佐那河内村、再び「ごみ広域化」に足をつっこむ?

   焼却炉問題の続き(「ごみ問題」とはどこに焼却炉を建てるかという問題なので、焼却炉問題としました)。

 今回の「県東部」とは徳島県東部のこと。そうです。一昨年、突然もちあがった「広域焼却炉計画」を住民が一丸になってつぶし、村長の首をすげかえた佐那河内村を含む地域のこと。「白紙撤回」で当選した新村長が、再び「広域協議会」に参加しようとしているようですが、ひどいのはそれを伝えた新聞の記事↓です。マーカー山本。

 

県東部ごみ問題 住民の合意形成が必要だ

201687日 http://www.topics.or.jp/editorial/news/2016/08/news_14705314207058.html

 徳島県東部の自治体が計画し、昨年頓挫した広域ごみ処理施設の整備に向けて再び協議が始まった。協議の中核を担う徳島市は本年度内に建設候補地を決め、整備方針をまとめる意向だ。ごみ処理施設の更新時期は完成から20~25年とされるが、徳島、小松島両市と石井、北島両町の4施設は築30年を超えている。早急に協議を進めてほしい。
 施設整備を巡っては曲折を経てきた。建設候補地となった佐那河内村で反対運動が起き、昨年11月の村長選で、計画の白紙撤回を訴えた岩城福治氏が当選した。これを受け、当時の原秀樹徳島市長が市単独整備に方針転換したため協議会は解散した。今年3月の徳島市長選で広域整備の必要性を訴えた遠藤彰良氏が当選し、小松島市と勝浦、松茂、北島、石井の4町が徳島市に協議再開を要請。6月に6市町で「担当者連絡会」を立ち上げた。人口減少、財政難の時代にあって、近隣自治体と共同で取り組む広域行政は時代の流れといえる。ごみも広域処理すれば、経費や環境への負担を軽減できる。問題はどの自治体が施設を受け入れるかだ。徳島新聞が連絡会を構成する6市町に「受け入れの用意はあるか」と尋ねたところ、「ある」と答えた自治体はなかった。建設地選びが難しく、住民の反対を招く恐れもあって尻込みするのは無理もない。とはいえ、協議の内容をオープンにせず、不都合なことを隠そうとしてはならない。佐那河内村で反対運動が起きたのも村民に協議内容を知らせなかったからだ。徹底した情報公開と住民への丁寧な説明が不可欠である。

    ここにきて、佐那河内村は協議への参加に前向きな姿勢を示している。連絡会の発足を受けて、岩城村長は村民対象の行政座談会を7カ所で開き、協議参加を申し入れることに理解を求めた。村長はもともと広域整備に反対しておらず、村長選では「計画を白紙撤回した上で、住民と議論し、村内建設の是非を判断する」と主張した。できれば協議会にも残りたいとしていた。小さな村を運営していくには、広域行政の枠組みに入る必要があるためだ。ごみ処理を委託している民間業者の施設が老朽化し、新たな処分先を確保しなければならないことも背景にある。村長は協議に参加しても村から建設候補地を出さないとしている。施設建設を巡って村が混乱した経緯があるのは分かるが、村だけを候補地から外せというのは地域エゴにほかならない。6市町が村の協議参加をすんなり認めるとも思えない。遠藤市長は「市から積極的に呼び掛けることはない」との考えを示している。村内にはさまざまな意見があり、合意形成には至っていない。村は、協議参加の申し入れを慎重に考えるべきだ。(徳島新聞社説)

 「地方紙」にはまじめな権力監視型と、権力べったり型がありますが、この徳島新聞は後者。

 一行目からひどい。もともとごみ処理広域化計画とは国策であり、県計画から始まったものです。一昨年もちあがった佐那河内(さなごうち)村の焼却炉計画もそうでした。ところが、住民には寝耳に水だったのに、記事には「自治体が計画し」とある(後段で「協議内容を知らせなかった」とありますが、実際は「隠密裏」に進められていた)。さらに、新聞社の分際で「早急に協議を進めてほしい」とは面妖な。報道機関が、国、県、そしてこの事業の利益を見込む産業界を代弁して、広域化の旗振り役になっては「中立・公正」を投げ捨てることになるんじゃない? 「広域行政は時代の流れ」も同じく。「ごみも広域処理すれば負担軽減できる」に至っては、まるっきりごみ焼却炉メーカーのPRとしか言えません。

 

 一方、岩城新村長は、あくまでも「白紙撤回」を公約にしたのだから、改めて広域協議会に入るのは公約違反。「ごみ処理広域化計画」は、基本的に広域協議に加わった自治体すべてが広域化計画を策定し、そこで平等な負担が求められることになるのだから、いずれ佐那河内村も、焼却炉か処分場を引き受けなければならなくなります。現に、最初の計画が佐那河内に出たように、山あいで人口が少なく、発言力の弱い小さな佐那河内村が、結局、第一号の施設建設地になりかねないのです。新村長といえども、それくらいは理解しているはずですが、あえて広域協議に入ろうとしているのは、おそらく取り巻きにその筋の策士がいるのではないかと考えられます(どこも事情は似たようなものなので、この判断は当たらずとも遠からずでしょう)。

 また、徳島新聞は「村長は協議に参加しても・・・村だけを候補地から外せというのは地域エゴ」と、これまた広域推進派の目線で述べていますが、そのような「地域エゴ」が、地域を公害から守ってきたのだという歴史を知らないのでしょうか。おそらく、同紙が本当に言いたいのは、「さっさと村内の意見をとりまとめて合意を形成しろ」ということでしょう。まるで業界紙。

 

 しかし、「広域協議参加」への合意形成は、限りなく「焼却炉受け入れ」への合意形成に近いのです。

 佐那河内村の住民は、反対運動、村長選勝利で、おそらく一息ついているのでしょうが、早く目を覚まさないと。一度「計画地」になった地域は、よほど法令などで保護する手立てを考えない限り、再び計画地になるものなのです。そして今の時代、ごみ焼却炉も、処分場も、過去にはなかったような汚染をもたらしかねないことも知っておかないとね。2016.8.10

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/