8000ベクレルのごみも燃やす日本と、海外事情を比べると

 これもフォローが遅れていますが・・・環境省は「指定廃棄物」を普通のごみとしてどんどん燃やせという方針を固めました。
放射性廃棄物 新ルール決定 濃度下がれば一般ごみ

 311以前、そもそも市民が出すごみは、少しでも放射能に汚染されていると自動的に「廃棄物処理法」から除外されていました。つまり、一般ごみとして収集も処理もできなかったのです。というより、そういう事態が起きることさえ想定されてもいなかった(法の空白)。一方、原発内部で出たごみは 100Bq/kg以上になると低レベル放射性廃棄物として、ドラム缶などに詰めて管理していました。この扱いは今も同じです。でも、311フクイチ事故で環境中に飛び散った放射性物質で汚染されたものは、たとえ7999Bq/kgでも、環境省と自治体が合意すれば燃やしていいことにしてしまった! ・・・法的整合性を無視した、恥知らずの弥縫策です。
 しかも、ごみを焼却すると、無数の化学物質が非常に小さな微粒子になってしまうので、汚染はさらに拡散します。しかも、その過程で発生する放射化したPM2.5やナノ微粒子は、簡単に人体に侵入するため(マスクなどでは防げない)、内部被曝のリスクを高めることは避けられません。さすが環境破壊省・・・というより、戦争する国、原発を推進する国って、これくらい平気なわけです。
 
 地球的な大気汚染の悪化により、海外ではますます「ごみ焼却」への反発が強まっているのに。
たとえばこの↓写真。5月14日、イタリア・フィレンツエで行われたごみ焼却反対とゼロ・ウェイストの「国家統一デモ」の様子です。

 この集会を企画したのはごく普通の主婦たちでしたが、初の試みにもかかわらず200以上のグループがこのキャンペーンを支援し、イタリア全土から2万人が参加して大盛況だったとのこと。デモは、当地の住人であるレンツィ現首相宅から始まり、旗や横断幕、鳴り物入りでとてもにぎやかだったようで、その高揚した様子はここから⇒https://www.facebook.com/zerowasteitaly/(ほとんどがイタリア語ですが)。
 下はMLに流れたメールの一部;
 「・・・ますますたくさんの人々が、ゼロウェイストの大切さを認めるようになっています、今日は、このような馬鹿な提案(焼却炉計画)に対して、最も責任を負うべきレンツィが住むこの街にとって特別な日でした。私たちは世界のコミュニティが「脱焼却の時代」を支持してくださるよう声をあげています。明日、マスゴミ(servant journalists)は、「参加者は数千人」と書くでしょうが、事実は、こんなにも多くの人々が、また子どもや若者たちも、焼却炉計画をやめるよう求めてデモを行ったのです。」
 デモの合言葉は、「僕らの未来を燃やすな!」。これこそ、指定廃棄物の焼却によって第二次、第三次の被曝を受けようとしている日本の若者たち、子供たちにぴったりの言葉ではないでしょうか。ちなみに、「ゼロ・ウェイスト」といえば、どの国でも「燃やさないゴミ処理」を意味しますが、日本では「燃やしつくし、灰を再利用する」という究極の汚染型ごみ処理をゼロ・ウェイストと称しているのだということを知っておいて下さい。
 「ごみ問題」は民度のいい物差しになります。日本では、いまだに「ごみ焼却反対」の組織がなく、そのことひとつだけをとっても、いかに民度が低く、いかに民主主義が根付いていないかを示しているのです。2016.5.20

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/