公害防止協定は住民の権利

  友人のMIKOがブログで反原発運動とがれき反対運動の「ウラの事情」を書いています。人名とかは伏せ字ですけどね、わかる人には面白い。

エコタウン事業を知る会(旧北Qの子どもを守るねっとわーく・…
福島原発事故により故郷福島から北九州市に自主避難したmikoから見た反対運動と事故後の行政の対応、人々の様子を書いてます。北九州市のエコタウン・JESCO問題も…

 反原発デモの「シングルイッシュー」規制に疑問をもった人、運動にまきこまれ、「だまされた」と思う人もいるかもしれません。私の経験でも、どこかの有名人やセンセイなどが地域に入ってくると、運動は方向性を失って迷走を始めます。そこで私がよくアドバイスするのは、常に「基本」に帰れということ。基本とは法令のこと。住民は法律によって守られるべきだし、実際、守る手立てがあるからです(住民の権利を侵す法令は戦時法令のみ。従って、特定秘密法案や、いずれ来るTPP関連法は違憲のシロモノです)。

 具体的には工場や焼却炉など公害施設受け入れが避けられない場合、町内会や自治会、あるいは個別の住民組織には、事業者を相手に公害防止協定を結ぶことができます(環境基本法に準拠)。すでにそのような協定があれば、それを根拠に建設や事業を拒否できます・・・ところが実際は、各地に足を引っ張る工作員がいて、とにかくガセネタをばらまく。上のブログはそのことを書いています。下はここ数年、私がかかわってきた事例のごく一部ですが:

★神奈川県
 神奈川県はがれき焼却灰(後には漁網)を県の最終処分場に埋めようとしたが、地元との公害防止協定に「他県のごみ入れない」という条項があったため、受け入れをあきらめた。しかし、なんとしてでもがれき受け入れの実績を作りたかった黒岩知事は南足柄市と箱根町に、漁網を押し付けた。両自治体とも地元との協定はなく、(産廃処理の実績が求められていたが)漁網など扱ったこともなかった・・・恥も外聞もないタレント首長の愚行
★静岡県
 静岡県沼津市と清水町は、『二度と同じ場所にごみ処理施設を建てない』という公害防止協定を破って、清水町外原区に再び新施設を建設する計画を進めている。清水町は、公害防止協定は官民の契約であり、それを一方的に破るのは契約違反、違法行為であり、公序良俗に反することを知らないというお粗末さ。厳しい意見書を出しましたが、「どこの馬の骨か知らない人間の意見書なんて」という反応だったようです。議会も同じ低レベルで、建設ありき。でも、無理に進めれば提訴に至り、敗訴となることは明らかです・・・環境省+メーカーの圧力が疑われる件
★横須賀市
 横須賀市の新ごみ焼却炉建設は、連合町内会の委員らと市が設立した「協議会」で勝手に決めたもの。その時点で市民は何ひとつ知らされていません。都市計画決定が必要な施設を、法的資格もない任意団体のOKで決めるというのはもちろん根拠法なしの違法。しかも、やるなら公害防止協定を作れと市民が求めても、市は「協議会を相手に環境協定を作る」と応じているとか。これも違法。私は以前、同市の都市計画に「保留フレーム」という制度があるのを知り、何回もその意味をたずねましたが、誰も答えられなかったなあ~ 横須賀は西武の町。この計画にはウラがあります。来年、被爆した原子力空母、ロナルド・レーガン号が横須賀を母港にするというのに、この町の人間はのんきすぎ。なんとかしろよ。

 ・・・いずれも、一見「反対派」によるまともな運動のかき回しや分断工作とセットでしたね。しかもこれはごく一部の例。住民が、自分たちの権利に本当に目覚めて声をあげ、議会や自治体を正さない限り(場合によっては議会などないほうがはるかにいい)、フクイチのような事故はいつでも起こるのです。2015.3.23

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/