風車の「現実」を知らせるいい動画がありました。火災、爆発、鳥類虐殺、死亡事故、廃棄物、汚染...イメージは「クリーン」、でも実態は「ダーティ」。
風車の耐用年数は20年と言われていますが、風や雷など自然の力には勝てないし、台風・竜巻がくればこの動画のような運命に。雪の重みで壊れた例もあり、洋上風力となると、潮風による塩害で寿命はもっと短いことでしょう。問題は、こうやってぶっ壊れた(この表現がぴったり)風車は、他に使い道がなく、全量をごみとして処理しなければならないこと。これは「新エネ」と呼ばれていたころからの問題で、たとえ「自然エネ」と呼び方を変えても、社会と環境への負担増になることは避けられないのです。
2011年当時、6000基の風車で530万人に電力を提供し、「超グリーン」といわれたデンマーク政府でさえ、「こわれた風車の羽根や古い風車の巨大なごみを処理する方法がない」と認めているし、専門家は「風力がエネルギー供給に占める割合が高まるにつれ、巨大なごみ問題が同じ速さで浮上する」と述べています。おまけに、これほど多くの風車ができたのに、それによって廃止された発電所はひとつもなく、電気料金はヨーロッパで最も高いとか(Broken Wind Turbine Blades Create Mountainous Waste Problem …)。
風車の羽根は強く軽いことが求められるため、主に熱硬化性プラスチックと炭素繊維を結合させた炭素繊維複合体(カーボンファイバー)が使用されていますが、これは性質上、リサイクルできません。また、羽根の長さは普通、60メートル以上もあり、そのまま埋めるとごみ処分場がすぐ一杯になること(注:欧州のごみ処理は埋立が基本)、燃やすと有害物質が発生するため焼却もできないことから、カーボンファイバーの専門家でさえ、「風車が回っている時はグリーンなエネルギーを生み出しても、壊れたらすぐ問題になる。羽根を再使用できるような具体的なソリューションはない」と述べています。この他、風車には大量の虫の死骸が貯まり、また、劣化すると発電能力が20~30パーセントも落ちることから、定期的に羽根を交換しなければならないーー廃棄物がさらに増えるーーのです。
Dr. Vic Masonによれば、住居近くの小型風車の多くが崩壊した、最近、二つの巨大風車が強風のために壊れ(上の動画の二番目の例、ここでも⇒ video footage)、グラスファイバーの鋭い破片が500メートル四方に飛び散った、同様の事故がスエーデン、北イングランド、スコットランドでも起きるなど、羽根の破壊は非常に危険とのことです。実際に、風車事故による死者は原発事故を上回り、たとえばアメリカでは2008年だけでも41名が亡くなり41 worker fatalities、風車労働と関係ない人死者も16名に達しています・・・飛ばされてきた羽根の破片が突き刺さったりしたのでしょうね。
風車にはまた「汚染」問題もあります。2004年以来、EUでは多くの国が、「カーボンファイバー製品のごみ処分場への埋立禁止」、さらに「有毒生成物を放出する恐れがあることから、プラスチック製品の焼却を避けること」を求めた法律を次々に成立させていますが、政府の補助金のせいでその成長に歯止めはかからない。Professor Henning Albersの計算によれば、今の成長率がこのまま続けば、2034年までに毎年225,000トンの風車廃棄物が増えてゆくとのこと。風車が廃棄物処理の面からも、環境汚染の面からも大変な厄介物であることは否定できません。
長年にわたり炭素繊維複合材を使用してきた航空機業界も、材料を細かくすりつぶすなどしてリサイクル利用を探って来ましたが、まず必要なのがプラスチックの「分別」で、ヨーロッパの人件費ではとてもコストに合わないようです。風力発電は、そもそもの出だしから、「予防原則」「廃棄物処理の方向性」「社会・環境への影響」を無視して走り出した利権産業です。後になってそこにくつわをはめるのはとても難しい。しかも、日本人の多くは(日弁連やグリーンピース、FOEなどを信じて)「風力はクリーン」と思い込んでいるし、日本ではごみの焼却処理が普通なので、いずれ、海外の風車廃棄物が日本で処理されることになるかもしれません。安部は原発売り込みとセットで「原発廃棄物の処理も引き受ける」と言っているくらいだから、これは決してとっぴな考えではないのです。2016.9.22