私はこのところ、政治ブログは閉鎖しています。国際問題は誤情報ばかりが飛び交い、「肝心なこと」ほど報道されないため、確実な情報を得るのに時間がかかるためですが、最近、ベネズエラに関する誤情報が多すぎるので、ちょっとアップ。
アメリカと北朝鮮との「期待された戦争」が、ロシア、中国、韓国などの努力で回避されたため、Deep Stateが次に目をつけたのがベネズエラ。この↓記事でも、マドゥロ大統領を「独裁者」としているのは、次に来る「内乱、戦争、国内不安」が不可避であるとのイメージを植え付けるため。悪質です。
米州諸国、ロシアの「挑発」非難=ベネズエラへの空軍機派遣
2019/03/27 09:07時事通信社
【サンパウロ時事】ベネズエラに民主化を求めるブラジルなど米州諸国から成る「リマ・グループ」は26日、声明を出し、ベネズエラのマドゥロ政権を支援するためロシアが空軍機で兵員約100人を派遣したことに対し「地域の平和と安全を脅かす挑発や軍の展開を非難する」と発表した。声明はまた「正統性のないマドゥロ政権に今も協力している国々は、ベネズエラの民主主義と憲法秩序の回復に協力してほしい」と要請。ロシアや中国などにマドゥロ政権の後ろ盾となるのをやめるよう促した。
マドゥロは正当な選挙で、圧倒的国民の支持を受けて選ばれた「正統な大統領」であり、ロシアの派兵も、マドゥロ政権との軍事協定にもとづいた正当なもの。派兵は、アメリカが反政府勢力によるかいらい政権成立をめざして、隣国から武器をベネズエラに送り込もうとしたことに対するけん制でしょう。「地域の平和と安全を脅かす挑発行為」をくり返しているのもアメリカで、先月の大停電もアメリカによるサイバー攻撃だと見られています。
ベネズエラを本当に狙っているのは、何の制約もなくこの国の豊かな資源を略奪し、事業を展開したいと考えているグローバル企業(アメリカはその窓口)です。ところが、ベネズエラは故チャベス大統領以来、「わが道を行く」政策で、グローバリストの言うことをきかない。そこでグローバリストは、リビアやシリアと同じように、ベネズエラに「反政府運動」という名前のテロ攻撃を仕掛けたわけ。国内に不安・不満のタネをまき、不満分子のデモなどに便乗して殺人、破壊工作を起こし、国全体を不安定化させるのです(ちなみに、政府がアメリカに完全従属している国では、不満・不平があっても人が反政府で立ち上がることはまずありません。立ち上がれない仕組みが張り巡らされているからです)。
ところで、記事の「リマ・グループ」とは何でしょう。この地域の協力協定には米州機構(OAS)がありますが、この名前は聞きなれないので、チェックしたところ…
リマ・グループとは;
・アメリカとその属国が2017年8月に組織した便宜的な集まり。いわゆる国際機関ではない
・この組織の目的はただひとつ、「ベネズエラ危機から平和的脱出をはかる」。そのために「リマ宣言」なるものを出し、現在のベネズエラ政権を転換しようとしている。・・・これって国際法違反。
・参加しているのは12か国(アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、ガイアナ。ホンデュラス、パナマ、パラグアイ、ペルー、セントルシア)…33か国が加盟する正式なOASでは、リマ宣言など出せなかった。なお。メキシコはリマ宣言を承認していない。
・国連憲章に違反する(加盟国はいかなる国に対しても武力による威嚇もしくは武力の行使を慎まなければならない)
・モンテビデオ条約(1933、国家の権利及び義務に関する条約。米初め中南米諸国のほとんどが署名)に反する。
どの国も、他国に干渉したり、武力を用いて領土や政権を変更したりすることはできません。これは普通の人にとっても常識ですが、多くの国際条約が明言でそれを禁じているのも、下手すると「権力は暴走する」から。ところが、リマ・グループは、おおっぴらにこの禁止を破り、ベネズエラに対して、経済制裁、武器輸出、テロ工作などあらゆる他国干渉を実行し、「犯罪組織」とか「リマ・ギャング」と呼ばれているほどです。そんなことも伝えないメディアもまた「ギャング」の一員というわけですが、それにしても、ベネズエラは苦境を乗り切ってほしい。2019.3.28