SDGs未来都市,自治体乗っ取りの一里塚

 前記事の続き。SD(サステイナブルデベロップメント,持続可能な開発)とは、1992年の国連リオサミット(環境と開発に関する国連会議)で打ち出された方針ですが、それがリオ+20を経た今、温暖化や大気汚染問題などを合わせて、目標達成の取り組みが世界中で半強制されています。神奈川県のプラごみゼロ宣言も、各地で問題を引き起こしている風車やソーラーなど「再エネ」も、その一環として出てきたもの。

 このようにグローバルアジェンダを優先するの危険性に、市民はあまり気づいていません。なぜ危険か? それは、既存の法制度を破壊して実施されるからです。現に、再エネ事業は土地開発に関するほとんどすべての法規制から除外されているし、手厚い補助金つき(日本では電気料に上乗せ徴収されている)。たとえ被害が出ても、行政はその被害を認めず、警察も裁判所も一律知らん顔という、治外法権的な特権を与えられているのです。「再エネ」(特にソーラー)事業が猖獗をきわめているのは、この状況が2030年まで続くから。

 そして、この再エネ特待期間が終わった後を見据えて打ち出されているのが、SDGs政策です。その本当の目的は、前記事にも書いた通り、グローバル企業による地方自治体の「侵略」であり、市民にはわからないような形ですでに動きだしています。

 

29自治体が「SDGs未来都市」、10の取り組みが「モデル事業」に選定

https://www.kankyo-business.jp/news/020603.php

2018/06/18 政府は6月15日、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けた優れた取り組みを提案した29自治体を「SDGs未来都市」として選定した。そのうち、特に先導的な10の取り組みを「自治体SDGsモデル事業」に選定した。SDGs未来都市には、秋田県仙北市の「IoT・水素エネルギー利用基盤整備事業」、岡山県真庭市の「地域エネルギー自給率100% 2030『SDGs』未来杜市真庭の実現」などが選ばれた。これらの取組みには、自治体SDGs推進関係省庁タスクフォースにより支援する。また、自治体SDGsモデル事業には、富山県富山市の「LRTネットワークと自立分散型エネルギーマネージメントの融合によるコンパクトシティの深化」、福岡県北九州市の「地域エネルギー次世代モデル事業」などが選ばれた。これらの事業には、資金的にも援助する

 

 下がめでたく選定された自治体のリストですが、私が知る神奈川県と鎌倉市は、①国政に協力的、②首長が悪質、企業と密着、③職員のレベル(特に倫理レベル)が低い、④利権にさといなどの共通項がありますが、その他の自治体はどうでしょうか。

SDGs未来都市:SDGsの理念に沿った基本的・総合的取組を推進しようとする都市・地域の中から、特に、経済・社会・環境の三側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市・地域として選定されているものです。 ※都道府県・市区町村コード順 平成30年7月現在 http://future-city.jp/sdgs/

No.自治体         タイトル

1北海道    北海道価値を活かした広域SDGsモデルの構築

2北海道札幌市 次世代の子どもたちが笑顔で暮らせる持続可能な都市・「環境首都・SAPP_RO

3北海道ニセコ町 環境を生かし、資源、経済が循環する自治のまち「サスティナブルタウンニセコ」の構築

4北海道下川町 未来の人と自然へ繋ぐしもかわチャレンジ2030

5宮城県東松島市 全世代グロウアップシティ東松島

6秋田県仙北市 IoT・水素エネルギー利用基盤整備事業

7山形県飯豊町 農村計画研究所の再興『2030年も「日本で最も美しい村」であり続けるために』

8茨城県つくば市 つくばSDGs 未来都市先導プロジェクト

9神奈川県  いのち輝く神奈川 持続可能な「スマイル100歳社会」の実現

10神奈川県横浜市 SDGs未来都市・横浜〜“連携”による「大都市モデル」創出〜

11神奈川県鎌倉市 持続可能な都市経営「SDGs未来都市かまくら」の創造

12富山県富山市 コンパクトシティ戦略による持続可能な付加価値創造都市の実現

13石川県珠洲市 能登の尖端“未来都市”への挑戦

14石川県白山市 白山の恵みを次世代へ贈る 「白山SDGs未来都市2030ビジョン」

15長野県  学びと自治の力による「自立・分散型社会の形成」

16静岡県静岡市 「世界に輝く静岡」の実現 静岡市5大構想×SDGs

17静岡県浜松市 浜松が「五十年、八十年先の『世界』を富ます」

18愛知県豊田市 みんながつながる ミライにつながるスマートシティ

19三重県志摩市 持続可能な御食国の創生

20大阪府堺市 「自由と自治の精神を礎に、誰もが健康で活躍する笑顔あふれるまち」

21奈良県十津川村 持続可能な森林保全及び観光振興による十津川SDGsモデル構想(仮称)

22岡山県岡山市 誰もが健康で学び合い、生涯活躍するまちおかやまの推進

23岡山県真庭市 地域エネルギー自給率100 2030”SDGs”未来杜市真庭の実現〜永続的に発展する農山村のモデルを目指して(私がわたしらしく生きるまち)〜

24広島県 SDGsの達成に向けて平和の活動を生み出す国際平和拠点ひろしまの取組を加速する〜マルチステイクホルダー・パートナーシップによるSDGsの取組の強化〜

25山口県宇部市 「人財が宝」みんなでつくる宇部SDGs推進事業 〜「共存同栄・協同一致」の更なる進化〜

26徳島県上勝町 SDGsSHLsSustainable Happy Lives)持続可能な幸福な生活

27福岡県北九州市 北九州市SDGs未来都市

28長崎県壱岐市 壱岐活き対話型社会「壱岐(粋)なSociety5.0

29熊本県小国町 地熱と森林の恵み、人とのつながりがもたらす持続可能なまちづくりを目指して

 

 今後、メディアはこれらの自治体をSDGsの広告塔として持ち上げ、やがて全国に同様のプログラムが広がってゆくはず。

 上のリストで特に注意すべきは、「スマート」「エネルギー」、そして英語や横文字表記をしている市町村です。たとえば23の真庭市は「エネルギー自給率100%」をうたっていますが、そんなこと不可能だって。この市ではエネルギー源にバイオマスをあげていますが、それで100%自給しようと思うと、数年でほとんどの山ははげ山になってしまうでしょう。その後でそのはげ山にソーラーを敷き詰め、風車を立てようと考えているとしたら、人は寄り付かないどころか逃げ出してしまうはず。行政が横文字を多用するようになったら、うんと警戒が必要です。市民はその根拠をしつこく聞いてみないとね。2018.9.22

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/