今年8月28日早朝、ドイツのノースライン・ウェストファリア州イッセルブルグの風力発電所が、突然炎を上げて燃え出しました。すぐに緊急消防隊が呼ばれましたが、駆けつけた40人の隊員と6台の消防車はなすすべもなくこの火災を見守るだけ・・・消そうにも、100メートルもある風車に届くはしごはなかったからです。
風車はその後何時間も燃え続けて黒煙を周囲に撒き散らし、最後は燃え尽きて地上に落下しています。原因は「稲光(落雷)」ではないかとのこと・・・ま~、放火はないでしょうね。焼け落ちるまでの動画はここからどうぞ⇒ http://www.dailymail.co.uk/news/article-3762477/Massive-wind-turbine-catches-fire-burns-hours-German-fire-fighters-don-t-ladders-long-tackle-100m-high-blaze.html#ixzz4KTOQYY51
ところで、風車の火災やブレードの落下などの事故は、決して珍しくありません。上の記事は、エジンバラ大学エンジニアによる調査(2014年、『火災安全科学』に掲載)を紹介していますが、それによると、世界中の20万基の風車のうち、毎年約120基の風車が火災を起こしているそう。これはブレード落下に次いで多い風車の事故で、大きな経済的損失をもたらしており、火災は風車業界にとって大きな問題となっています。なお、イギリスでは風車の建設コストは一基200万ポンド(約2億7千万円)以上、風車稼動による収入は推定で年間6700万円だから、それが炎と共に去っては困るでしょう。
でも、実際の火災事故は、この数字より「十倍も多い」という報告もあります(http://www.gwec.net/how-often-wind-turbines-catch-fire-and-matter/)。これを「毎年」とかけあわせると、風車火災はすごい高率で起きているわけ。
風車のナセル(羽根の軸受け部分、発電機内臓)には潤滑油が使われており(その他、増速機、変圧器、インバーター、ブレーキ装置、コンピューターなどの機器が搭載されています)、高温回転による温度上昇、落雷による発火はいつでも起こりえるのでしょう。
ということで、今日が締め切りの環境省パブコメ、どうぞ一言「低周波音を否定するのはけしからん」と書き送ってやって下さい。火災とは関係ないけれど、その一通が、自分を守ることにもつながるのだから。2016.9.17