機内の空気は汚れている(エアロトキシック・シンドローム)

 もう七月! 今年の夏はどこか旅行しますか? 車、それとも空の旅?
 飛行機の場合、「エコノミークラス症候群」はよく知られています。狭い座席で動かないでいると、血流が悪くなり、さまざまな症状を起こすのでしたね。でも、その他にも「エアロトキシック症候群」というのもあるそうです。訳すと機内有毒汚染症候群? 情報として知っておいて下さい。
 空の旅で頭痛や胸痛、吐き気や呼吸困難など、体調を崩しても、普通は、旅の疲れ、あるいは「風邪」のせいだと考えます。でも、それって、客室内の汚染空気のせいかもしれません。客室内の空気には、実はいろんな有毒物質がまざっているからです。なぜかというと、エンジンルームの熱い圧縮空気(ブリード・エア)が、客室の空気と混合され、くりかえし利用されているからです。
 ブリード・エアには、潤滑油や難燃剤、塗料などに含まれる汚染物質がエンジンの高熱で気化したものが混じっています。代表的なものとして、神経毒性があることで知られるTCPや、ニッケル、カドミウム、ベリリウムなどの有害重金属などがあり、人によっては急性症状が起こすほど。慢性症状を示す人もいて、この症候群に悩むクルーやアテンダントがグループを結成し、訴訟や、機内の空気をきれいに、という運動を起こしているほどです。
 
 ところが、問題はわかっているし、それを回避する技術も開発されているのに、ほとんどの旅客機が今なお、この汚染空気の循環システムのまま.空気の浄化フィルターさえ使っていないし、それどころか、どの航空会社も、航空機製造企業も、エアロトキシックを認めてもいません。なぜって? その方がコストがかからないから。市民が騒がない限り、営利を優先するのが企業。
 唯一の例外が、ボーイング787ドリームライナーだそうですが、空の旅の安全を言うなら、まず汚染のない空気を提供できるようにしてほしい。この夏、空の旅をするなら、あなたが選んだ航空会社にこの点を問い合わせ、文書などで改善を求めてみて下さい。一夏一善。2010.7.1
(参考)
Aerotoxic Association
http://news.bbc.co.uk/today/hi/today/newsid_8270000/8270978.stm
http://en.wikipedia.org/wiki/Bleed_air

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/