日立を守った環境省説明会

  先日、爆発した鮫川焼却炉-環境省、初の説明会 でお伝えした、環境省の説明会に「参加」しました。「参加」とは、会場の中に入れなかった、という意味。いろいろ経験はあるけど、完全にシャットアウトされた、というのはこれが初めて。

 すさまじい警戒ぶりでした。
 会場の鮫川公民館の入り口付近には、いろんな人がうろうろしていましたが、その多くが私服の村役場職員だということは、あとになって知りました。6時半の開会にあわせてかけつけると、玄関先では、中に入れさせまいとする環境省、日立、村役場の人間と、中に入ろうとする村外の住民の間で険悪なムードになっていました。

 でも、外の気温はすでに2度。鮫川村は標高700メートルほどの高地にあり、この季節は、夜は零下なのだそう。そんな厳しい寒気の中、村人ではないからと外に立たせておくなんて、非人道的すぎるし、納税者としても許せん。で、「入れなさい!」と談判し、多数にものを言わせて警戒線を突破してしまいました。この時、日立の職員(他の人がそう言っていましたが、本人は名乗らず。確認する手立てがないのでこのままにしておきます)が、私を強引に外に出そうと胸のあたりを押したのです。れっきとした暴力行為。他にも体を押された、触られたという市民がいますが、日立(環境省)は、いつから暴力行為をふるうようになったのでしょう。

 次に会場に入ろうとしましたが、隣り合った二つのドアは二人ずつガードが張り付いているうえ、内側からかぎをかけ、さらに手で押さえているという状況で、ドアを開けるどころか、手をふれることもできません。そこに、玄関を守っていた二人の環境省職員、馬場氏と高橋氏が駆けつけ、ドアの三枚守備となりました。しかも、高橋氏は追い討ちをかけて、「警察を呼びますよ、いいですね」と脅しにかかる。私は「いいわよ」「逆にあなたたちをつかまえてもらおう、違法事業だからね」なんて言ったけど、これにおびえたのか、玄関から動かない人もいました。

 「青生野を守る会」のメンバーは、会場から何回も外に出てきて、村外の人も入れるよう求めましたが、環境省の答は絶対に「ダメ」。遅れて来た村民も、外からノック、ウチからカギがはずされ、確認のうえ、人一人入れるくらいにドアをあけて中に入れるという騒ぎ。会場は空席が目立ち、市民側はせいぜい70~80人くらいだったので(環境省、日立造船、鮫川村、鮫川村監視委員会は40人くらいいたかも)、「スペースがない」という理由ではありません。その後、村外の住民は「場外活動」を展開しましたが、会場内の反対の声は押さえ込まれていたようです。(内部の様子は↓ただし環境省の求めに応じて質疑応答はカットされています。http://www.ustream.tv/recorded/40759007 。

 反対派が押さえ込まれただけでなく、会場からは「今後はこの反省を生かして、事故がおきないようにしてもらいたい」なんて、再稼動を臨む声があがったのにはさすがにびっくり。この説明会が、「事故原因=人災」「安全対策があれば大丈夫」「関係機関はみな再発防止策を了承」「これで、事故の問題は完了→再稼動へ」という日立のシナリオがであるのはわかっていましたが、鮫川村がその「イヌ」になりさがっていたとは。だからこそ、説明会は青生野で開かず、村外の人を入れようとせず、質疑の撮影も許可しなかったのです。そりゃあ、質疑で「公文書偽造」「違法事業」という訴えが出ると、さすがに放送されてはまずいもんね。

 説明会の後、「村長派が動員されていた」「賛成派ばかりだった」と聞きましたが、実はドアを押さえていたのも役場職員でした。う~ん、そこまでひどかったとは。汚染事業を止めさせ、住民を守るのが、地方自治体の義務ですが、鮫川村役場にはもうそんな「正気」はなく、復興予算と経済振興に群がるハイエナになっているようです。もっとひどいのは、村長自ら、この事業を進めるために、偽サイン、偽押印(犯罪事実)をしたことを認めていること。

 役場職員はそれを知りながら告発義務を怠っているから、村役場をあげての組織犯罪だと言っていいくらい。それでも事業が進むのは、環境省がすべてを黙認しているためですが、その環境省の後ろにいるのが、原発マフィア。今回の説明会も、原発メーカーであり、放射性廃棄物の焼却炉メーカーでもある日立造船を守るのが最終目的でした。だから、日立は全く表に出てこないのだ。汚いねえ。2013.11.18
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 なお、当日の「場外活動」の様子が何のことわりもなく撮影・実況中継されていたので、配信を中止するよう求めました(撮影者は知らない人です)。日立と中央省庁による環境テロに体を張って反対する市民の、肖像権とプライバシーをもっと大事にしてほしい。

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/