あきれた枚方市情報公開審査会

3月23日水曜日、大阪府枚方市の「情報公開・個人情報保護審査会」に出かけました。同市は、「コロナワクチン副反応疑い報告」の開示請求に対し、発熱や痛みなど「症状」を、「個人情報」としてすべて墨塗りー非公開ーとしたため、これを不服とした請求人が「異議」を申し立て、私はその請求人を補佐する一人として、審査会で発言する予定でした。

 事業者(コロナワクチン接種事業では市町村)が公文書の公開を拒んだら、市民は次のステップとして、行政不服審査法にもとづく「異議申し立て」を行うことができます。すると、上記「審査会」が、市民の訴えを聞き、審査して公開するか非公開のままとするか判断するのですが・・・残念ながら、「異議申し立て」をしなければならないような市町村は、もともと公務員の質が低く、彼らが審査を委嘱している「審査委員」の質も似たようなものなのです。現に、枚方市は、この審査に先立って、市民を排除する準備を始めていました。 

 請求人が何人くらい意見陳述を傍聴できるのか聞いたところ、なんと、「審査会は一律非公開」との返事が返ってきたのです。行政機関には「会議公開の原則」というものがあり、非公開の場合もありますが、これは例外で基本は「公開」。それも一つ一つの案件を公開にするか非公開にするかは、「現場」で判断しなければならず、それを事前に「一律非公開」としているのはあまりにも非常識で、違法性が強い。・・・で、根拠を尋ねたところ、枚方市コンプライアンス課から唖然とするような回答がありました。

・口頭意見陳述の傍聴は希望できる

・ただその場合、審議のために日にちが1ヶ月先になり、(傍聴の)許可が下りない場合もある

・そこで、口頭意見陳述は非公開のまま3月24日に行うか、傍聴者を入れて一か月先にするか、どちらかを選べ

 …日本語自体がおかしいけど、それはおいといて・・・「傍聴は希望できる(傍聴可という意味らしい)」なら、先の「一律非公開」との言葉は明らかにウソだったことになります。また、「意見陳述に傍聴者を入れると審議が先になる」というのも変。傍聴者は発言が許されず、議事進行を妨げることもないのに、なぜ一か月先になるのかまったく不可解。さらに、傍聴の許可などを決める権限は審査会にあり、それを窓口の担当課が勝手に決めて市民に伝えるのは越権行為。そして、「会議は一律非公開」の根拠については、何回聞いても答えようとせず、最後は厳しい質問状を出したところ、3月4日付けで、メールによる回答がありました。

****枚方市には「枚方市審議会等の会議の公開等に関する規程(平成20年枚方市訓令第22号)」という規程が定められていまして、次のような定めがあります。
(会議の公開の決定等)
第3条 審議会の会議は公開とする。ただし、次に掲げる会議は、非公開とすることができる。
(1) 法令等の規定により非公開とされる会議
(2) 枚方市情報公開条例第5条に規定する非公開情報(以下「非公開情報」という)が含まれる事項に関する審査等を行う会議
(3) 公開することにより、公正かつ円滑な審査等が著しく阻害され、その目的を達成することができない会議 

枚方市情報公開・個人情報保護審査会では、同審査会の会議は、この第3条第1項第2号に該当するものとして、非公開としてきました。現在の会長は昨年9月の会議において選出されましたが、この会議においても、会議の非公開の決定がなされております。****

 まず会議非公開の理由を(2)としていますが、情報公開法では住所氏名生年月日性別など個人情報はもともと「非公開」と決まっていて、これを理由に会議を非公開とすれば、公開できる審査会などはほとんどなくなるでしょう。しかも、私たちが公開を求めているのはコロナワクチン接種後の「症状」で、個人情報とは無関係の客観的事実なのです。また、現在の会長が昨年9月の会議で「非公開」を決めたというのはウソでした。検索したところ、9月には情報公開関連の会議など開かれていなかったのです。

 ここまでウソをつく自治体はほんとに珍しいのですが、枚方市は審査会の5,6日前になって、今度は、「補佐人の住所氏名を出せ」と言ってきました。理由を聞くと、「個人を特定するため」というからびっくり。市はこれまで何回も市民に「ウソ」をつき、その都度、市民側にウソを暴かれていますが、それでもまったく反省もなく謝罪さえしない自治体です。そこに個人情報を提供するのはさすがにためらわれ、提出に応じませんでした。

 そして迎えた当日。十数人の傍聴希望者がいたのに、審査会は一切傍聴を認めませんでした。理由は「(委員らが)自由に討論できなくなるから」…つまり、市民の前では正直な意見は言えないという意味です。そして補佐人には、住所氏名と陳述の概要を記入して提出しろというので、これはきっぱり断りました。・・・だって、これは個人情報保護に反する要求であり、それを定めた規則の最後には「審査会が(住所氏名の記入を)不必要だと認めるときは、その限りではない」と書いてあるのですーーーこれは、補佐人が嫌がったらスルーしていいよ、という意味。しかしこの審査会はそういうことさえ判断できない。

 で、口頭弁論は請求人一人だけになりました。彼を通じて審査会の「一律非公開」というのはどこで決まったのかと聞くと、なんと、委員長は「今、決めた」と言ったとのこと。絶句。… 枚方市情報公開・個人情報保護審査会のメンバーは、以下の通りみな法律の専門家のようですが、その場で「ルール」を作るなどというルール違反を犯しても平気な連中なのです。 

会長佐伯 彰洋同志社大学法学部教授
副会長山本 香織弁護士
委員小関 伸吾弁護士
委員田近 肇近畿大学大学院法務研究科教授
委員宮村 教平佛教大学教育学部講師

 しかも、最後に、もっと絶句することが起きました。請求者の陳述の後、補佐人が意見陳述を拒否したのを見て、委員長は平然と彼女に「請求の取り下げ」を求め、何も知らない請求人がこれに応じてしまったです! 幸い、外で聞いていた市民がこのやりとりに気づき、すぐに「請求は取り下げません、審査会で審議してください」と言ってもらいました。…つまり、誰がどんな意見を述べようと、このセンセーたちは「非公開はそのまま」「異議申し立ては取り下げさせる」という方針を決めていたんですね・・・彼らが自治体の違法・無法を支えているんだ。2022.3.27

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/