ケネディJr.の米国保健福祉長官指名が意味するもの

 トランプ次期米大統領が、ロバート・F・ケネディ・ジュニアを米国保健福祉長官(HHS≒厚労大臣)に指名しました。トランプのXでの発言は↓;

「ロバート・F・ケネディ・ジュニアを米国保健福祉長官に指名することを嬉しく思う。米国民はあまりにも長い間、公衆衛生に関して食品産業複合体と製薬会社の欺瞞、誤報、偽情報に苦しめられてきた。国民の安全と健康はどの政権にとっても最重要であり、HHS は、アメリカの圧倒的健康危機の一因となっている有害な化学物質、汚染物質、農薬、医薬品、食品添加物から人々を保護する上で大きな役割を果たす。ケネディ氏は、これらの機関をゴールド スタンダードの科学研究の伝統と透明性の指針に戻し、慢性疾患の蔓延を終わらせ、米国を再び偉大で健康な国にしてくれるだろう。w」

 これに対し、ケネディJr.は以下のように述べています。

トランプ氏のリーダーシップと勇気に感謝します。私は、アメリカを再び健康にするあなたのビジョンを推進することに全力を尽くします。 私たちには、慢性疾患の蔓延に終止符を打つために、科学、医学、産業、政府の最高の頭脳を結集する世代を超えた機会があります。HHS の8万人以上の従業員と協力して、企業による支配の息苦しい雲から機関を解放し、アメリカ人を再び地球上で最も健康な人々にするという使命を追求できることを楽しみにしています。私たちは、共に、腐敗を一掃し、産業と政府の回転ドア(利益相反)を止め、保健機関を証拠に基づく科学という豊かな伝統に戻します。私はアメリカ人に透明性とすべてのデータへのアクセスを提供し、彼らが自分自身と家族のために情報に基づいて選択できるようにします。アメリカ国民に対する私の約束は、正直な公務員になることです。さあ、始めましょう!

・・・つまり、トランプとRFKは、全米で最も強力な産業界である、化学産業、製薬業界、食品製造業界、医学産業界に宣戦を布告したわけです(ちなみに、このコンビがイスラエル支持派なのはわかっていますが、この投稿では触れません)。ケネディJr.は、明確に「ワクチンを義務づけではなく選択制にする」「水道水のフッ素添加を止める」「加工食品を見直す」「医薬品のデータや副作用報告の全開示」などを宣言し,訴訟にも訴えて来ました。そのため、彼の指名は、5G反対、再エネ反対、ワクチン被害者、増える自閉症の家族、ネット検閲に反対する人々に、大きな希望を与えています。

この産業界一の嫌われ者と言っていいような彼を指名したトランプの強気は、大統領選を「圧勝」した自信と、背後の「支持勢力」の、もう後に引けないという覚悟から来ているのでしょう。

米大統領選 全州大勢判明 激戦州すべて制したトランプ氏が大差 … 2024年11月10日 20時41分 アメリカ大統領選挙は全米のすべての州の大勢が判明し、すでに当選を確実にしている共和党のトランプ氏が激戦州すべてを制し、獲得した選挙人で民主党のハリス氏に大差をつけました…

 ただ、トランプの圧勝は共和党が票を伸ばしたわけではなく、民主党の自滅によるものとの投票分析もあります。民主党支持者でさえ、バイデン政権が推進し続けた「経済と移民」政策にに強い不満を持っているわけですね。バイデン政権は、強い市民の反対にもかかわらず、ウクライナやイスラエルには何億ドルもの軍事援助を与え続けてきました。一方で国民は、物価高とワクチン被害に苦しみ、押し寄せる移民に職を奪われ、再就職もできないまま貧困層に転落した市民も多く、今のアメリカの貧困率は18%です。Poverty Rate by Country 2024 – World Population Review

 この貧困のまん延と、「ワクチンの義務接種」、そして「痛み止め」「胸やけ止め」「抗肥満薬」「抗生物質多用(食肉用動物も)」などクスリのまん延は、多くの国民を苦しめています。その被害が最も大きいのは若者と子どもで、自閉症の発生率はすでに36人に1人。特に3歳から17歳では、17%もの子どもたちが何らかの発達障害を抱えていることを、CDCが発表しています。

「2009年から2017年までの調査期間中、親の報告によると、3歳~17歳までの子どもの約6人に1人(17%)が発達障害と診断された。これは、自閉症、注意欠陥多動性障害、失明、脳性麻痺などを含む」https://www.cdc.gov/autism/data-research/index.html

 まともな人なら、上のサイトの表を見て、自閉症の急激な増加にぞっとすることでしょう。アメリカはまさに「健康危機」に陥っており、そこには明確な原因があることも想像できます。そこに、ケネディJr.が登場した理由と、トランプが彼を指名した理由があります。しかし、「医薬業界の闇をあばき、クリアにする」ことは、決してたやすい事業ではありません。

 ケネディJr.がHHS長官に指名されたというニュースに、アメリカでもヨーロッパでも製薬会社の株が大幅に下がりました。

 ロイターは、①ワクチン懐疑論の懸念がバイオテクノロジー投資家の感情に影響した、②欧州の製薬会社の株価が米国企業とともに下落、③RFKジュニアのHHS機関への影響を懸念などと報じています。https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/europe-vaccine-makers-fall-trump-picks-rfk-jr-lead-top-us-health-agency-2024-11-15/

 でも、選挙も、行政機関トップの任命も、本来は、安全で健康的な生活を送るために税金を払っている市民の要望に応えるものでなければならず、投資家の要望に応えるのを優先していいはずはない。ケネディJr.の「改革」は生易しいものではなく、今後はもっと激しい妨害が予想されますが、見守りたいと思います。ゆめゆめ暗殺されないように。2024.11.16

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/