がれき受け入れ、自治会が条件付き容認 分担量の人口比など、三条市に申し入れ/新潟
毎日新聞 2012年11月15日 地方版
東日本大震災により発生した岩手県大槌町の震災がれきの本格的な受け入れを表明した三条市に対し、焼却する同市清掃センター近くの福島新田甲自治会は14日、条件付きで受け入れを容認することを明らかにした。これに伴い、受け入れ量は、県内で受け入れを表明している同市を含めた5市の人口比に応じて分担するなど3条件を市に申し入れた。自治会の山岸康男会長(65)
ら3人が市役所を訪れ、申し入れた。条件は、受け入れ量を5市の人口比で分担し三条市は500トンまで▽放射能の測定結果を公表し、異常があれば焼却中止▽風評被害などがあった場合、国に補償を求め市が費用を立て替える−−の3点。自治会は20日までの回答を求め、市が条件を認めない場合、12月市議会に請願する。申し入れ書を受け取った宗村里士・市民部長は、がれき量について「単純に人口比で量を決めるのは難しい。各市の裁量で市長が決める」と答えるにとどめた。報道陣に対し山岸会長は「反対の声は根強いが、条件付きであれば認めたい。市長の権限で不安を軽減してほしい」と話した。
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20121115ddlk15040123000c.html
このニュースに怒り心頭の甲新田自治会の住民も多いことでしょう。だって、自治会長らは「反対の声が根強い」、「不安が大きい」のを認識しながら、受け入れを認めてしまったんだから。住民の大多数ががれき受け入れ反対しているのに、自治会長・町内会長が一存で「OK」を出してしまうというのは、新潟県ばかりではありません。焼却炉・処分場の立地には、下のような悪しき共通点があるからです。
① 人口が少なく、昔ながらのムラ社会(…都会にあっても)。
② 金と人脈がモノを言う(・・・道理や理性は通らない)。
③ 保守的、特に女性の発言力がない(・・・女は黙っていろ!の社会)
④ 裏取引に抵抗がない。(飛び交うワイロ)
⑤ 「村八分」が生きている(裏切り者には脅し、見せしめ、お礼参りが)
都会の住民はえーっと思うかもしれませんが、私がこれまでコンタクトを取ってきた焼却炉・処分場の立地地域はだいたいこんなもんです。こういう地域において、「権力」が集中するのが自治会長(町内会長、あるいは区長の場合も)。彼らは:
①何年も自治会長・町内会長・区長が代わらない。
②会長らは行政マンととても仲良し。時々一緒に慰安旅行にゆくことも。
③会長らの家族はコネで役所に就職できる
④会長らは名誉欲が強い。時々市の表彰をもらうことも。
⑤多少の違法行為は警察も行政も目をつぶってくれる
⑥その代わり、会長は行政の「窓口」役となる。
こうやって人脈と金脈にからめとられているうちに、彼らは次第に「行政のシト」になってゆき、頭の中に「役所は恩人」「役所には反対できない」という考えがしっかと刷り込まれてしまうのです。資質もあるけど、問題はこういう表に出ない「ウラ構造」。だから、いったんコトが起きると、彼らは、しっかり行政の肩を持ち、反抗する住民を平気で押さえ込んでしまうわけ。
ただし、こういう「権力」は法律にもとづくものではありません。日本はとりあえず民主主義国家だから、ほとんどの自治会規約が、決定権を自治会長にではなく、総会に与えているのです。悪い自治会長になると、行政の頼みを入れ、総会にはからないで勝手に決断を下してしまいます。
住民がやるべきは、こういう独断専行の自治会長をさっさと「解任」すること。がれき処理は、農作物の汚染と販売不振、住民の健康被害、さらには将来の核のゴミ捨て場につながりかねないから、これを認めるような会長は地域の不利益そのものです。と、以上は一般論。この新田甲自治会では総会をやったかどうか知らないけれど、民主主義の起点は、実は自分が住む自治会・町内会。その自治会長の暴走に目をつぶって「政治改革」なんて言っても、通りゃしないって。2012.11.18