msn Japan のトップページに、こんな見出しがありました(
子宮頸ガンは5人中4人に発症の可能性あり
中身は:
1.子宮頸がんが20-30代の女性に急増中!
2.セックス経験が一度でもあれば、(HPVウイルス)感染の危険性が!
3.日本の子宮ガン検診受信率は欧米(70%)に比べ、ダントツに低い(23.7%)。
4.(HPV ウイルスに) 感染した細胞が、がんになる前に手当てを!
5.予防ワクチンで、HPV感染リスクが激減!
(http://beautystyle.jp.msn.com/healthcare/feature/1008sikyukeigan_article2.aspx?cp-documentid=4213780)
びっくり!マーク満載で不安感をあおり、「ワクチンを打たなきゃ」と思わせる記事です。でも、よく読んでだまされないようにしましょう。
まず、記事では「原因ウイルスに5人中4人が感染」とありますが、見出しでは上のように「子宮頸がんは5人中4人に発症の可能性」となっており、誤報ともいえます。これだけで要注意。だいたい、ここ数年、突然、子宮頸がん騒ぎが出てきたことはもっとおかしい。記事はあたかも「セックスが原因」と言いたいようですが・・・。
それに―当たり前ですが―、検診率をあげてもがんは防げません。検診でわかるのはがんの有無だけ。それに、HPV感染しても、それが必ずがん化することはありません。記事はさらに:
「子宮頸がんは発がん性HPVに感染しても、全く症状は無く、もしがんになる前の状態(前がん病変)になっていても自覚症状がないことがほとんど。つまり自分で体の異変に気づく頃には、すでに進行している可能性もある。しかし、がんへと進行する前の段階で発見できれば、ほぼ100%治療できる。子宮の摘出も不要で妊娠も可能。幸い、子宮頸がん検診を定期的に受けていれば、ウイルスに感染した細胞ががんに変化する前に発見できることがほとんど。定期的な検診こそが、何よりの予防というわけだ。」(引用ここまで)
うー、「がんへと進行する前の段階」って、がんではないことを意味するのでは? その段階での治療も「がん治療」というのでしょうか? ・・・つまり、記事は、HPVが一個でもあれば「前がん状態」とみなしているわけで、この考えの方がよほど危険。医療過剰への道です。要するに、この記事が言いたいのはその次の、「ワクチン」(以下引用)。
予防ワクチンで、HPV感染リスクが激減!
HPVは確認されているだけでも120種類以上※3ある。その中でも特に子宮頸がんの原因となりやすい16型と18型に対して有効なのが、日本でも接種を認められた話題のワクチンだ。このワクチンの接種で、子宮頸がんの原因となりやすいウイルスの感染を長期にわたって防ぐといわれている。ただしこれは、あくまで感染予防。すでにがんになる前の状態や発症している場合に、進行を遅らせたり、治す効果はない。また、すべての発がん性HPVに対して予防効果があるわけではないので、ワクチンを接種しても定期的な検診は必須だ。(引用ここまで)
このページのサーバリックス(ワクチン)の写真をクリックすると、すぐグラクソ・スミスクライン社のサイトに飛びます。つまりこの記事は、全体が同社の子宮頸がんワクチンの宣伝ですが、それならそれで、「公告のページ」とすべきです。知らない人は、ニュース性がある記事だと思い、ミスリードされてしまうから。MSNは豚インフル騒ぎの時も、企業に代わってワクチン接種を強力に進めたという前科がありますが、公共の電波やネットを用いたこういう企業宣伝は不適正で、本当に腹が立つ(私はワクチン反対派ですから)。2010.8.17