大阪市と関電のずぶずぶの関係

 がれき受入れ、原発再稼動容認のうらにある電力利権。その金脈問題こそ、反がれき、反原発派がきちんと追及すべきではないでしょうか。東京都が東電下請け会社にがれき処理を丸投げしていたというのは有名な話ですが、事情は大阪でも同じ。今年4月の報道されたように、関電と大阪市もずぶずぶの関係です。
関電に経産省や大阪市から天下り
 2012.4.10
 関西電力は、子会社や関連会社だけで先月末の時点で、合わせて69人の公務員の天下りを受け入れていたことを明らかにしました。さらに本社では、現在、経済産業省出身者や大阪市の元幹部など25人を受け入れているということです。それによりますと、関西電力の子会社と関連会社、合わせて17社では、先月末の時点で69人の公務員の天下りを受け入れていたということです。
さらに関西電力によりますと、本社では現在、常務取締役に経済産業省出身者、非常勤の監査役に大阪市の出身者をそれぞれ受け入れているほか、社員として警察や海上保安庁などから、合わせて23人を受け入れているということです。このうち非常勤の監査役については、大阪市の元幹部職員が長年にわたって順番に天下りしていたことも明らかになりました。(以下略)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120410/k10014355181000.html
 つまり、大阪市は関電に買われていたのです。この天下りポストを得るために、幹部職員は在職中、ずっと関電さまに忠誠を捧げてきたことでしょう。市民にではなく。これも電気料金値上げにはねかえる。フクイチで、電力会社に責任を取らせるという動きがまったく出てこないのは、出資を通じて電力会社と行政が一体化しているから。「再稼動反対!」を言うなら、こういう具体的な不公正システムを廃止するよう求めないとね。
関電に歴代市幹部7人天下り 筆頭株主の恩恵か

2012.4.10 12:32 株式・株主
  大阪市の元幹部7人が昭和27年以降、関西電力の非常勤監査役に再就職し、現在も元財政局長が就任していることが10日、わかった。市は関電の筆頭株主として、6月の株主総会で天下りの禁止要求も含む株主提案を行う方針だが、相手方の役員に“身内”が含まれている形で、整合性が問われそうだ。橋下徹市長は同日、こうした事実について認識していなかったことを明らかにした。 大阪市や関電によると、監査役に再就職していたのは助役や収入役、財政局長などを歴任した市OBで、うち5人は市外郭団体の幹部にいったん天下りした後、関電役員に再就職した「渡り」だった。 関電関係者によると、非常勤の監査役は月4日程度の勤務で年収は約800万円。市財政局は「監査役への再就職には関知していない」と説明するが、筆頭株主であることを背景に幹部が天下りの恩恵を受けていたとの批判も起きそうだ。橋下市長は10日、「(市側からの)再就職のあっせんはなかったと聞いている。市の補助金は出していないし、規制の対象でもないが、関電への再就職を禁止する理由があるか検討しないといけない」と述べた。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120410/waf12041012340018-n1.htm
 週一出勤で年収800万円! 一日あたり200万円? なんておいしい再就職でしょう。でも、規制する側(行政)が規制される側(企業)に加担するというのは、当然、倫理的にも、社会的にも大問題だから、彼らも十分後ろめたさを感じています。そこに「渡り」なぞが出てくる。ところが、職員の「規律」にやけに厳しい橋下市長は、この大問題を「認識していなかった」そうな。あ、これは言葉のアヤで、「知らなかった」わけではなく、「悪いと認識していなかった」と読むべきでしょう。別の言い方をすれば、「この問題は追及しない」ととるべきでしょう。
 こうして、天下り幹部や市長・知事は、電力会社と一緒くたになって、再稼動に向けて動き始めているのです。ウチウチの抵抗は許さない。たとえば、関西広域連合が再稼動容認を発表した時、滋賀県の嘉田知事は、はっきり「脅された」と述べています。
「関電や国に脅かされた」大飯再稼働で滋賀県
 「関西電力からも、国からも、企業からも、ずいぶんと警告され、そして、ほんとに停電になったらどうするんだ、ということを―きつい言葉ですが―かなり脅かされました。お前は責任が取れるのか、と」
 元々法律を法律とも思わない無法企業が、政治組織を乗っ取っているという深刻さ。東電は事故を起こしながら、その刑事責任を一切問われていないという、非常に特異な立場にある犯罪者集団です。その時点で、官民一体の制度が諸悪の根源にあったことははっきりしているのに、この国はそれさえ是正することができない。行政を企業利益の代弁者にしないように、法律改正を求めることもしないとね。2012.8.16

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/