水銀汚染防止法案、閣議決定される

 水銀に関しては、少し前に水銀条約、ワクチンは適用除外! (02/21)という記事を書いたし、住民合意なしにごみ焼却炉にひた走る日野市 (03/08)でも少し触れました。その水銀条約批准に向けた国内法、「水銀汚染防止法」案と、それを受けた「大気汚染防止法」案の二つが閣議決定されました。次の第189国会で審議されます。

水銀対策を厳格化=2法案を閣議決定
2015年3月10日http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015031000056&g=soc
 政府は10日の閣議で、「水銀に関する水俣条約」の批准に向け、水銀汚染防止法案と大気汚染防止法改正案を決定した。国による水銀汚染防止計画の策定の
ほか、水銀添加製品の製造禁止や水銀鉱の採掘禁止が盛り込まれている。また、セメント製造や廃棄物焼却などの水銀を排出する施設に対して、届け出と排出基
準の順守義務を課す。同条約は、熊本県などで発生した水俣病を教訓として、水銀の使用を原則禁止する内容。2013年に熊本市で開かれた国連環境計画(UNEP)が主催する国際会議で採択された。早ければ年内に発効する可能性があり、政府は関連する政省令の改正を急ぐ方針。(2015/03/10-08:27)

 もともと2013年には実施が予定されていたほど急がれていたのですが、産業界の徹底抗戦でここまで遅れたのです。↓はその頃の記事ですが、政府としては、産業界が不利益をこうむらないように、準備の時間を与えたというところですかね。

国際水銀条約―あなたの署名を! (2012/07/22)・・・水銀汚染は決して途上国だけの話ではありません。なのに、リーダーシップを取るべき日本は、市民にことの重大さを伝えてもおらず、それどころか他の先進国と一緒になって、これを法的規制がかからないようにしようと暗躍中・・・

 今回も、環境省のサイト水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について(お知らせ)は、大企業への思いやりであふれているように見えるのは私だけか?・・・でも、市民には問題の重大さをちっとも伝えていません。特に、大気排出関係が重要で、それはごみ焼却炉と密接に関係するんですけどね。この↓説明では、こんな風:
【概要】大気汚染防止法の一部を改正する法律案 [PDF 85 KB]
背景 水俣条約の概要(大気排出関係)
5種類の発生源の分類に対し、水銀及び水銀化合物の大気排出を規制し、実行可能な場合には削減すること。①石炭火力発電所②産業用石炭燃焼ボイラー③非鉄金属(※)製造用の精錬・焙焼工程④廃棄物焼却設備⑤セメントクリンカー製造設備 【我が国について条約が効力を生ずる日から、新規発生源は5年以内、既存発生源は10年以内に措置】

 その内訳は以下の通り、合計排出量年間17~21トンのうち、上の5業種で6~7割を占めるのだとか(…ちょっと変なインベントリーです。まともに集計しているとは思えん)。
■国内における主要排出源ごとの大気排出量(平成22年度)
   排出源        大気排出量(t/年)
①石炭火力発電所       0.83-1
②産業用石炭燃焼ボイラー   0.21
③非鉄金属製造施設      0.94
④廃棄物焼却施設       2.2-6.85
⑤セメント製造施設      5.3

 ごみ焼却炉からの水銀排出量がとても大きく、しかも落差が激しいのに注意。医療廃棄物がノーチェックで焼却されていることをうかがわせます。その結果、みなさんの街の焼却炉から、年間、日々水銀ガスが放出され、その量は年間トン単位にのぼっている…しかも、今は放射能もまじっている。私たちはすさまじい状況に置かれていると思いませんか?
 新法では(1)水銀排出施設に係る届出制度、(2)水銀等に係る排出基準の遵守義務等(3)要排出抑制施設の設置者の自主的取組などで排出を減らそうとしていますが、焼却炉がある限り、ダイオキシンだってなくならないしね。いい加減、マッチポンプはやめんかい。
 
 でも、今新たに焼却炉の計画が出ている地域は、この問題を追及することで計画にまったをかけることはできるでしょう。なぜなら市町村レベルでは、水銀問題なんて何ひとつ知らないから。一緒に勉強すれば、脱焼却(=脱放射能)の道が見えてくるかもしれない。
 ちなみに、ワクチンの水銀がOKなのは、WHOがそう指示しているからのよう。まったく、ビル・ゲイツの金力はすごい。フクイチ四周年の日に。2015.3.11

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/