憲法と戦争

保守派によるきな臭い改憲論が高まっている中、読者から貴重な情報をいただいたので、そのまま転載します(出典:https://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/95d81afef1ab6a0f5347b7fada6b1646)。日本の市民が忘れかけ、あるいは忘れようとしている「過去の戦争」。私は明日12月18日、大阪で四回にわたる法令勉強会の最後として「憲法改正」を題に講演しますが、「憲法と戦争」は切り離せないテーマです。(タイトルを忘れてて12/19記載)

(文字起こし)トチ狂った安倍は、『カミカゼ特攻』を、ユネスコの世界記憶遺産に登録することにも、前のめりだという。安倍がご執心なのは、鹿児島の知覧特攻平和会館が保存する、特攻隊員の遺書などの資料だ。信じられない発想だが、こんな安倍ベッタリのメディアのせいか、最近の若者は、特攻隊員の遺書を読むと、「国を守ろうとする使命感を感じた」「自分にはできないことをしたすごい人たち」などと言い、時には涙を流すという。こうした『特攻美化』を、元隊員たちはどう思っているか。4月30日付の朝日新聞で、ある特攻の生き残り隊員が、「志願じゃない。強制ですよ」と証言していた。
特攻隊員に選ばれて、失神する仲間もいれば、逃げ出して憲兵に捕まり、自殺した人もいたという。
当事者の元特攻隊員が、「逃げても地獄、突っ込んでも地獄。これが特攻ですよ」と訴えているのに、
安倍たちは「お国への忠誠心」をでっち上げ、暗黒の戦前・戦中を美化しようとする。
「この確信犯的発想は、ナチスの手法そのもので…」・・・

 発行年は確認できませんでしたが、おそらく第二次安倍政権の頃の記事でしょう。現実を知らない若者は「戦争の美化」にも「敵国侵攻の恐怖」にも簡単にだまされ、「いつか来た道」へ。戦争体験がある高齢者が年々少なくなるなか(コロナでさらにひどくなった)、彼らの発言は書き留めておくべき貴重なものになりつつあります。

(文字起こし)祖父と父は戦前、旧満州(中国東北部)への権益拡大の国策でつくられた、南満州鉄道(満鉄)の社員だった。私は、旧満州国と関東軍と満鉄が、中国侵略を進める中で成長した。
日本の子どもは、天皇の命令一つで死ぬように育てられ、命は自分のものではなく、死ねば靖国神社の神と化すと教えられた。命令されて死ぬより、命令される前に命を捧げる忠義が美しいと感じた私は、中学生の時、海軍飛行予科練習生(予科練)に志願した。それは、特攻隊への道だった。
郷里の神社であった入隊者を送る神事を覚えている。私たちは、既に靖国の神になったかのように扱われ、周りから隔離された。入隊すると、上官に散々なぐられ罵倒され、心も思想もなくし、私は人間ではなくなった。消耗品だった。2等兵は「犬にも劣る」とされた。訓練中に敗戦を迎えた。
最近、映画化もされた『永遠の0』という本を読んだ。消耗品だった私たちを、立派とほめていると思った。かつての国家神道の中心施設で、A級戦犯を合祀する靖国を参拝し、英霊に哀悼の誠を捧げると言った、安倍晋三首相の倫理と同じと感じた。私は、予科練時代を呼び覚まされ、ぞっとした。
老いた私たちに代わり、また若い人たちが、戦場に連れ込まれようとしている。私は必死で願う。行くな、行ってはならぬ、地獄だぞ!

 もうひとつ、ほとんど知られていませんが、「特攻」に失敗して帰還した人々を隔離する特別な施設があったことをご存じでしょうか?↓はNHKの放送をコンパクトにまとめてありますが、写真入りの元記事は↓のアドレスから見ることができます。

「振武寮」に隔離された元陸軍 特攻隊員の証言など
http://d.hatena.ne.jp/dj19/20090420/p1陸軍では、特攻隊員として出撃したが、何らかの要因により、攻撃に至らずに帰還した特攻隊員を、死んだはずの軍神が生きていてはおかしい、ということで、人目につかないよう秘密裏に、『振武寮(しんぶりょう)』(福岡市薬院)に隔離した。

「お前たち命が惜しくて帰ってきたのか。そんな死ぬの嫌か。卑怯者だとか、死んだ連中に申し訳ないと思わないかとか、そういことを毎日毎日言う訳です。おまえら人間のクズだと」「お前ら1人帰ってきたために、何人もの(アメリカ軍の)兵隊が助かっとる、言うんです。なんで死んでこなかったのかと言われた。理由のいかんを問わず、お前ら国賊だ、言うて」

「振武寮に入ったらビックリしましたね。周り見たらもう、出撃して死んだと思っていた奴らが、ごろごろしとったんですね。ここは、特別攻撃隊の収容所かと思いましたね。そのときの参謀の態度も、非常に腹が立ちましてね。腕組みして、長靴履いた足をバーンと、こういう(机の上に足をのせる)格好でだしましてね。ふんぞり返って、貴様らなんで帰ってきた。飛行機が具合悪かったんでございます。悪かったのはお前らの腕前だろ」

紙が配られ、特攻隊員になることを『熱望する』『希望する』『希望せず』の、3つの文字のいづれかに○を付けて、提出するよう言われたという。「『希望せず』に○を付けた者でも、特攻隊になってるの者がおりましたから。そんなもん、形式的なものだけであって、希望するもしないも全部ひっくるめて、特攻隊を指名したんじゃないでしょうかね。こんなんがおりました。オレは希望せずなんだよなぁ~、言うて、しかしやっぱり指名されてしまったわ、というのがおりました」

「軍としては、飛行機の良いのができたら、まず戦闘部隊ですよ。特攻隊じゃなくて戦闘部隊。
飛行団というのがいっぱいありまして、飛行戦隊、そういうところに良いのがある。戦闘部隊というのが、天皇直結の部隊だからね。同じ死ぬのでも、天皇直結に死ぬのだから。まさか、天皇直結の部隊に、ボロクソの飛行機やれないですよ」

「私の立場はね、特攻隊がみんな行って、みんな突っ込んでくれるという前提で、仕事をしてたんですよ。だから私の方では、そんなにたくさん帰ってくるとはね、夢にも考えなかったです。帰ってきて、みんなに言わないほうがいいわけですよね。おれは途中で帰ってきた、なんてね。結果的に(振武寮は)、隔離所になるわけですよ」「多くの隊員を出撃させたので、恨みに思われるのは仕方ないし、遺族からも反感を買っているので、いつ報復されるかわからないと、夜も安心して寝ることができなかった。80歳までは、自己防衛のために、ピストルに実弾を込めて持ち歩き、家では軍刀を手離さなかったんです」

 特攻失敗組は人間として扱われていなかったのですね。何が「国を守る使命」か。2022/12/17

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/