「ユニバーサルワクチン」の恐ろしさ

過去記事、集団接種で学級閉鎖が少なくなるだって? (02/03)について、以下のお知らせをいただきました。

 

この記事の元の論文は英語で、以下のものだと思います。

Influenza Vaccination of Schoolchildren and Influenza Outbreaks in a School
Clinical Infectious Diseases, Volume 53, Issue 2, 15 July 2011,

Pages 130–136,https://doi.org/10.1093/cid/cir336

 

ありがとうございます。早速、目を通しました。https://academic.oup.com/cid/article/53/2/130/286341

 「ある都内の小学校」における、24年間(1984~2007)のインフルエンザシーズンの出席率、学級閉鎖率を調べ、インフルエンザワクチンは有効だ、と結論づけています。でも、読むほどに「根本的な疑問」は強まるばかり。

 以下、問題点のごく一部をあげますが;

 ★まず、対象校の名前が記されておらず、信頼性に欠けます。これでは同じ条件で再研究することができないため、研究に求められている「再現性」も確保できない。

 ★一部のデータを除外していること。具体的には、インフルエンザが「大流行」した1994-1995は、「学級閉鎖の方針」が一時的に中止されたため(理由不明)。そしてインフル流行が小さかった1986–1987, 1993–1994, 1995–1996, 1996–1997, 2000–2001, 2001–2002は、「学級閉鎖率が少なかったため」という理由で除外。

 ★「欠席率」は具体的資料(診断書など)に基づくものではなく、「インフルエンザのピークの時期の欠席なので、インフルエンザによる欠席と推測した」そうです。なんじゃこりゃ。

 ★さらに「その他の感染症の影響も排除している」ことを自覚し、「十月三週目の大将軍の欠席率をチェック」しているとありますが、フルシーズンの季節なら、どんな対象群もインフルエンザの影響下にあるのでは。

 …つまり、この論文は研究手法からしてインフルエンザワクチンの復活を狙っており、最初から方向性をはっきり打ち出しているわけです。それが露骨に出ているのが「前文」です。

 「1994年、日本政府は、インフル予防の有効性を示す証拠がないとして、学童へのユニバーサルワクチン方針を中止した。この期間、高齢者の超過死亡率が減っていたが、これは学童へのユニバーサルワクチンによる「集団免疫」の結果だった。また、1980年までは、日本ではインフルエンザ脳症はまれだったが、1994年以後はインフルエンザ脳症が激増し、1995~1999までは、毎年100件以上のインフルエンザ脳症が報告されており、1990年から2000年までに、合計783人の子どもたちがインフルエンザ脳症で亡くなっている[3]。これはワクチン接種率の低下の結果であり、従って、学童のユニバーサルワクチンは高齢者だけではなく、兄弟姉妹をもインフルエンザから守っていたことを示している。それにもかかわらず、ユニバーサルワクチンが有効かどうかについての質問について、これまで答が得られなかった。そこで本論文は、学童へのユニバーサルワクチンの有効性を示すために…この研究を行った」

 文中、くりかえされている「ユニバーサルワクチン」とは、「強制集団接種」のことで、研究者らはユニバーサルワクチン復活をめざして、「ワクチンの有効性」を示そうとしていることを隠してもおらず、医薬産業界との利益相反を疑わざるをえません。

 また、「集団免疫」を持ち出して、ワクチンの有効性を力説しているのは、あまりにも無知、お粗末、そして政治的です。

世界中で、多くのまともな医師・研究者が「集団免疫のウソ」をあばく論文を数多く発表していますが、日本の研究者は海外情報に目をつぶり、医薬産業界側に立っている。

 さらに悪質なのは、インフルエンザ脳症に関する記述です。インフル脳症はインフルウイルスが脳内に入って起きる病気ではなく(発症の機序はいまだに不明)、この名前からして不適切。

 「治療では免疫を抑える薬などを投与する。脳細胞の破壊を抑える低温療法などを実施する例もある。脳症は能にウイルスが侵入するのではなく、病原体に対抗するために体に備わっている免疫システムが過剰に働いた結果、起こると考えられているからだ。免疫に関係する物質が脳に達し、脳細胞の死滅をもたらすというのが多くの専門家の見方だ。」

 つまり、インフルエンザ脳症とは実は自己免疫疾患の一種です。そう、ワクチンによって引き起こされる症状ですね。現にインフルエンザワクチンの添付文書にも、「脳症が起きる」とはっきり書いてある。

10)脳炎・脳症、脊髄炎:脳炎・脳症、脊髄炎が あらわれることがあるので、観察を十分に行 い、異常が認められた場合には、MRI等で診 断し、適切な処置を行うこと。

 

 もちろん、強制ワクチンの時代はこのような自己免疫疾患が相次いでいたはずですが、その情報はほとんど抑え込まれ、1990年代になって、突然、急浮上してきたという過去があります(https://idsc.niid.go.jp/iasr/23/274/dj2742.html)。とても政治的。

 海外ではフルに関する脳症として「ライ症候群」があり、その原因も解熱剤にあると指摘されてきましたが、日本の厚労省は、インフルエンザ脳症を、あくまでもインフルエンザウイルスによる病気に仕立てあげ、ワクチン接種を促す材料に使ったのです。その姿勢が、後に、タミフルによる副作用事故の多発につながったわけで、これまた非常に政治的。なお政治=カネだから。

 それにしても、1990年~2000年の11年間で783人もの子供たちがインフル脳症で亡くなっていたことに驚きました。毎年70人もの子供たちの命を奪っているのが何か、これは学級閉鎖率や欠席率の推計どころではない重要なポイントですが、メディアも、研究者もその重要性に目を向けていない。それは、ワクチンをめぐる「神話」と「政治」に原因があるからです。

やってられんね。2019.2.17

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/