入れを中断していた。市川市では15日以降、焼却灰の搬出開始を予定しているという。【橋口正】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121114-00000126-mailo-l12
 「グリーンフィル」は放射能汚染対処特措法の公布前に、高濃度の汚染灰を入れていたという無法企業、今後も同じような「違法」をやらかす可能性大。飲料水や農業用の水源の川に放流する、っていうのも、ちゃんと違法性が問えるのですが・・・富山と同じく、行政と住民の無知が問題なのかも。首都圏では上下水道の汚泥も全量燃やしているから、汚泥の線量はかなり高いはず。よ。昨年、千葉県の柏市では7万ベクレル超(下の記事)、東京・江東区では東部スラッジプラント近辺で23万ベクレル/㎡というすごい値が出ています。[動画]江東区、汚泥処理施設近くのグラウンドの土からセシウム23万ベクレル/㎡
放射性物質:焼却灰から7万ベクレル超を検出 千葉・柏
毎日新聞 2011年7月10日 21時41分
◇可燃ゴミ、2カ月後受け入れ中止も
 千葉県柏市は10日、市内の清掃工場で発生した焼却灰から、1キログラム当たり7万ベクレルを超える放射性セシウムを検出したことを明らかにした。東京電力福島第1原発事故の影響とみられ、焼却灰の埋め立てを6月末から中止している。現状では、約2ヶ月で灰の保管スペースがなくなり、一般家庭などからの可燃ごみの受け入れが不可能になると予想される。国は6月、同8000ベクレル以上の焼却灰は埋め立てず、一時保管するよう指針を定めたが、一時保管後の処分方法は決めていない。同市は週明けに も国に対し(1)埋め立て可能な最終処分の新基準策定、(2)一時保管場所の確保、(3)処分費用の全額国庫負担--を緊急要望する方針という。
 同市によると、公園や一般家庭の庭などで放射線量を下げる目的で、草刈りや樹木の枝・葉の剪定を実施し、可燃ごみとして清掃工場へ持ち込まれたため、数値が上がった可能性があるという。2カ所の清掃工場のうち、6月下旬から7月上旬まで3回の検査の最大値は南部クリーンセンターで同7万800ベクレル、北部クリーンセンターで同9780ベクレル。両センターの焼却灰の最終処分場で同4万8900ベクレルだった。同市は1日平均280トンの可燃ごみを2清掃工場で受け入れ、同21.3トンの焼却灰を最終処分場に埋め立てている。【早川健人】
http://mainichi.jp/select/science/news/20110711k0000m040035000c.html
 東京でも、焼却灰からセシウムが検出され続けていますが、この測定値が何を意味するのか、線量の変遷など精査が必要ですね。下は測定値の一例。

  • 焼却灰等の放射能濃度測定結果(5月9日~5月18日採取分)(PDF:152KB)

  •  都会のごみは、最後には田舎に行きます。したがって、今、がれき広域処理に手をあげている地方の市町村は、次にはこの焼却灰を押し付けられることになるでしょう。対処法は、ごみの焼却禁止と汚染物の広域処理禁止を含めた新しいごみ処理のシステムを作ること。徐染なんか求めても何の役にも立たないんだから。2012.11.24

    この記事を書いた人

    山本節子

    調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
    立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
    住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
    ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/