3月7日、重水素実験が開始された核融研では、式典参加者から歓声と拍手が起きたそう。
多分、原発導入時も同じような風景だったことでしょう。
でも、核分裂も核融合も、もともとコントロール不可能、そして廃棄物処理の方策ゼロという致命的欠陥を抱えた技術であり、失敗する運命にあります。現に、メルトダウンしたフクイチの炉では、何が起こったかさえ検証できない。これは「原発の失敗」を意味していますが、推進派は決してそれを認めず、あたかも「次」があるかのように後処理を引き伸ばし(再稼動がそれ)、国民を汚染と絶望に引き込むのですね・・・彼らの言い訳は;「止めなかった国民が悪い」。
土岐の核融研、重水素実験を開始 周辺で50人抗議
2017年3月7日 21時54分 http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017030790215447.html?ref=rank
物質の原子核同士をぶつけ、新しい原子核を作り出すことで膨大なエネルギーを生み出す核融合発電の実現を目指す岐阜県土岐市の核融合科学研究所(核融研)は7日、核融合炉設計につながる基礎実験「重水素実験」を開始した。記念式典も開かれ、文部科学省と自然科学研究機構の関係者や研究者ら300人が出席。一方、研究所周辺では実験に反対する抗議集会があり、県内外から訪れた50人がプラカードを掲げて気勢を上げた。
核融合発電は、実現すれば海水から取り出せる重水素0.1グラムとリチウム0.3グラムを燃料として、日本の1人当たりの年間電気使用量を発電でき、二酸化炭素を出さないとされる。実験は直径14メートル、高さ10メートル、総重量約1500トンの大型ヘリカル装置(LHD)で、核融合で必要とされるイオン温度1億2千万度の高温高密度のプラズマ生成と維持を目指す。7月7日までを1サイクルとして、9回の実験を予定している。実験では、放射線の中性子と放射性物質のトリチウムが発生する。核融研によると、中性子を厚さ2メートルの壁と1・3メートルの天井で1千万分の1に減衰させ、トリチウムは2種類の除去装置を使って95%以上を回収。敷地内の中性子とガンマ線を計測してホームページで公開するほか、トリチウムは排気中の濃度を1週間ごと積算値で公開する。式典では、重水素ガスを装置内に注入し、比較的低温で加熱して生成された重水素プラズマが大型モニターに映し出されると、会場から歓声と拍手が起こった。竹入康彦所長は「安全管理、危機管理を徹底して実験を実施し、世界最高水準の研究を推進する」とあいさつした。
<核融合科学研究所>1961(昭和36)年、名古屋大に設立されたプラズマ研究所が母体。89年に文部省所管となり、現在の組織・名称に改組。97年、岐阜県土岐市に移転し、2004年に大学共同利用機関法人「自然科学研究機構」設立に伴い、同機構を構成する一研究所に再編。職員は231人。16年度の支出予算額は92億7000万円。収入予算のうち、84億6800万円が国の交付金。15年度の年間電気使用量は2700万キロワット時で、年間の電気代は4億7000万円。(中日新聞)
上の図のプラズマ部分を「原子炉」に置き換えれば、システムは原発と同じことがわかるでしょう。つまり、たかがお湯をわかすために、1億2000万度の高温プラズマを作り出し、そこから必然的に出てくるトリチウムや中性子は環境中に捨てるという、大胆、おろか、かつ後戻りできないアイデア。太陽より高温の「地上の太陽」を閉じ込めておける材料などないことは、前記事で触れた通り。そして、この高温のエネルギー源が、いつか「暴走」しかねないこともすでに指摘されているのです。「科学者」以外に誰がこんなこと」考えつく? 式典参加者は、起きるはずのなかった原発のメルトダウン、メルトスルーに直面して、「再稼動しても大丈夫!」と主張する原発推進派と同じです。彼らは死刑に値すると私は思う。今後、環境破壊罪、種の生存危機罪なんて罪名が絶対に必要になるって。
憮然としたのは、名大プラズマ研が岐阜移転した時(実は無法移転)、あれほど激しかった反対運動が今では完全に沈静化し、少数の「つどい」しかできなかったという事実。それどころか、この運動は、先日の抗議文提出までは完全にスリーパーで、せっかく出した抗議文さえ書き換えようとしたのです。それがどうなったのか、なぜそうなったのか、そのあたりの事情はちゃんと調べなきゃと思っています。2017.3.12