200万台以上がリコール、理由は「香り」!

   私はこれまで「香りの問題」からは距離を置いていました。守備範囲をあまり広げたくなかったからです。でも、「香り」の害は年ごとに深刻化し、今や自動車の大規模リコールという事態を招くほどになっています。なので、黙っているわけにはゆかず、以後、「農薬・化学物質」のカテゴリーで、「香り」を取り上げてゆきます。情報があれば教えてね!

 

SUBARU、世界約226万台に不具合、全数リコールなら同社最大

201931 / 13:13 / Reuters Staff

[東京1日ロイター] SUBARU(スバル)(7270.T)は28日、ブレーキランプをつけるスイッチの不具合により、小型車「インプレッサ」とスポーツ多目的車(SUV)「フォレスター」の2車種、計30万6728台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。不具合が起きる恐れのある車は、海外分(196万2113台)を含めると計226万8841台。各国で法規が異なるため、全数をリコールするとは限らないが、仮にすべてをリコールした場合、同社として過去最大のリコール台数となる。

 対象は20089月から17年3月に製造した車。事故は起きていないが、13年6月以降、国内だけで1399件の不具合が報告されている。国交省やスバルによると、整髪料や洗濯時に使う香りの強い柔軟剤、車内の清掃に使う薬剤などに含まれるシリコーンガスが揮発し、スイッチ部分に付着するとスイッチが動かなくなり、ブレーキランプがつかなくなる場合がある。ブレーキを踏んだことをスイッチが認識せず、エンジンが始動しないこともあるという。今回のリコールに伴い費用が発生するが、同社は具体的な費用の額を公表していない。ただ、足元の販売動向やコスト削減の進捗からみると、費用は吸収できる見込みで、19年3月期通期の連結業績予想の修正はしないという。18年第3・四半期の決算発表では通期の連結業績予想を下方修正し、営業利益を従来予想の2200億円から1850億円へ引き下げた。

問題は「スイッチの不具合」ではなく、世にあふれている強烈な香り製品に車という工業製品がダウンした、ということです。なのに、自動車工業会は、「香りつき製品」の規制を求めようとはせず、自らリコールを言い出した。そして、シリコンガスが侵入しないように無償修理することにし、国交省もこれを認めた・・・これは、国交省を仲立ちに、化学工業会と「手打ち」したという意味だと考えられますが、それでいいの?

製造の過程で使われるシリコンは、熱によって酸化し、さらに揮発性ガスになって精密部分にまで侵入すること、接点部に蓄積すると機器の稼働不良や故障を起こすことから、工業製品の大敵とされてきました。そのシリコン、工業製品だけに使われていれば、人びとの生活を脅かすことはなかったでしょうが、当時は考えられなかった分野ー洗剤、柔軟剤、消臭剤、ヘアケア製品、化粧品など「香り」製品ーにまで多用され始めた結果、思いもしなかった事態を招いているのです。たとえば、「トリートメントを使っていてファンヒーターが壊れた」などのようなネット情報など。

「香りで機械が壊れる」のは、「香り」製品には「香りが長持ち」する効果をねらって、ごく微小なマイクロカプセルが使われているから。これらのカプセルは、長期にわたって環境中を漂い(PM2.5と同じ)、あらゆるところに付着し、徐々にはじけて匂いを発散させるようデザインされています。従って、環境中に蓄積し、時間とともに濃度を増します。

さまざまな大きさのマイクロカプセル。写真はhttp://mukouryou.blogspot.com/2018/09/blog-post.html(無香料生活)からお借りしました。

車という閉鎖空間では、香り製品(マイクロカプセル)の残存率も高いはずで、機器や人体に対する潜在的危険性もより大きくなると考えられます。今はまだ事故は起きていなくても、そのうち「シャンプーでブレーキ故障」とか、「この自動車事故の原因は柔軟剤」のような報道が出てくるかもしれません。

また、「香り」製品に使われているのはシリコンだけではありません。

香りの元は石油化学製品であり、そこには、発がん性が認定されているベンゼンやトルエン、そしてそのトルエンの一万倍も毒性が強いと言われているイソシアネートなど、少なくとも3千種類の化学物質が使用されています。また、これらの「香り付き製品」と、がん、免疫不全、出産異常などの相関を研究した論文も数多く出ており、「香り過敏症」は決して一部の人々だけに表れる特定の反応ではありません。

ところが日本では、「香りの材料」のヒトへの安全性などはまったく確認されておらず、メーカーには表示義務もなく(だから消費者は「いい香り」に簡単に騙される)、それどころか、どんな材料をどれだけ使っても何の規制もありません。ま~、これは、あらゆる「公害」に共通の背景であり、日本に真の消費者運動がないということを意味していますが。

それにしても、強烈な洗剤臭を振りまいて通り過ぎるおじさん、それが、「おじさん臭」を消すためだとしたら、まったく逆効果。香り付き製品の「香り」は、人工甘味料や人工香料と同じく、完全にフェイクだから、もともとの悪臭と一体化してさらに悪臭効果を高めることになっているのですよ。人工洗剤と手を切るところから始めてね。2019.3.9

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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