関西広域連合、関電に仕切られていた

 7月26日は、芦名の秘密会のほかにも、いろんなことが仕組まれていました。
 関西広域連合は7月26日、東京で委員会を開いています。関西の組織がなぜ東京で、というと、別のイベントに参加するので、そのついでに、と言い訳していましたが、実は、首都圏で省庁代表、産業界が一同に会して「がれき広域処理」を含め、原発問題の後処理について話し合った模様です。
震災がれき 受け入れ準備中止へ 関西広域連合、東京で会議
07月26日 22:30
 関西広域連合は26日、東京都内で会合を開いた。宮城県が震災がれきの広域処理要請を拡大しないと決めたことから、環境省と協議した上で受け入れ準備中止を判断することにした。シンポジウムや関西経済連合会との意見交換会もあり、首都圏で広域連合の存在感をアピールした
  会合には、京都府の山田啓二知事や滋賀県の嘉田由紀子知事、京都市の門川大作市長らが参加。震災がれきについて環境省から受け入れ協力は不要になったと連絡があったと報告された。広域連合としては協力する方針だったが、今後、同省と詳しく協議し、協力準備を中止してよいか、判断する。また、会合前に、広域連合と関経連の意見交換会が開催され、今後、国の国際戦略総合特区制度などに連携して対応する方針を確認した。
 シンポは別の場所で地方分権をテーマに、NPO法人「ふるさとテレビ」の主催で行われた。広域連合の首長8人が参加し、道州制について門川市長は賛成、嘉田知事は反対、山田知事は「都道府県の新たな方向性を考えるべき」などと持論を述べ合った。
 「首都圏で広域連合の存在感をアピールした」なんて書いてあるけど、これは新聞がアピールしているだけで、関西ではその存在などまず知られていません。その名を言うと、「はあっ? どこの組?」といわれるし、名前を知っている人も、何だか怪しい組織と思っています。
 実際は、関西広域連合は、産業界と省庁を結びつける新たな天下り・利権組織。業界が策定した国策を、文句をいわせず地方に実施させるのがその役割です。したがって、とんでもなく中央集権的、非民主的、密室的、一方的。そのあげく、本来、その守備範囲に入っているはずもない、「がれき広域処理」違法に口を出すというバカをやってしまったのでありました。で、記事に「環境省と詳しく協議して判断する」とあるのは、あるいは、環境省を無視して財界の言うままに動いたのかもしれません。いや、おもろい。
  だから、関西広域連合はの首長たちは、市民とは一切会わないくせに、こうやってまず、関西経済連合会http://www.kankeiren.or.jp/about/と会見しているのですね。これって、犬が飼い主に挨拶しに行ったようなもの。だって、今の日本の選挙は、金がある者が自分たちに都合のいい候補者を当選させる仕組みなので、知事候補者(ほとんどカネも能力もない)は、彼らに買われているようなもの。だから、大飯再開に関して、首長の何人かが発言を変えてしまったのも当然なのだ。
 なぜって?
 関経連の会長は、誰あろう、関西電力会長の森詳介氏。同社からは関経連に顧問も二人出ているしhttp://www.kankeiren.or.jp/about/cat76/、調べれば関電人脈はもっと多いでしょう。つまり、今の関西広域連合の都道府県知事が、大飯に反対できないのは、みんな、関電が仕切る財界に首根っこを押さえられているからです。がれき広域処理は法に触れたので引き下がったけれど。
 とにかく、財界の任務を負っている知事に、市民の願いなど届くはずがありません。それを証明するかのように、関西広域連合の意思決定機関である知事たちの委員会は、完全な密室会議。傍聴どころか、会議録さえ全面非公開。だから今、公開請求をかけていますけどね。
 じゃ、どうする? 選挙制度をちょっと変えたら、たとえば。
 ● 公務員(特に省庁天下り人間)、議員は、都道府県知事に立候補できない。
 ● 候補者への寄付を完全公開とするために、選挙管理委員会が寄付をチェックする(ま、別機関を作った方がいいかも)
 ● 選挙戦は、全候補を集めた立会い演説会だけにする。
 このうちひとつでも変えられたら、日本の政治はまだ救いがあります。2012.7.27 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/