アリセプト、認知症のクスリの怖い話

 偶然知った「認知症のクスリ」の問題。そこには、向精神薬やワクチンと同じような構造がありました・・・

 

「抗認知症薬、少量投与を」 医師らの団体重要性訴

201678http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160708/KT160707ATI090016000.php

 高齢者医療に携わる医師らでつくる一般社団法人「抗認知症薬の適量処方を実現する会」(東京)の村瀬仁章理事は7日、県庁に山本英紀健康福祉部長を訪 ね、認知症患者の副作用軽減のため抗認知症薬投与を少量に抑える治療の重要性を訴えた。6月に厚生労働省は、規定量未満の投薬量でも個々の症例に応じて診 療報酬支払いを査定するよう通知を出しており、村瀬理事は「長野県を皮切りに、少量投与の治療の周知活動を全国で展開したい」とした。
 認知症の進行を遅らせる「アリセプト」(一般名ドネペジル)などの抗認知症薬は、 少量から始めて有効量まで増量する使用規定がある。同会によると、患者によっては、規定量の投薬で興奮や歩行障害といった副作用が生じ、減量で症状が改善する。しかし、規定量未満の処方では診療報酬の支払い請求を認めない地域があり、医師が効果的な少量投与を控えるケースが見受けられるという。

 厚労省の通知は国民健康保険団体連合会中央会と社会保険診療報酬支払基金宛て。村瀬理事は「少量投与が認められた」とする一方、「多くの医師は少量投与の効果そのものを知らない」と指摘。「長野県は厚労省通知が大きく報道されるなど認知症に関心が高い。県の協力を得て周知活動ができないか」と提案した。山本健康福祉部長は「医療現場での適性利用は重要な課題だ。ただ行政がどこまで踏み込めるかは難しいテーマで、慎重に検討したい」と述べた。村瀬理事は取材に「会単独でも、少量投与の実績がある医師の講演会などを計画したい」と話した。 (78日)

 

 現在、日本で承認されている抗認知症薬は以下の四種。(https://info.ninchisho.net/medicine/m05)

 ところが、これらのクスリの効用はどうも疑わしい。

「 アルツハイマー型認知症により失われた記憶能力や精神機能を回復する治療法はありませんが、適切な治療によって症状の進行を遅らせることができます」・・・つまり、「治す」わけではなく、「症状の進行を抑制する」だけだというのですが、病気の機序がわかっていてこそ「症状を抑制」できるはずなのに、「治療」はできないというのは変。それ以前に、クスリによって症状の進行を抑制できたかどうかを、いったいどうやって判断するのか? いったんクスリを飲んでしまったら、飲んでいない時の症状の進行とは比べられないし、他の病気と違って二重盲検試験もできないはず。にもかかわらず、医師は「より早期の時点から」これらのクスリを勧めているのですが、もともと 「認知症」と、加齢による物忘れやくり返し言うなどの症状は区別がつきにくいはず。
 

 【落とし穴は「増量規定」】

 しかも、これらの薬剤はごく短い期間(数週間)に、2倍~4倍に増量することが義務づけられています。その結果、「使用規定通りに投与すると、患者が怒りっぽくなったり、歩行障がいや嚥下障がいを起こしたりするなどの副作用がみられることが多い(info.ninchisho.net) 状況になり、心ある医師らが、みかねて「抗認知症薬の適量処方を実現する会」を設立するに至ったわけです〈2015年設立)。

 本来、すべての薬は患者に合わせて個別処方すべきです。なので、私たちは漠然と、医師が薬を出すときは「患者に合わせて処方」していると思っているのですが、実際は、医薬産業界と行政の都合で「規定処方」がまかりとおっているのでしょう。

 しかし、抗認知症薬は、脳内の酵素に働きかける、いわば「脳みそを変えるクスリ」であり、基本的に危険性を伴っています。しかも、その薬効など、上に述べたように、おそらく把握不可能でしょう。医薬産業界の都合でこれらの薬を投与された患者たちに何が起きているかは、同会の「設 立 趣 意 書」を読むと良くわかります。特に8ページ以下の「アンケート」は衝撃的。

 ○実母がアルツハイマーと診断され、内服→歩行障害・食欲不振が出現

 ○今になって思えば、怒りぼくなってきました。しかし薬のせいだとは思わず、認知機能低下と思い、やめるという選択も知らなかった。

 ○母が認知症でアリセプトを処方され、夜は眠らず、吐き気を訴え、夜中大きな声でさけんだり、食欲もなくなりました。あわてて先生のところへ行き、中止してもよいと言つてもらったので中止しました・・・

 特に高齢者の場合、病気の進行を遅らせるどころか、歩行障害、怒り易いなどが現れ、家族が支えきれなくなるという状況も多いようです。この薬の「増量規定」に関しては、激しい怒りの言葉もたくさんありました。

 ○国が定めた抗認知症薬規定は患者側に立っていないことがよくわかりました。

 ○薬の量を医者が患者に合わせて処方できないなんてばかげてます。

 ○抗認知症薬の増量規定は医師の倫理に底触していないのでしょうか。人間の尊厳もあったもんじゃありません。日本の医療界が正しい道を選ぶことを願つてやみません。

 

 【有効性は確認されていない】

 どうも、昔は「ボケ」で済まされていた症状を、「病気」にしてしまったのではないかという感じ。そこで、もっとも広く使用されている抗認知症薬、「アリセプト」の添付文書を読んでみました。まず〈効能・効果に関連する使用上の注意〉です(http://www.eisai.jp/medical/products/di/PI/PDF/ART_T-FG_PI.pdf)。

アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

1.本剤は、アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

1.本剤は、 レビー小体型認知症の臨床診断基準に基づき、 適切な症状観察や検査等により

  レビー小体型認知症と診断された患者にのみ使用すること。

2.精神症状・ 行動障害に対する本剤の有効性は確認されていない。

 両効能共通 

1.本剤がアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の病態そのものの進行を抑制する

  という成績は得られていない。(以下略)

 ・・・「認知症症状の進行は抑制」するが、「精神症状・行動障害」への有効性は確認されていない? わかりにくい日本語です。一般の人にとっては、認知症の症状と精神症状はおそらく同じように映るはずですが、ここでは言葉を使い分けながら、どう違うのか説明もありません。・・・そこにあるごまかしは精神科につきもののようです。

 

 【アリセプトのすごい副作用】

 驚いたのは副作用のすごさです。まず、このクスリ、心疾患、気管支・肺疾患、パーキンソン病、消化性潰瘍の既往者には使用できません。それは以下の症状が現れる恐れがあるから(頻度は省略)。

 1)QT延長、心室頻拍、心室細動、洞不全症候、失神があらわれ、心停止に至ることがある

 2)心筋梗塞、心不全心筋梗塞、心不全(各0.1%未満)があらわれることがある

 3)消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血があらわれることがある

 4)肝炎、肝機能障害、黄疸肝炎があらわれることがある
 5)脳性発作(てんかん、痙攣等)、脳出血、脳血管障害(各0.1%未満)があらわれることがある

 6)寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがある〈特に レビー小体型認知症は9.5%と高い)

 7)無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗とそれに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水・電解質管理等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
 8)横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

 9)呼吸困難があらわれることがある

 10)急性膵炎があらわれることがある

 11)急性腎不全があらわれることがある

 12)原因不明の突然死(0.1%未満)

 13)血小板減少(0.1%未満)血小板減少があらわれることがある

 五臓六腑が悲鳴をあげている感じ・・・これは「医原病」のモトでは。効果も不明な「症状を遅らせる」ために、これほど多くの臓器に障害をもたらす可能性がある薬剤を用いるについて、医師はきちんとリスクを説明しているのでしょうか?いずれにせよ、ここまで来ると、アリセプトの処方が「医原病」につながることは否定できません。

 

 避けがたい「過剰投与」

 しかも、7「過量投与」には、このクスリで死ぬこともありえる、と、さらりと記されていました。

「コリンエステラーゼ阻害剤の過量投与は高度な嘔気、嘔吐、流涎、発汗、徐脈、低血圧、呼吸抑制、虚脱、痙攣及び縮瞳等のコリン系副作用を引き起こす可能性がある。筋脱力の可能性もあり、呼吸筋の弛緩により死亡に至ることもあり得る」

 アリセプトの薬害が表面化したのは、2014919日、厚労省がこれを「レビー小体型認知症の治療薬」として追加承認したことからです。アルツハイマー型認知症と同じ増量規定」を強いたため、副作用に苦しむ患者と家族を多数生み出したのです。

 以下はアリセプト被害者のサイト「レビー小体型認知症にアリセプト承認」で起こりうる悲劇」から。

私たちレビー小体型認知症介護家族は、その副作用苦しめられてきました全体の何%かは不明ですが、決して少数の特殊な例ではありません
<レビー小体型認知症にアリセプトを処方すると>(量により変化。個人差は大)

怒りっぽくなる/攻撃的になる/興奮する/徘徊を始める/歩きにくくなる/転ぶ  首が垂れる(常にうなだれる)/食欲がなくなる/吐き気/だるい/よだれ/生気を失う ぐったりして日中でも寝込む/認知症が進んだようになり、会話が成立しない等々

 レビー小体型認知症をよく知らない医師たちは「レビーに治療薬も治療法もないと言います。母の元主治医も4年前そう言いました。アリセプトを処方しても副作用を知らない医師の多くは「認知症が進んだ。レビーは進行が早い」と説明します。〈中略)   

私は、レビー小体型認知症の薬への反応の個人差に配慮した、慎重で、適切な処方を望んでいるだけです。
アリセプト10mgでとても良くなる方も、中にはいらっしゃるのでしょう。
でもアリセプト1mgでも悪化した方々のお話も私は、多数、直接伺っています。もしこれが乳幼児の予防接種の副作用であれば、社会は決して放置しないと思います。」

  あれほど多くの子宮頚がんワクチン被害者の訴えがあるのに、平然と「接種勧奨の再開」を求めるのが日本の医薬産業界です。その体質は、老人医療にも現れていたのですね・・・しかも、完全放置。つい先日、日本では人口の4分の1以上が65歳以上と発表されました(総務省、65歳以上 総人口の4分の1超え)。拡大する老年人口をクスリ漬けにし、患者を増やそうという厚労省・医薬産業界の魂胆が透けて見えるようです・・・精神障害の患者を仕立てあげるのと同じ手口ですね。

 ご老人を抱えている家庭のみなさん、おじいちゃんやおばあちゃんの「ぼけ」は大目に見てあげてください。単なる「ぼけ」で病院に行くと、「病気」と診断され、投薬され、そして、本物の認知症に仕立てあげられるのです。2019.7.12

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/