ショック!「脱原発・ドイツ」の、ダーティな風力ビジネス

 自然エネルギーの「優等生」といわれるドイツ、しかし、その風車建設はペテンと汚職まみれですすめられてきたことを、他ならぬドイツのテレビ局ARDが暴いて話題になっています。その動画「Der Kampf um die Windräder(風車をめぐる戦い)」はここ⇒ http://www.daserste.de/information/reportage-dokumentation/dokus/videosextern/der-kampf-um-die-windraeder-112.html

 動画はドイツ語なので、その内容を解説した英語サイトから翻訳して下につけました。・・・どの国でも「悪しき公共事業」はカネとだましから始まるというところか。でも日本の場合、原発マフィアがからんでいるのでさらに悪質です。

 

「ドイツのメディア、『エネルギー革命』と風力ロビーの底知れぬ腐敗に目覚める」

2016年9月7日 No Trick Zone http://notrickszone.com/2016/09/07/germans-media-sobers-up-to-the-widespread-corruption-of-the-energiewende-and-wind-lobby/#sthash.S9yBqgTx.dpbs

 ドイツ最大の放送局、ARD(ドイツ公共放送連盟)は、最近、「風車をめぐる戦い」というリポートを放送した。

 北ドイツ。シュミット一家は、最初、他の多くのドイツ人と同じように風車を歓迎していた。環境にも気候のためにもよく、責任のとれるエネルギー源だと考えていたからだ。しかし、自分たちの家が、東西南北、産業用ウインド・ファームに囲まれてしまって以来、その考えはとっくになくなっている。「昔の風景はもはやどこにもない」。

 彼らは腐敗し、強い力をもつ産業の犠牲者だ。

 ARDによると、風力事業者は、風車に反対する地域住民をひたすら押しつぶして建設が進められている。住民の家から数百メートルしか離れていない場所、しかも業者が所有してもいない自然環境に、巨大な機械を設置しているのだ。北ドイツではもはや風車建設の要望はないにもかかわらず、ウィンドファームは建設され続けている。時には、送電網に負荷がかかりすぎないように風車は停止されるが、動いているいないにかかわらず、風車にはカネが支払われるーーそれこそ、風車が建設され続けている理由だ。

 (4分)南ドイツエアランゲンの小さい地域では、そもそも電力を起こすほどの風もないにもかかわらず、利益を出すためだけに風車群が建設された。「グリーン」であるというメッセージ(納税者の金でてっとり早く稼げる)が、常識を打ち負かすのだ。狂気は終終わりを知らない。この地域にはさらに多くの風車計画がある。

 

「クリーンエネルギーのダーティ ビジネス」

 (5分30秒)これほど狂っていては、ウィンドファームに対する国民の信頼がなくなってきたのも不思議ではない、ARDのリポーターはそう述べる。その他にも、風車ビジネスに直接利害関係があったり、取引関係にある政治家がウィンドファームを認可しているという問題がある。つまり、風車産業はあからさまな縁故資本主義ーードイツ人が最も強く反対することで知られているーーなのだ。例えば、ラヌンゲン市のぜーナー市長は、誰も考えもしなかった場所ーー彼の所有地ーーに風車を建設させた。それによって、尊敬すべき市長殿の懐には土地のリース代、年間1万ユーロ(約112万円、9月27日のレートで換算)が転がり込んできたわけだ。

 同じような「甘い取引」は、ウルシュプリンゲン市のエゴン・センデルバッハ議員も行っている。ドイツ全土で、地方議員らは、ウィンドファームから利益を得ているが、それは全額、市民の税金と公益でまかなわれているのだ。しかし、ARDの取材に対し、センデルバッハ議員はそこには何の問題もないと応えた。

 ARDの調査によると、国内の何十もの地域で、地方議員が怪しげなウィンドファームに許可を与えることで利益を得ているという。法学教授のマイケル・フレイ氏の調べでは、ウィンドファームのゾーニングに関する限り、「(問題があっても)自己解決しろ」的な考えしかないため、我々は大きな問題を抱えている。多くの市長も、議員も、自分たちの利益になるように、問題(風車建設)に賛成票を投じている。その状況は恐ろしいほどで、しかも全国的だ。ARDはこれを「クリーンエネルギーのダーティビジネス」と呼んでいる。

 

売り払われた環境保護

 北ドイツに戻ろう。ARDは風車建設に求められている住宅までの距離(セットバック)に焦点を当てる。セットバックの距離は州によって違うが、不幸なことに、フリージアン地域では、ウィンドファームは住宅から「すぐ近く」に建設できることになっている。番組では、家の近くに建てられた風車のために夜、眠ることができなくなった家族を紹介している。風車のあるものは森のど真ん中に建てられているが、ARDは「いったい環境保護はどうなっているんだ」と疑問をなげかけている。

 

ドイツの環境保護団体ブンドは「信頼性を失った」

 ハリー・ニューマンは、ドイツの重要な環境保護グループ「ブンドBUNDドイツ環境自然保護連盟 )」の前会長だったが、抗議のために今はこの組織を離れている。ブンドは、風車産業と完全に一体化しただけでなく、ブンドのトップは風車産業のロビー活動さえやっているというのがその理由だ。その利益相反とあからさまな腐敗がいかに深いかは、まったく驚くべきものがある。以前、ブンドのメンバーだったステファン・シュリッツは「私の見るところ、ブンドは環境保護団体としての信頼性を失っている」と述べる。ブンド設立者であるイノック・ ツー・グッテンベルクは、今やドイツで最も厳しい風車産業の批判者だ。彼は、風車ロビイストとブンドが実質的には同じで、彼らは自然のための法律家から、風車産業の法律家になってしまった。「自然にとっては壊滅的だ」と述べる。

 

消費者はもはや電気代が払えない

 〈20分)ARDが次に焦点を当てるのは、風力業界の大もうけの裏で苦しむ消費者だ。ニーナ・アルビッグの家では、電気料金が爆発的に高くなり、2008年に比べると二倍になってしまってもはや支払えないという。すると電力会社は料金を払わないと電気の供給をカットすると脅しているのだ。彼女も、他の多くのドイツ人たちと同じように、気候変動を止めようと、(自然エネを)支持してきたが、今や「エネルギー革命に疑問を持っているわ」という。

 

買われた「自然エネ」推進デモ

 しかし、ドイツの緑の党は、上述の問題をすべて否定している。ベルリンでは、緑派と風力業界が一緒になって、最近、政府が発表した、エネルギー補助金と支援の規模縮小案に対し、声高な批判を繰り広げている。グリーン派の議長であるアントン・ホフライターは集会でこう吠えた。

 「我々は風力発電が必要だ。我々の生活の基礎を守るために、地球を救うために、そして子どもたちを救うために!」

 ホフライターのような人々は、ARDや他のドイツのメディアから、ついに、昔のペテン師が、いまだにガマの油を売っているとまで表現され始めている。しかも、上記のベルリンで行われた抗議集会への参加者のほとんどが、風力産業で働く労働者であり、日当と旅費、宿泊費を支給されて動員されていたことがわかった。集会で話したのも他ならぬブンドである。

 キリスト教民主同盟のミハイル・フック巣は風車産業のロビーについて、次のようにまとめている。

 「すべて、巨大なビジネスの利益のためだ。完全に巨大なビジネス利権だ。他のどの業界からもあのような粗野なアプローチは経験したことがない。議会は個人の利益に関して相当なプレッシャーを受けてきた。一時は愛されたドイツの風力産業は、今やますます嫌われ者の悪役になっている。」

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 翻訳ここまで。「ドイツにならえ!」と風力を支持している脱原発派には信じられない記事かもしれません。でも、事実は事実。なお、ARD(ドイツ公共放送連盟)は、国内9つの地方公共放送の統括団体で、全国にテレビ・ラジオ網を持つドイツ最大の放送機関です。日本でいえばNHKでしょうか。でもNHKは会長からして自民党のイエスマン、決して政権に逆らわない街宣団体なのに、なぜドイツの放送局は、こうやって正面から政権批判できるのか? これは、ドイツでは、ナチスの時代、メディアが世論操作に使われた反省から、放送は完全に独立し、連邦政府は放送に介入してはならない仕組となったからだそう。各州の放送もそれぞれ独自の放送法と規制機関によって監督されていて、日本のように全国一律、一斉に同じカラーのニュースが流れる(まさにメディア洗脳)ことはなさそうです。つまり、日本には放送の世界にも「戦後処理」がなかったということの証明です。もちろん、それ以前に、日本では上から下まで組織団体は独立性(=収入)が確保されていないという問題もあり、だからこそ、裁判所だって、法律ではなく政権の顔を見て判決を下すわけです。社会の病気は原因にメスを入れない限り、こうやってますます悪化してゆくんですね~~。というわけで、お知り合いの「みどり派」にこの記事をぜひ勧めてください。いつまでもペテンにひっかかっているわけにはゆかないので。2016.9.29

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/