前記事の続き。鮫川村の指定廃棄物(8000Bq/kg)実験焼却炉は、今回、異常に高率の甲状腺がんの児童が見つかった北茨城市のすぐそばなのです。それを証明するのがこの↓記事。AFW (Appreciate Fukushima Workers)という、「廃炉作業員への感謝」を掲げた、元フクイチ勤務の方が作ったNGOのサイトです。記事は内容を変えないように訂正・校正しました。原文はここ⇒http://a-f-w.org/report/other/1142/
2013年6月18日
北茨城市で畜産農家の方から相談のお電話がきました。内容は鮫川村で試運転が始まる焼却炉を止めるすべがないかと。…いわき市に隣接する白河郡鮫川村に環境省が焼却炉を作りました。問題になっていることは下記の通りです。
1.除染で発生した草木を燃やす焼却炉であること。
2.処理量を廃棄物処理法、環境アセスメントが適用されない200kg/h未満にしたこと
3.試験運用を行うことで実証されれば全国展開すると環境省が明言していること
4.焼却灰(濃縮された放射能廃棄物)処分については、いまだ決まっていない最終処分場に持っていくまで鮫川村で保管すること
5.放射能測定装置はついておらず、煤塵に含まれるセシウムを煤塵濃度で管理すること
(ただし放射能は代替えで測定はできる理論としては成立っている)
鮫川村としては、村の産業として環境省に協力するというスタンスです。隣接するいわき市は黙認。北茨城市は反対姿勢ですが、環境省の対応に半分あきらめぎみです。7月からは試運転が始まることは決まったようです。それで落胆のどうにかなりませんかという相談です。
前職では発電所にある焼却炉の保全を担当していたので、アドバイザー的なことをしていました。ここに至っては、止める事はできそうにありません。監視委員会を作り、協定を結ぶといった事を考えています。つまり、きちんとやれないなら、停止してしてもらおうという考えです。私はこの震災に伴い発生した瓦礫や除染のゴミなどを処分することに基本的には賛成です。しかしながら、放射能廃棄物を自分達が都合のよい解釈で法律の悪用は正しいとは言えません。8000Bq未満は一般廃棄物扱い、これは復興を早期化させるウルトラCであることは認めます。ですが可能な限り自主的な放射能管理をするというのはあって然るべきです。200kg/h未満の処理量にすることで、廃棄物処理法や環境アセスメントを意図的に除外するのは度を越しています。そして鮫川村は福島の山奥、知らない人が町を通れば「なんて田舎なんだ」という土地柄に、住民に知らせることもなく、工事認可をとらずに建設した経緯も含め、意図的な策略が垣間見えています。わざわざ放射能汚染の少ない場所に作ることも解せません。ましてや農業や畜産が主な産業の町に作るということは、風評被害と叫ばれている昨今を無視しているに等しいです。
以前も書きましたが、後一年もすればこれは皆さんの問題にもなります。なぜなら実証試験が終われば全国展開するからです。この本質的問題はこの「全国展開」という所です。ですから反対派の方々はあの手この手で考え行動しているのです。私は然るべき場所とお金と高い技術をつぎ込んで大型の焼却炉を作るべきですと考えています。現に原子力発電所には厳しい基準のもと管理された現在進行で使われている焼却炉が既に何十年も稼働しています。同じ物を作ればすむ話です。単純にやるなら、ちゃんと正々堂々やりましょってだけなんですけどね。
赤字部分を読むと、北茨城市の市民が、いかに鮫川村の指定廃棄物焼却炉を不安に思っていたかわかるでしょう。残念ながら、彼らの不安は的中してしまったのです。
ところがこのサイト主は、この事業の重大性がそれほどわかっていない。それどころか、「高い技術をつぎこんで大型の焼却炉を作れ」だって。放射性廃棄物の焼却・燃焼こそ、放射性PMを拡散し、がんの子どもたちを広げているのは実証されているのに、彼らにはそんな情報は入らないようになっているのです。というわけで、各地で「ごみ焼却」を停止させるように努力しない限り、放射能汚染はさらに拡散します。2015.8.29