まったく懲りてない電気事業連合会

 浜岡原発が停止されました。まず一歩。でも、これに、電気事業連合会は、下のように、おおいに不満なようです(下線筆者)。
中部電力浜岡原子力発電所の運転停止について【会長コメント】
2011年5月9日
電気事業連合会
会長 八木 誠
 中部電力は、5月6日の菅総理からの浜岡原子力発電所の停止要請を受け、本日、運転を停止する決断をした。
 浜岡原子力発電所については、同6日に国から、今回の事故を引き起こした同程度の津波により全交流電源喪失に至ったとしても、注水による冷却で炉心を管理された状態に維持し、炉心損傷等を防止できる「緊急安全対策」が適切に実施されているとの評価が出されていることから、国には、停止要請に至った経緯や根拠について、中部電力はもとより、原子力発電所がある立地地域をはじめとした国民の皆さまに対して十分に説明していただくようお願いしたい

 資源小国であるわが国にとって、将来のエネルギーの安定供給を支えるには原子力発電は大変重要な電源であり、特に、電力需要がピークを迎える夏場に向けて原子力発電が果たす役割は極めて大きい。(中略)今後、私ども電力各社は、国が適切と評価した「緊急安全対策」の実施状況をはじめ原子力発電所の安全確保策について、立地地域の皆さまやお客さまにご理解いただけるよう全力を尽くしてまいる所存であるが、国においても、立地地域をはじめとした国民の皆さまへの説明に、前面に立って取り組んでいただきたい
 安全対策はクリアしていた、停止までの経緯をはっきり説明しろ」「今後、国民への説明は(企業ではなく)国がやれ」ということですかね。福島原発事故に学ぶ姿勢も、電気事業界がもたらした巨大な災害に対する反省もゼロの、完全な開き直りです。
 国に説明を求めるより、まず、「なぜフクシマがメルトダウンに至ったか」を、各電力会社を統合する電気事業連合会が、ちゃんと説明するのが筋なのです。エネルギー政策はたしかに「国策」だけど、それを推進し、裏から強力にプッシュしてきたのが、電気事業の業界団体だったんだから。「安全対策」なんてのも、業界お声がかりの学者が作ったものだし、利益に合わない議論はみな握りつぶしてきた過去があるでしょうが。
 私に言わせれば、原発建設そのものが反社会的行動(環境テロ)です。今回の事故はそれをあまりにも明らかにしたもので、事故から二ヶ月たった今も、ますます混迷が深まっている。国民もそろそろ、原発を許してきた制度そのものにも目を向けてほしい。2011.5.16

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/