インフルワクチンで化血研の薬事法違反明らかになる

 今年のインフルエンザワクチンが足りなくなるかもしれない? これで接種ラッシュなど起きないようにしてほしいものです…

化血研のワクチン出荷遅れ、インフル予防接種
2015年10月01日http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20151001-OYS1T50031.html
  1日から始まった季節性インフルエンザの予防接種で、ワクチン製造4メーカーのうち、化学及血清療法研究所(化血研、本所・熊本市北区)の製造分が、1日時点で出荷できていないことが分かった。化血研によると、今季出荷予定の850万本のうちまず450
万本分について、9月15日までに厚生労働省から、国家検定合格の連絡があった。しかし、その後の同省の確認調査に対する書類の提出などが遅れ、1日の接種開始までに出荷が間に合わなかったという。厚労省監視指導・麻薬対策課は「数日中に確認を終えて出荷できるだろう」としている。化血研は、医療機関に出荷の遅れを文書で通知するとともに、他の3メーカーに供給の協力を依頼しているという。「医療機関や接種を希望している人には大変申し訳ない。許可が出次第、速やかに出荷したい」としている。

 「書類の提出遅れ」で「許可が得られなかった」はずが、十日後には薬事法違反を働いていたことが明らかになりました。なのに新聞は「出荷」「ワクチン不足」だけを問題にしています。広告費の関係ですかね。

インフルワクチン、出荷見通し立たず 製造4社の一つ

2015年10月10日http://www.asahi.com/articles/ASHBB3JZXHBBULBJ007.html
 インフルエンザワクチンを製造する国内4社の一つ、化学及血清療法研究所(化血研熊本市)が、今季の出荷を始められないでいる。厚生労働省に指示された製造工程の確認が終わっていないのが理由とし、出荷の見通しは立っていないという。化血研は今季、850万本(大人で1700万人分)を担う予定で、長引けばワクチン不足が起きる恐れがある。
インフルワクチン、コスト高で値上がり
 ワクチンの接種は10月下旬から本格化する。今季は4社で計約3千万本(同約6千万人分)製造することになっている。化血研によると、同社の血液製剤が国に承認された製造法とは異なる方法でつくられていたことが明らかになり、6月から一部を除いて出荷停止になっている。インフルエンザワクチンでも、同様の問題がないか確認するよう厚労省から求められ、その作業が終わっていないという。これまでに製造した450万本は、有効性などを確認する国の検定を通っている。化血研は、ワクチン不足が起きないように、ほかのメーカーなどに協力を依頼しているという。

 「国が承認した製造法と異なる方法で作っていた」と聞くと、1989年のMMRワクチン禍事件を思い出さないわけにはゆきません。当時、阪大微研は承認時と異なる製法でおたふくかぜワクチンを製造したため、厚生省の公表でも1800人が無菌性髄膜炎の被害に遭い、より重大な被害として、死亡5人、重度脳障害、難聴などが発生」MMR大阪訴訟:薬害エイズに酷似の構図 – Ne)という大きな被害を出したのです。しかし厚労省はその後も在庫がはけるまで接種を続け、1994年になってようやく中止したのです(予防接種法が改正された年でした)。しかも同省は過失を認めず、被害者に謝罪さえしていない…HPVワクチンのパターンと同じですね。
 幸か不幸か、今回の化血研は6月には「承認事項と製法の齟齬に気づき、献血由来の血漿分画製剤の全製品について出荷を自粛して」いました。具体的に何が起きたのかは不明ですが、血液製剤はワクチンや薬剤の原料であり、問題は深刻。で、同社は7月には理事長名(宮本氏)で謝罪と共に第三者委員会を立ち上げたことを発表しています。以下はその一部。強調山本。

 …今回の出荷停止の原因となった「承認書と実際の製法との不整合」について、事実関係の調査と原因究明を行い、早期に再発防止のためのガバナンス体制構築に着手すべく、7月1日より外部弁護士1名を加えた内部調査委員会を立ち上げ、所内調査を実施してまいりました。その結果、血液製剤の製造において承認された方法と異なる方法で製造していたことが明らかになり、その背景には長年の間、法令軽視、コンプライアンス軽視の姿勢があったことが判明しました。この調査結果を踏まえ、信頼性保証部門及びコンプライアンス部門の組織改革のみならず、医薬品品質システムの改善・構築に向けた所内プロジェクトを設置し、外部評価機関の支援も得ながら品質保証体制の抜本的な再構築に着手しております。
 しかしながら今回の事案は、製薬企業として社会的信用の失墜に関わる重大な事態と反省し、事案の真相解明と信頼回復のため、下記の通り弊所から独立した外部の委員のみで構成される第三者委員会を設置し、客観的かつ徹底的な調査を依頼するとともに、再発防止策の提言を頂くことと致しましたのでお知らせします。(
第三者委員会の設置について)

 患者を「カネ」と見がちな医薬産業で、これほどまともに法令軽視を認めるとは珍しい…と思っていたら、業界から横槍が入ったらしく、9月30日の報告ではこう↓なっていました。
 「9月9日付で開催されました血液事業部会運営委員会において、査察側の立場から(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)の OB の方を追加した方が良いというご意見を頂きましたのを受け、元 PMDA の清原孝雄氏に就任をお願いすることと致しました。」
 PMDAは許認可側(官)だから、そりゃあ隠蔽側に回るでしょうよ・・・いずれにせよ、今年のインフルワクチン、例年よりもっと危険かも。避けるべし。2015.10.21
 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/