もひとつ、ごみ処理で隠されていること。焼却炉は、そもそも危険を「作り出す」装置であることを知ってほしい。特に、放射能汚染ごみを燃やすと、微小化した放射性物質の多くは、そのまま大気中に排出されています。「バグフィルターがあるから安心」だって? まずは下の動画を見てください。その前に、前段の説明をじっくり読んでね。
「(有害物質は)バグフィルターで取れる」とは、ダイオキシン騒動の時からおなじみのウソです。実際は、この実験が示すとおり、大気中の有害物質は成分割合が極めて小さく(それでも有害)、高温焼却でガス化してしまうため(個体でなくなる)、フィルターなんぞ軽くすり抜けて環境中に逃げてしまうのです。
いえ、環境省だってそのことはよ~くわかっているのです。
だからこそ、原発(文部科学省所管)で使われているシンチレーション方式ではなく、このインチキ放射能検定システムを導入したわけ。その狙いは「放射能を検出させない」こと。311後、早い時点で、業界の圧力に押されて放射性廃棄物の焼却処理を決定してしまったため、ひたすら「放射能はバグフィルター+HEPAフィルターで100%除去取れる」、というウソをばらまき、東北で汚染ごみを燃やしまくっているのです。どう見ても環境犯罪ですが、日本にはそれを取り締まる法律がないどころか、本来、取り締まり側のはずの国(環境省)が事業者となって汚染を拡大しているんだからタチが悪い。鮫川村焼却炉の資料の公開請求に対し、環境省は排出ガスの量さえ「企業のノウハウ」として墨塗りしたのです(;´Д`)。
バグフィルターについては、がれき騒動の時も、学者・評論家の間で「80%は取れる」「いや、70%だ」など、めくらまし議論が繰り広げられました。彼らは有害物質(特に放射能)を含むごみは燃やしてはいけないという基本を無視し、業界と一緒になって、日本のごみ焼却の素晴らしさをPRしているのです。たとえば、1.3万人(当時)の小さな山村に400万人分のごみを押し付け、データを隠して高額の罰金を払ったとして有名な東京たま資源循環組合は、小学生のみなさんへ 循環組合エクスプレス で、こんなPRをしています。
「その排ガス(有害物質を含む)をバグフィルターに全部通して・・・」
「施設も製品(エコセメント)も安全なのね!」
もちろん、エコセメント材料である焼却灰・飛灰・下水汚泥にはダイオキシン、重金属類、塩素が含まれているので(http://www.jtccm.or.jp/library/new/7_kikaku/publication/1101/1101_tokushu8.pdf)、それを薬剤、熱処理などで抑えているだけなのです。さらに、311以後は廃棄物に放射性物質が混じりだしたため、周辺の空間線量もあがっています(http://gomibenren.jp/ecocement-kajiyama-130528.pdf)。上の実験でいうと、線香の煙が汚染(と熱)をもたらしているのがわかりますが、行政下請け機関である裁判所は、焼却炉の「害」を認めない。
なお、私も所属している、ごみ焼却に反対する世界市民のNGO,「GAIA」(No-burn.org)は今年、COP21にあわせてパリで大会を開き、温暖化=大気汚染を前提に、「汚染物質を排出するごみ焼却炉をやめろ」と申し入れました。行きたかったんですけど、忙しくて見送りました。
2015.12.11