アメリカの「ペスト・コントロール」
ちょっと驚きましたが、アメリカのEPA(環境保護局)には、
「環境正義賞」という賞があります。環境正義のために活動し
ている組織・団体を表彰する賞で、今年の受賞者の一つに、イ
リノイ州の「安全なペスト・コントロール・プロジェクト」(SPCP
)という団体が選ばれています。
この団体は、2004年から、イリノイ州の教師など1400人に対
し、トレーニングを行ってきました。その教育内容は、日常的
に殺虫剤をまかないこと、殺虫剤に代わる安全で効果的、経済
的な方法、害虫の発生を防御できるメンテナンスや衛生、食べ
物や水の処理などです。
その結果、EPの「農薬に関する統合政策(IPM、適語が見当た
りません)」への理解度が52%も高まり、イリノイ州は全米
五番目のIPMの導入州となったのです。同州では以後、病院や
学校、デイケアセンターなど、子供のための施設に農薬を使う
には、IPMの策定が求められます。それ以前は、全州の3000の
施設で日常的に農薬が撒布され、285,000人の子供たちを危険
にさらしていたのですから、大変な進歩です。
これでわかるように、「ペスト・コントロール」とはさまざ
まな手法を用いて、害虫の発生を防御することで、ベースに化
学農薬は危険だという認識があります。日本ではこれを「害虫
駆除」と訳すケースが多く、日本版IPMも農薬業界がリードし
ているので、学校や公園の殺虫剤禁止に結びつく可能性はあり
ません。
↓はマサチューセッツ州の「子供保護法」ですが、日本でも子
供を農薬の害から守るために、立法が必要な時ではないでしょ
うか。 http://massnrc.org/ipm/schools-daycare/child-protection-act-2000/full-text.html
市民がきちんと勉強し、行動を起こさない限り、利権で固ま
った制度はなかなか崩せません。議員立法で何とかできないか
、考えてみたいと思います。2008年10月29日