つまみ出されそうになった―立山町「がれき説明会」その2

 というわけで、5月11日、今度は立山町瀬戸地区の「がれき説明会」に行きました。田植えが終わったばかりの田んぼ、みずみずしい新緑に包まれた美しい地です。
 ですが、ここも町民以外はお断り。質問は一問だけ。参加者は圧倒的に男性が多い。
 驚いたのは最初の応答でした。「この町政懇談会は町条例にもとづいているのか? いつもは町民側の要望を聞く場なのに、なぜ、町政とは関係のないがれき問題をやるのか? なぜ環境省や県が来ているのか?」との質問に、「条例はありません」。
 おっと、ここにも違法が。で、私も挙手し、追い討ちをかけました。「根拠条例なしというなら、これは任意の会合。それに予算をつけているのですか? こんな場で広域のがれき問題を検討したり、決定するのはなじまない。それに、放射能を含むがれきの焼却は禁じられています。環境を悪化させるのに、国の補助金をねらって、がれきを受け入れるのは・・・」
 その途中から、後ろがなにやら騒がしくなり、「黙れ!」「帰れ!」…と私に野次が飛び始めたのです。途中、質問も打ち切られ、マイクはなぜか行政とは関係ないじいさまたちの手に。そしてその一人(区長らしい)が、「あんたの住所を言え!どこの人間だっ!」と、公然脅迫。もう一人のじいさまは(町議らしい)「条例なしでもできることはあるわい」てなご発言。無法議員というわけか。私が何か言おうとすると、後ろの席の連中は、さらに「出て行けー!」「他にも質問があるぞー」。絶叫調。
 で、「関係ない人にマイクを渡さないで、ちゃんと質問に回答させなさい」というと、司会は、「ルール違反の質問には答えません」と、県を救出したのでありました。ルール違反というなら、発言をさえぎった野次馬たちだろうがっ! ところが、騒ぎはこれだけではおさまらず、その区長のじいさまが私の前に来て、「出て行きなさい」と、身体に手をかけようとするのです。「お、やるの?」と言ったら、はっと正気を取り戻して、席に戻りましたが。
 その後、質疑が再開。ところがさっき野次った連中は誰も質問しないのです。で、「質問あったんじゃないの?なんでしないの」というと、みな「うー」。これも後で聞いたところによると、この区でも山田町あたりに現地視察に行った人が多いとのこと。単純な人ほど、受け入れのためのショーウインドー作戦にひっかかっているようです。とはいえ、この日は賛成意見はなかったのが救い。
 かわいそうに。
 誰よりも次世代を愛護しなければならない老人たちが、こjこでは正常な判断力を奪われて、子や孫を傷つけることになる事業を受け入れるよう仕向けられているのです。いったん放射能廃棄物を受け入れたら、それは半永久的に続くでしょう。
 保守的風土の恐ろしさは、一度どこかで間違った選択をすると、それが長きにわたって続くこと。行政は納税者を欺き、無知は愚行をくりかえす。首長があくまでも受け入れる気なら、首長を変えるしかないね。2012.5.15

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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