ごみ有料化でごみは減らない

  ああ、勘違い。ごみ処理の有料化でごみが減量できるなんて思うなよ。再選されたM市長、ほんとにこんなアホ政策を実施するんだろうか。この市長、一期目に就任したとたんに、子宮頸がんワクチン無料化を実施していますが、これも勘違いか、あるいは?

 平成26年7月から戸別収集・有料化の全市実施を目指します 
2013年10月31日
 http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/shigen/kobetsu-zenshi.html
  鎌倉市では、循環型社会形成のため、市民・事業者の皆様と連携・協働して3R(発生抑制・再使用・再生利用)を積極的に推進し、リサイクル率は、全国トップレベルの水準となりました。しかし、一人あたりのごみの排出量は県下の中でもまだ多く、今後は特に発生抑制・再使用に取り組むことで、環境負荷を低減するとともに、ごみ処理経費を削減することが重要であると考えています。一方、市の二つのごみ焼却施設は老朽化しており、今泉クリーンセンターは地域の方々とのお約束もあり、平成27年3月末で焼却を停止することとなっています。
  そこで、平成23年6月に『ごみ処理基本計画』を見直し、減量に取り組んだ結果、ごみ焼却量は平成24年度末には、約4万トンから約3万8,000トンまで減量しました。しかし、名越クリーンセンターで焼却可能な3万トン以下にするため、あと8,000トンの減量が必要です。
  そのための柱となる施策として、戸別収集・有料化の導入により3,500トンの減量を目指しています。全国の自治体の約6割で実施されている有料化は、ごみを減らそうとする意識が働き、ごみの減量・資源化に大きく寄与します。戸別収集は、ごみの排出責任者が明確になり、あわせて実施することで、ごみの減量が確実なものとなります。また、クリーンステーション周辺の美化や、高齢者や子育て世帯のごみ出しの負担軽減につながります。ご負担になる部分がありますが、市民の皆様のご理解ご協力をお願いいたします。※ 本施策については、市民の皆様へその必要性と内容について説明を重ねた上で、広くご意見を頂戴し、平成25年12月の鎌倉市議会への上程を予定しています
。 

 鎌倉市だって、有料化は具体的なごみ減量にはつながるわけではなく、「インセンティブ」に過ぎないってちゃんと書いてる(赤字部分)。減っていれば、必ず「事例」を出すでしょう? 実際には、有料化導入で「リバウンド」が起こる、というのが大方の意見。下手なダイエットと同じで、有料化後、しばらくするとかえってごみが増えるって現象です。これに関しては100例以上を対象にした調査報告が出ていますので、気になる人は読んでみたら?

CiNii 論文 – 1.ごみ処理有料化に関する調査報告ci.nii.ac.jp/naid/110006200163
 本稿はごみ処理の有料化に関して実施した調査の報告である。今回の調査ではごみ処理有料化を導入している100市町村を対象,ごみ排出量,人口等の経年データを収集するとともに,手数料の金額等の情報も収集した。その結果,有料化導入後のごみ排出量の推移は4つのパターン(減量成功パターン,リバウンドパターン,変化なしパターン,増加パターン)に分類されることがわかった。これらの中ではリバウンドパターンに該当する市町村が多く見られ,有料化導入によるごみの減量効果が長期間持続できていないケースが多かった。このリバウンド現象の発生の主な要因は手数料が安く住民に経済的負担を与えていないことであるため,導入時の適切な手数料の設定と導入後についても手数料水準などの見直しが必要である。

 つまり、減量成功パターンは少数なわけ。「有料化で減量成功」を信じてとびつきたくなる気持ちはわかるけど、そういう「成功例」の多くは、有料化を強行した自治体か、その自治体のデータを丸呑みした学者の論文が多く、信用できません。だって、今もすでに自治体のごみ処理は、業界まかせのところがおおいんだから。

 ごみ処理の有料化は環境省の指導の下で導入されてるんだし、その環境省は「ごみ処理広域化計画」以来、業界に乗っ取られているから、業界が困る政策など打ち出すはずはないって。ごみ処理の有料化は、ごみ減量のためではなく、ごみ処理の完全民営化導入に至る第一歩です。したがって、有料化を論議するなら、下の問いかけに答えなきゃ。

 ★ごみの発生源対策(製造過程でのEPR)なしに有料化を導入しても無意味です。
 ★新たな手数料を徴収することは、税の二重取りで、違法。
 ★中間処理、最終処分との関係は?

 この論議で、普通は「ばれる」。すでに有料化された地域の市民は、有料化後、本当はいったい何が起きているのか、きっちりフォローする必要があります。そうしないと、次には「全面民営化」が来るので。…わずか3500トン(300トン炉なら12日分)くらいなら、市民意見を聞けば簡単に減量できるだろうに。なんと無能集団か。↓に倣って、とりあえず有料化は見送らないと、条例案を否決されることになりかねない。2013.11.3
 

関市、ごみ有料化を見送り 推進の美濃市とあつれき
2013112
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20131102/CK2013110202000026.html?ref=rank
 関市は、九月定例会で否決された家庭ごみ有料化の計画について、来年度からの実施を見送ることを決め、一日発行の市広報紙で発表した。一方、ごみ処理施設の一部事務組合を関市とともに構成する美濃市は、十二月定例会に指定ごみ袋を値上げする条例改正案を提出する方針。市民からは不公平感を指摘する声があり、美濃市は説明を重ねている。関市は指定ごみ袋を値上げして市民に負担を求める条例改正案を提出。しかし、最大会派・明政会などが「市民の理解を得られていない。説得するには時間が必要」と反対して否決された。市は来年度、ごみ袋の購入券を使った引換券制度を継続することになった。
関市は来年度から、プラスチック製容器包装類用のごみ袋を廃止し、燃やせるごみの指定袋に一本化して経費節減を図る。住民説明会や広報紙で周知する考えで、尾関健治市長は「有料化は難しくても、ごみ処理の現状を地道に訴えていくしかない」と説明する。一方、美濃市は、処理費用の一部に受益者負担を求める方針で、燃えるごみの四十五リットルの大袋を一枚十円から五十円に引き上げる計画。九月から各地で住民説明会を開いてきたが、関市議会での否決を受け「足並みをそろえなくて良いのか」と市に電話などで疑問の声が寄せられているという。美濃市民生部は「有料化はあくまでごみ減量のため。足並みをそろえるのが理想だが、美濃市として判断する」と説明。ただ、住民から「減量に特化した対策が良いのでは」という意見もあるという。市は住民からの意見を参考に、11月中に有料化の最終決定をする。ごみ処理施設「クリーンプラザ中濃」(関市下有知)では、人口と搬入量の按分から関市が八割、美濃市が二割を負担する。両市ともに「結局、自治体運営は別々。足並みがそろわないのはやむを得ない」と説明を重ねている

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/